片付けは「家全体」から始めなくていい。高齢者の住まいを整える最初の一歩
研修講師、手話通訳士の横山熊太郎です。
AIを活用しながら、シニア向けの情報や、書籍やガジェットの紹介などをしています。
「実家に物が増えてきた」
「親に片付けてほしいけれど、話をすると嫌な顔をされる」
「自分でも整理したいのに、どこから手をつければいいのか分からない」
年齢を重ねるほど、住まいの片付けは大きな課題になります。
長年の暮らしで増えた物には、一つひとつ思い出や用途があります。それらを前にして、いきなり「家全体を片付けよう」と考えれば、気が重くなるのも当然でしょう。
今回紹介するのは、家事アドバイザーの矢野きくのさんが、高齢者にも取り組みやすい片付け方を解説した「介護ポストセブン」の記事です。
スタート地点として提案されているのは、押し入れでも物置でもありません。毎日使っている「テーブルの上」です。
なぜテーブルから始めるのか
ダイニングテーブルやこたつの上には、日々の生活で使う物が集まりやすいものです。
郵便物、チラシ、筆記用具、メモ、読みかけの本、薬、化粧品など。「あとで確認しよう」「すぐに使うから」と置いているうちに、いつの間にか物が重なってしまいます。
テーブルの上が散らかっていると、単に見た目が悪くなるだけではありません。
必要な物を探す時間が増え、大切な書類が埋もれやすくなります。地震が起きたときには、積み上げた物が落ちたり、床に散らばったりする危険もあります。
何より、常に多くの物が目に入る環境は、本人が意識していなくても気持ちを疲れさせることがあります。
反対に、テーブルは片付けた成果が目に見えやすい場所です。きれいになれば、食事やお茶の時間が快適になり、「もう少し整えてみよう」という意欲にもつながります。
テーブルをリセットする6つのステップ
記事で紹介されている手順は、とてもシンプルです。
1.捨てやすいごみ箱を用意する
最初に、大きめのごみ箱を手元に置きます。
袋だけでは口を開く動作がその都度必要になるため、箱やかごにごみ袋をセットしておくと作業が進みやすくなります。
わずかな違いですが、片付けでは「面倒な動作を減らすこと」が継続の助けになります。
2.テーブルの物をいったん全部下ろす
物を一つずつ眺めながら整理するのではなく、まずテーブルを空にします。
何もない面を一度つくることで、片付ける物の全体量が見えます。同時に、「ここをきれいにする」というゴールもはっきりします。
ただし、床へ広げると転倒の原因になることがあります。足元が不安な場合は、近くの椅子や箱を使い、安全な作業場所を確保したほうがよいでしょう。
3.明らかなごみを取り除く
最初から思い出の品や重要書類を判断する必要はありません。
期限が過ぎたチラシ、用事が済んだ封筒、書けなくなったペンなど、迷わず手放せる物から処分します。
判断しやすい物から始めれば、作業の勢いがつきます。
4.同じ物は必要な数に絞る
まだ使える物でも、同じ用途の物が多すぎる場合は数を減らします。
たとえば、何本もあるペンは、使いやすい物を2〜3本だけ残す。読みかけの本や雑誌も、本当に続きを読むものだけを手元に置く。
「使えるか」ではなく、「これから実際に使うか」で考えることがポイントです。
5.残した物の定位置を決める
必要な物は、使う場所に近い収納へ戻します。
文房具は引き出し、爪切りや化粧品は専用の場所、重要書類は書類立てなど、戻す場所を決めます。
定位置が決まっていない物は、再びテーブルへ戻りやすくなります。収納用品を買い足す前に、まずは今ある物の住所を決めることが大切です。
6.最後にテーブルを拭く
すべての物を移動したら、仕上げにテーブルを水拭きします。
きれいになった面を手で拭くことで、片付けの完了を実感できます。この小さな達成感が、「この状態を保ちたい」という気持ちにつながるそうです。
家族が手伝うときに大切なこと
親の家を訪れた家族には、不要に見える物がたくさんあるかもしれません。しかし、本人にとっては、どれも自分の暮らしを形づくってきた物です。
家族の判断だけで捨てたり、「こんな物はいらないでしょう」と責めたりすると、片付けへの抵抗が強くなる可能性があります。
手伝うなら、本人の意思を尊重しながら、
「まず、このテーブルだけ一緒にやってみない?」
「これはどこに置けば使いやすい?」
「迷う物は、今日は決めなくてもいいよ」
と声をかけるほうが進めやすいでしょう。
片付けの目的は、持ち物を強制的に減らすことではありません。本人が安全に、気持ちよく暮らせる場所をつくることです。
「全部やらなければ」を手放す
片付けが進まない最大の理由は、物の量だけではなく、「家中を一度にきれいにしなければならない」という心理的な負担なのかもしれません。
けれど、今日やるのはテーブルの上だけでいい。
終わったら、そこでお茶を飲む。
何も置かれていない空間を眺める。
暮らしやすくなった感覚を味わう。
その小さな成功が、次の引き出しや棚を整える力になります。
大がかりな生前整理や断捨離を始める前に、まずは毎日目にするテーブルを一つ、リセットしてみませんか。
片付けとは、過去を捨てる作業ではなく、これからの暮らしに必要な余白をつくることなのだと思います。
参考記事:
物が多い!高齢者の住まいリセット術「テーブルの上」から始める片付けの簡単ステップ【家事アドバイザー解説】(介護ポストセブン/Yahoo!ニュース)
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