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【感想】劇場映画『WEAPONS/ウェポンズ』

脚本構成

本作のあらすじ

これは、ある町で起きた、多くの人が命を落とした本当の話。水曜日の深夜2時17分。子どもたち17人が、ベッドから起き、階段を下りて、自らドアを開けたあと、暗闇の中へ走り出し姿を消した。消息を絶ったのは、ある学校の教室の生徒たちだけ。なぜ、彼らは同じ時刻に、忽然と消えたのか?いまどこにいるのか?疑いをかけられた担任教師のジャスティン・ギャンディは、残された手がかりをもとに、集団失踪事件の真相に迫ろうとするが、この日を境に不可解な事件が多発、やがて町全体が狂い出していく…この話のヒミツ知りたいでしょう?

https://www.warnerbros.co.jp/movie/c8r-63sq936/

ちなみに1文目の「これは(中略)本当の話」というのはコーエン兄弟の『ファーゴ』的な演出なので悪しからず。

子供の失踪から始まる物語といえば、ちょうどファイナルシーズンのvol.1が配信された『ストレンジャー・シングス』もそうですね。

11月末の日本でシンクロニシティ

冒頭は教師のジャスティンの視点で話が進んでいくが、しばらく経つと第2章が始まり失踪した子供の父親のアーチャー視点に。
時系列も戻る。
なるほど羅生門スタイルなのか?

それぞれの視点から見える景色・真実は異なるというタイプの語り口。
(ちなみに個人的には『ハウス・オブ・ダイナマイト』は一つの事象を複数の視点から見てはいるものの、特に何か新たな真相が浮かび上がるわけではないから羅生門スタイルかは微妙な気もする)

でも子供が深夜の同じ時刻に一斉に失踪したという超常現象的な事件に“それぞれの真実”なんて存在するのだろうか?
そう思っていたら第2章のラストにおかしくなってしまった様子のマーカスが現れて一気に物語のギアが上がる。

ところが、そこからすぐマーカスに行かず第3章と第4章にポールとジェームズを挟む構成が実にニクい。
見終わってから冷静に考えると、ポールの章とジェームズの章が無くてもストーリーは成立する。

  1. ジャスティン

  2. アーチャー

  3. マーカス

  4. アレックス

むしろアーチャーからマーカスに繋いだ方がどう考えても直感的だ。
だけどあそこでその直感から外れることでストーリーは俄然予測不能になり観客は映画に引き込まれていく。
羅生門スタイルと思ってたところ第3章から一気に翻弄されるの本当に気持ち良かったw

もちろんラストにポールが登場してジャスティンを襲うシーンだとか、実は第1章の酒屋の前でチケットがどうとか言ってるあいつがジェームズだとかといった要素はあるので第3・4章が全く活きてないわけではない。念のため。

撮影

さらに第3・4章は撮影のダイナミズムにより映画に緩急をもたらす役割も担っている。
あくまでストーリーのセットアップに重心を置き、映像的な飛躍は抑えていた第1・2章から一転して撮影がノリノリに。

やはり白眉は逃げるジェームズをポールがパトカーで追うシーン。
第3章は車内からの主観ショット。
ブロックを1つ挟んだ向こうの通りのジェームズと並走するシーンの空間の使い方良かったなぁ。
奥にいるジェームズをカメラが捉えたまま並走して、そこから急カーブしてジェームズとパトカーがあわや衝突、カメラはポールと共に車を飛び出してジェームズを追う。
この一連のショット本当に惚れ惚れ。
そして第4章で同じ場面をジェームズ視点で描くときはダッチアングル!
第3・4章はストーリーはあまり進んでいないものの映像で魅せてくれます。

それ以外にも第1章でジャスティンが酒を買うシーンでの長回し撮影や最終章のクライマックスで逃げるあの人を追いかけて揺れまくる手持ちカメラも印象的。
ちなみにあのクライマックスは『サブスタンス』と同様にやりすぎ感満載で「なんじゃこれ!?」と笑ってしまったw

いや、あれは笑わせにきてる、でいいと思うw

編集

本作は章ごとに時系列が戻り「さっきのあのシーンの時この人は…」という語り口なので編集の映画でもある。
編集した人は頭こんがらがりそうw

技巧的な観点ではマーカスの第5章とアレックスの第6章はジャンプカットが印象的に使われていた。
カメラワークで魅せた第3・4章から編集の繋ぎで魅せる第5・6章へ。
この辺りも実に映画的。

あと、特にジェームズの第4章以降は『カメラを止めるな!』よろしく既に描かれたシーンを割とばっさり省略していってテンポが速くなってるのも地味に効果的。

複数視点で語られる群像劇的な6章立て映画でエンドロール込み128分って相当タイトに収めてきたなと。
ラストカットまで一切ダレることなく駆け抜ける。

ワーナー ブラザース ジャパン

さて、そんな本作はワーナー日本法人が配給する最後の洋画となる。

営利企業が部署の閉鎖を決断したということは、残念ながら近年の洋画配給部門の業績は芳しくなかったのだろう。
しかし、それでも2025年は最後の力をふり絞るかのごとく

  • 罪人たち

  • ワン・バトル・アフター・アナザー

  • WEAPONS/ウェポンズ

と大傑作を3本も映画館で公開してくれた置き土産は語り継がねばなるまい。

本当にありがとうございました。
そして、今までお疲れ様でした。

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