浜崎正己『新規事業の投資判断』——撤退条件は、なぜ空欄になるのか
新規事業の会議で、いちばん出にくい言葉は「やめよう」です。
熱意がある。すでに使った金がある。よくできた資料がある。
この三つが揃うと、証拠の不足が見えなくなります。
本書には、第11章として「撤退条件は、なぜ空欄になるのか」を置きました。判断を止める四つの力学を扱う章です。書き忘れているのではなく、書けなくさせる力が働いている、という見方をしています。
この本が扱う判断
アイデアの出し方ではありません。
新規事業へ、誰の時間と、いくらの資金を、どの証拠を得るために配るのか。その証拠が得られなければ、いつ直し、いつ止め、何を組織へ戻すのか。
はじめにの題は「良い企画より、次の証拠が見える企画」です。良さで競わない、というのが本書の立場です。
目次
第Ⅰ部 企画は、証拠を買う
第1章 予算・正本・やめ方を同じ紙に置く
第Ⅱ部 一次情報から機会をつくる
第2章 問いを増やし、当事者を数える
第3章 商品・サービス・IPへ分ける
第Ⅲ部 投資判断と資源配分
第4章 判断軸は、走らせると入れ替わる
第5章 人・時間・資金を、同じ地図で配る
第6章 繰越は、翌期に選ぶ権利である
第Ⅳ部 続ける・直す・やめる
第7章 九十日で判定し、資源を戻す
第8章 内製化を五段階で管理する
第Ⅴ部 企画を組織の資産にする
第9章 棄却と保留まで、企画台帳へ残す
第10章 最初の三十日で、企画を判定可能にする
第11章 撤退条件は、なぜ空欄になるのか
第12章 この本の証拠と、その外側
見どころ
① 予算は、次の証拠を買う上限である
第1章の最初の節です。
予算を「やることの費用」ではなく「次の証拠を買う上限」と定義し直します。この一行を変えるだけで、会議の質問が変わります。いくら使うのか、ではなく、それで何が分かるのか。
同じ紙に、正本とやめ方も置きます。三つを別々の書類にすると、やめ方だけが誰も開かないフォルダへ行きます。
② AIで問いを増やし、答えを決めない
第2章です。生成AIの使いどころを、答え出しではなく問い出しに限定しています。
そして「場所と当事者を数える」。机上で市場規模を推定する前に、実際に何人いて、どこにいるのかを数える。一次情報の取り方から書いています。
③ 判断軸は、走らせると入れ替わる
第4章の題です。
最初に決めた評価軸は、走らせているうちに合わなくなります。それ自体は失敗ではありません。問題は、入れ替わったことを誰も記録しないまま、古い軸で作った資料が生き残ることです。
④ 繰越は、翌期に選ぶ権利である
第6章。使い切れなかった予算を、消化すべき残額ではなく、翌期に選べる権利として扱う。
この考え方が入ると、期末の駆け込みが減ります。
⑤ 九十日で判定し、資源を戻す
第7章。90日で何を判定するか。やめる順序と、資源の戻し先。
撤退で大事なのは、止めることではなく、戻すことです。人がどこへ戻るのか、学びがどこへ残るのかを先に決めておく。決めていないと、撤退が個人の失点になります。
⑥ 棄却と保留まで、企画台帳へ残す
第9章。通した企画だけを残すと、会社は同じ企画を何度も新案として検討します。
棄却と保留も残す。なぜ棄却したのかも残す。それが企画職を育てる材料になります。
自分の持っている証拠を、最後に開示しています
第12章の題は「この本の証拠と、その外側」です。
本書の中核の観察は、私が関わった一社一案件に限られます。社名、事業名、金額の一部は伏せました。匿名化は相手方を守る一方、読者が原資料を独立照合できないという限界を生みます。匿名化しても消えない推知リスクについても、節を立てて書きました。
限界を書いたうえで、判断の手順だけをお渡しします。成功法則でも、全案件へ適用できる普遍モデルでもありません。
一社一案件から書ける範囲は、そこまでだと思っています。
読者
経営者、経営企画、新規事業責任者。来期も続けるかどうかを、熱意ではなく証拠で説明したい方。
書誌
書名:新規事業の投資判断
副題:AI時代に、続けるか止めるかを投じる前に決める
著者:浜崎正己
価格:980円(Kindle)
分量:133ページ
ASIN:B0HDKYPDMC
#新規事業 #事業開発 #撤退判断 #意思決定 #経営企画 #Kindle #浜崎正己
著者
浜崎 正己(はまさき まさき)。株式会社メディアインキュベート代表取締役。
メディアと事業の間、顧客と社内の間、構想と実装の間にある「伝わらない・返らない・引き継がれない」を、媒体と責任の設計から研究・実践しています。営業、メディア事業、企業間連携、AI活用、マーケティング、採用、M&A・事業承継を、別々の施策ではなく、組織が判断を受け取り直す媒介設計として扱っています。
メディアの立ち上げ・運用・事業承継のご相談は masaki.hamasaki@gmail.com まで。
この本について
本書は本文・図版の制作に生成AIを用いています。Amazonの商品ページでも同じ内容を申告しています。企画、構成、事実確認、最終判断は私が行いました。
