【読書】妥協を恐れない~勝手に応援!『ビッグイシュー日本版』(VOL.513 2025.10.15)~
2ヶ月遅れですが、『ビッグイシュー日本版』を勝手に応援する記事、第116弾です。
そもそも「『ビッグイシュー日本版』とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。
今号の特集は、「編む人たち」です。
表紙のシム・ウンギョンさんの美しさには、目を奪われました。本当に美人さんなんですが、髪型もあるのか、どこか相葉くんに似ているのが不思議。
特集についてです。家庭科の課題でマフラーを編んだ時は、結構夢中になって編みましたが、あの時期以来、編み物はしていないなぁ。でも子どもの時のリリアンといい、本当は編み物は嫌いではありません。
二ットテキスタイルアーティストの宮田明日鹿さんの気づきには、はっとさせられました。
宮田さんには気になっていることがある。高い技術をもっていても、「私はたいしたことないのよ」と謙遜する声が多々聞こえてくることに違和感を覚え、フェミニズムを学び、気づきを得ていった。
「そうすると、過去に自分が『女の子なんだから、こうしなきゃ』とか言われてきたことが走馬灯のようによみがえって、この言語化できない息苦しさは自分のせいじゃなく、社会構造のせいだったんだと納得がいきました」
手芸についても別の側面が見えてきた。
「ジェンダーの視点から手芸を研究している山崎明子さんによれば、家の中で女性がつくるものが”手芸”と定義され、バザーに出しても安い値がつけられ、内職も労働力として過小評価されてきました。お金と結びつかないところで、愛情に置き換えられて矮小化され、女性たち自身も、そのことを内面化してしまう。しかし女性たちにとって、手を動かす時間は自分との対話の時間でもあったんじゃないでしょうか」
職場で教職員同士でプチフリマみたいなのを開催していた時期があるのですが、とても良い手編みのセーターに格安の値を付けていた人がいたことを思い出しました。その人自身が編んだのか、ご家族が編んだのか、それとも市販品だったかは不明ですが、「これはない!」と憤りを感じたものです。
もっと高い値にすればその人が儲かるのはもちろん、誰が編んだにせよ、編んだ人への冒涜だと思いました。実は私もその時、母の手編みのセーターを出しており、当然材料費にプラスアルファした値(それでも本当は安いと思う)を付けていたので、何だか私が暴利をむさぼっているようになってしまう、という事情もありましたが。
アイスランド全女性の90%が仕事も家事も一斉に休んだ1975年10月24日を振り返るドキュメンタリー映画『女性の休日(THE DAY ICELAND STOOD STILL)』、ぜひ観にいきたいです。
世界経済フォーラムが発表するジェンダー・ギャップ指数ランキングで16年連続1位の国・アイスランドでは現在、大統領も首相も女性。けれどわずか半世紀前は、他の国と同じかそれ以上に男女の格差は歴然とあった。
「女性の休日」をきっかけに変わったわけです。
印象的だったのは、以下の部分。
――「女性の休日」には一つの決断があります。「ストライキ」なら参加しないと右派の女性たちから反発があり、「休日」という表現になりました。それを彼女たちは「妥協だった」と振り返ります。妥協するか、初心を貫くかは社会運動の中でいつでも突き当たる壁です。彼女たちの当時の選択をどう思いますか?
フラッパ:何年も経ってこの出来事を振り返る時に思い浮かぶことの一つは、このイベントを成功させるためには妥協が欠かせなかったということです。私は今、若い世代にこう言いたいのです。頑固に自分の考えを貫くのが良いとされがちですが、実際には柔軟さがあったから「女性の休日」はこれほど大きく成功しました。左派の人々だけに限定されるのではなく、みんなが共感できるものになったからです。つまり、妥協を恐れないでほしいのです。私も今、60代前半になって思うのですが、時には強硬な態度を控えてユーモアを交えたり、対話を試みるのが良いこともあります。
私は妥協を恐れ、そのくせ妥協し、ストレスをためるタイプなので、妥協を恐れないことを学びたいです。フラッパというのは、アイスランド人製作プロデューサーのフラプンヒルドゥル・グンナルスドッティルさんの通称です。
映画に登場するある女性の「最初は無視され、次は笑いものにされ、けんかを売られ、やがて勝つ」という言葉が一番印象に残りました。
本当に印象的な言葉です。日本の女性はどうでしょう。「けんかを売られ」ている段階でしょうか? まだ「無視され」ていたりして。
フラッパ:日本が完全に近代化を遂げたら、アイスランドのようになると思います。あなたたちにはそれを成し遂げるメンタリティがあります。アイスランドには「しずくは石をも穿つ」という諺があります。私自身、11歳の時にあの広場(「女性の休日」で女性たちが集まった広場)にいて、翌朝目覚めて「わあ、すべてが変わったんだ」と思いました。でもそうではなく、今振り返ってみると、私たちはそれからも絶えず進んできました。今もなお完全な平等を目指して進んでいます。
アイスランドの女性もまだ、道の途中にいるとは。日本のジェンダーギャップ指数は148ヶ国中118位だそうですが、あまりにも道が遠いです。それにしても、「日本が完全に近代化を遂げたら」と、さらっと言われるとめげますね。
<追記>
観てきました!
初めて鉄を打った時は、「鉄は熱いうちに打て」の言葉の意味を身をもって知りました。
「鉄素材で道具を作ることと、鉄で作られた道具を素材に戻すこと」の両方を生業としている小沢敦志さんの言葉ですが、これこそAIには出来ない記号設地ですね。
ウィスット・ポンニミットさんの「マムアンちゃん」は、相変わらず可愛く深いです。「情報は増えたのに 賢さは下がる」って、本当にね。
今号も、いろいろと考えさせられました。
『ビッグイシュー日本版』のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。
コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。
もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。
見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった坂本さん、いつもありがとうございます!
いいなと思ったら応援しよう!
記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。