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「ターゲットを絞ったら市場が小さくなる」と思っていませんか?

新規事業のターゲットを考えていると、こんな話になることがあります。

「もう少しターゲットを絞りましょう」

すると、少し不安になります。

「でも、そこまで絞ったら市場が小さくなりませんか?」

この感覚は、とてもよく分かります。

せっかく新しい事業を立ち上げるのだから、できるだけ多くの顧客に売りたい。

製造業だけでなく、物流にも、小売にも売れるかもしれない。

大企業だけでなく、中小企業にもニーズがあるかもしれない。

だったら、最初から広く構えておいた方がいい。

一見すると、その方が事業の可能性を広げているように見えます。

でも、この考え方には一つの混同があるのではないかと思っています。


「誰に売れるか」と「誰から売るか」は違う

例えば、ある業務効率化サービスがあるとします。

将来的には、

製造業にも、

物流業にも、

小売業にも、

サービス業にも、

使ってもらえる可能性がある。

だから、

「全国の企業が市場です」

と言いたくなります。

確かに、間違いではありません。

ただ、ここには別の問いがあります。

では、最初に誰に売るのでしょうか。

製造業なのか。

物流業なのか。

大企業なのか。

中小企業なのか。

人手不足に困っている会社なのか。

コスト削減を求めている会社なのか。

ここが決まっていなくても、

「将来的に売れる可能性のある企業」

を数えることはできます。

でも、それは「市場を定義した」ことと同じなのでしょうか。

私は、

「誰に売れるか」と「誰から売るか」を、分けて考えた方がいい

と思っています。


ターゲットを絞ると、顧客を捨てることになる?

ターゲットを絞ることに抵抗を感じる理由の一つは、

「対象外にした顧客には売れなくなる」

と感じるからではないでしょうか。

例えば、

「まずは従業員500人以上の製造業を狙う」

と決める。

すると、

「500人未満の企業は捨てるのか」

「物流業には売らないのか」

「他の業界にもニーズがあるのではないか」

という話が出てきます。

でも、別に捨てる必要はありません。

製造業から始めて、物流業へ広げてもいい。

大企業から始めて、中堅企業へ広げてもいい。

ある特定の課題から始めて、別の課題へ広げてもいい。

最初のターゲットは、

事業の最終到達地点ではありません。

「最初のターゲット」と「将来の市場」

ここを同じものとして考えるから、

「ターゲットを絞る=市場を小さくする」

ように見えてしまうのではないでしょうか。


大きな市場にも「入口」がある

少し考え方を変えてみます。

大きなショッピングモールに入るとき、

建物のすべての場所から入る必要はありません。

入口は一つでいい。

入口が一つだからといって、

行ける売り場が限定されるわけでもありません。

市場も、これに近いのかもしれません。

将来、大きな市場を狙う。

それと、

最初から市場全体を狙う。

この二つは、似ているようで違います。

むしろ、

大きな市場を狙うからこそ、どこから入るかを決める。

そんな考え方もできるはずです。


「市場を小さくした」のではなく、「順番を決めた」

新規事業の企画では、市場規模を大きく見せたくなることがあります。

「対象企業は全国に○万社あります」

「市場規模は○千億円あります」

もちろん、将来性を考えるうえでは重要です。

ただ、その数字が大きいことと、

明日から営業できることは別です。

10万社が対象だったとしても、

10万社へ同時に営業するわけではありません。

最初の1社があり、

10社になり、

100社になり、

その先があります。

「市場縮小」ではなく「攻略順序」

そう考えると、

ターゲットを絞るという行為は、

市場を10万社から1,000社へ縮小することではなく、

10万社のうち、最初にどこから攻略するかを決めること

なのかもしれません。

市場を小さくしたのではない。

順番を決めただけです。

この違いは、新規事業を考えるときに意外と大きいと思っています。


「誰に売らないか」ではなく、「誰から始めるか」

「ターゲットを絞りましょう」

と言われると、

どうしても「誰を対象外にするか」を考えてしまいます。

でも、

「誰から始めますか?」

と聞かれると、少し見え方が変わります。

将来の可能性を閉じる必要はない。

市場を小さくする必要もない。

ただ、最初の一歩を決める。

そう考えると、

ターゲットを絞るとは、「誰に売らないか」を決めることではなく、「誰から始めるか」を決めることなのかもしれません。

大きな市場を狙うことと、

最初から広く狙うことは、

同じではないのだと思います。

では、「誰から始めるか」を決めずに、

「全国の企業が対象です」としておくと、何が起きるのでしょうか。

実はそこには、市場規模とは別の問題が隠れているように思います。

次回は、

「全国の企業が対象です」は、本当に市場が広いのか

について考えてみます。

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