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【読書】人間以外の存在と人間の関係を問い直す~勝手に応援!『ビッグイシュー日本版』(VOL.514 2025.11.1)~

『ビッグイシュー日本版』を勝手に応援する記事、第117弾です。
そもそも「『ビッグイシュー日本版』とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「あたりまえを壊す人類学へ」です。


「人類学は多くの人が信じてきた、あたりまえが行き詰まっている時に、そうした行き詰まりを乗り越えるための、また別の可能性を提示することのできる学問」だと里見龍樹さん(早稲田大学人間科学学術院教授)は言う。

p.8

興味がわきます。


「特定の地域や人々を対象に、住み込みで長期間行う実地調査のことを『フィールドワーク』、その詳細な記録を『エスノグラフィー』と言います。人類学はフィールドワークを行って、個別の地域の文化を深く研究する学問ですが、そうした個別性を通して、全人類の文化について考えようとしてきた学問でもあります」

p.9

なるほど。


「人類学のフィールドワークは、エスノグラフィーの素材にするためのデータを収集しに行くものと誤解されているかもしれません。でも僕の場合は、フィールドワークによって、いったん自らつくったマライタ島についてのストーリーを、現地の現実でぶっ壊されることを期待して出かけます。つまり、自分がこれまで考えてもみなかったことを考える体験が、人類学の一番おもしろいところなんです。そのように知識の積み上げを目指さないという意味で、多くの学問に対して、人類学はどこか特殊な”はじっこの学問”だと言えるでしょう」

p.9

「知識の積み上げを目指さない」というのが興味深いです。


「マリノフスキがフィールドワークを行った頃、ヨーロッパは、1914年から18年まで続いた第一次世界大戦の真っただ中だった。「大規模な破壊行為や殺戮が行われ、それまでの理性的、文明的な人間像に対する信頼が打ち砕かれました。そこから、これまで信じられてきた近代の裏面を考え直そうという大きなうねりが、いわゆる対抗文化(カウンター・カルチャー)として、ヨーロッパから巻き起こりました」

p.10

マリノフスキとは、ポーランド出身の人類学者ブロニスワフ・マリノフスキのことです。


「18世紀から19世紀にかけて、ドイツでは、ロマン主義と呼ばれる文化的な運動が起こりました。それまで主にフランスでは、すべての人間は同じ『文化』あるいは『文明』を共有していて、それは段階的に進歩し、洗練されていくものだと考えられていました。しかし、ロマン主義者たちはこれを否定し、地域・民族によって、『さまざまな文化』があり、それぞれに価値があるものだという考え方を打ち出しました」

p.10

ロマン主義についてのこの説明、面白いです。


私たちは一見して「伝統的な文化」のように思えるものを目の前にすると、それが何百年も続いてきたかのように思いがちだ。しかし、里見さんは、実際にはそうではない事実があると警告する。
(中略)
里見さんがフィールドワークをしてきたマライタ島の人工島も同様だ。
「マライタ島のアシの人たちが住んでいる人工の島々も、一見すると何百年も続いてきた生活様式のように思えてしまいます。ところが、残された記録によると、90以上ある島々の大半が植民地化やキリストの布教(引用者註:キリスト教の布教では?)によって、西洋世界と継続的に接触するようになったここ100年くらいのあいだに建設されたものであることがわかってきました。僕らの常識や直観に反し、植民地支配によって、独特な生活様式が衰退するのではなく、逆に広まっていくこともあるのだと身をもって知りました」

p.11

興味深いです。なお「マライタ島の人工島」というのは、サンゴのかけらを積み上げて築いたものです。

「前回18年に滞在した時は、世界的に海面上昇が問題となる中で、島々を離れていくアシの人たちが多かった。その後、無人の島が増えていることを予想していたのですが、現実は違っていました。逆に、岩を積み上げて拡張した島や新しくできた島もあって、むしろマライタ島本島に親戚がいなくて、帰る土地をもたない人たちが、がんばって島を拡張して住み続けようとしているようでした。一方で、親戚のいる人は本島の土地を利用できるので、島から出ていきやすいんですね。これは意外な発見でした」

p.9

本当に、頭で考えることと現実は違いますね。


「グローバルな気候変動が人間自身の存在をおびやかすようになった今、人間を文化や社会をつくる”特権的な主体”としてはもはや描けず、人間以外の存在と人間の関係を問い直すことが必要なのではないかということです」

p.14

大事な指摘ですね。


今回の松久保肇さんの「原発ウォッチ!」は「防衛省の報告書、『原子力潜水艦保有』を記載。原子力の平和利用を逸脱か」は全文「THE BIG ISSUE online」に載っているので、リンクを貼っておきます。呆れてものが言えません。


今号も、学びが多かったです。


『ビッグイシュー日本版』のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった石川さん、いつもありがとうございます!



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