「コミック乱ツインズ」 2026年2月号(その一)
もう雑誌の号数の上ではとっくに正月は終わっていて、もう2月。そんなわけで「コミック乱ツインズ」2026年2月号の紹介です。表紙&巻頭カラーは『鬼役』、特別読切は『猫じゃ!!』と『古怪蒐むる人』です。
今回も印象に残った作品を一つずつ紹介します。
先月号の紹介記事はこちら。
『寿司銀捕物帖』(オズノらいおん&風野真知雄)
第3話「海苔で人が殺せるか」の第2回は、海苔問屋・川本川の旦那・清右衛門の次女の嫁入り先である、乾物屋の元蔵が冒頭から登場します。
前回名前だけ登場した元蔵は、いかにも朴訥ながら真面目な人柄がうかがえる人物。そんな彼にツンデレ親ぶりを見せる清右衛門の姿は、人情もの的な微笑ましさを感じさせますが――そこに重なる入り婿の全二郎の様子はいかにも不穏で、彼がやはり今回の下手人ということなのでしょうか。
しかし清右衛門の死因は、磯辺巻きを喉につまらせたことです。そこに犯罪性があったのではないかと、その時に餅を取り出した医者に問いただす銀蔵ですが、そんなわけあるか、と妄想呼ばわりされてしまうのがなんともおかしいところです。
さて、清右衛門の葬儀の帰りに偶然元蔵夫婦と出会った銀蔵は、全二郎の人となりを聞くのですが――彼は元武士ながら身分の低い又家来で、しかし武士に戻りたがっていたとのこと。このう事実がどう絡んでくるのか。まだまだ先が見えないまま、次回に続きます。
『江戸の不倫は死の香り』(山口譲司)
今回の題材は実際の事件――「翁草」に記されたいわゆる朝比奈騒動。マイナーながら余波が大変なことになった事件です。
事の起こりは、旗本・朝比奈家の当主・百助が病で余命幾ばくもない状況であったところに、後妻のおきのと用人の松田が懇ろになっていたこと。そのことを察知していた息子の万之助は、隙あらば二人の関係を暴いてやろうと狙っていたのですが――そんな中で百助が病死したことから、一気にカタストロフィに突入します。
本当によせばいいのに、二人が故人の湯灌の最中におっ始めたところに乗り込んだ万之助。当然ながら激怒した万之助が刀を抜いて――と、ここからの展開は本当に最低すぎて笑いすら込み上げてくるのですが、しかし止めに入った万之助の妻の兄・千吉まで巻き込まれては笑いどころではありません。
さらにその後始末に隠蔽しようとしたのが裏目に出て――と、本当にメタメタな騒ぎになってしまったこの事件。作中でも軽く触れられているように、実はもう一つの密通が絡んでいたとも言われますが(そして作中の描写もそれを窺わせるのですが)、ここではオミットされたのは、あまりに濃くなりすぎるからでは――というのは穿ちすぎでしょうか。
『猫じゃ!!』(碧也ぴんく)
江戸時代で猫といえばこの人の歌川国芳を主人公に、相変わらずテンションの高すぎる猫愛が炸裂する本作、第六話のテーマは猫のしつけ。
といってもいきなり猫がう○こしているところを見てニコニコしているという、猫好きには当然なんだけども冷静に考えると随分レベル高いな? というシーンから始まるように、基本的に国芳が猫愛を暴走させて、周囲が呆れたり塩対応している場面が八割のような気がします。(だがそれがいい)
スイカの種を虫と間違えて飛びついたり、障子を破り始めたら止まらなくなったり、結構本気で噛みついてきたり――と、猫飼いならよくわかる傍若無人な子猫たちの姿。それに対して国芳が心を鬼にしてしつける――わけもなく、結局はデレるばかりの国芳の姿に、猫好きは頷けばよし、そうでない人は呆れるがよし、とにかく猫の可愛さと国芳の面白さで構成されているのはいつも通りです。
(最初は障子を破られて「ああああああああ!!」とか言ってるのに、あっという間に猫がどんどん上に登れるようになるのにうきうきしている国芳、いかにも猫飼いっぽい)
そんな中で一番人間ができている国芳の母がラストで一気に存在感を見せ、物語を綺麗に締めてみせるのも楽しいところ。次の登場を今から楽しみにしています。
今号は見どころが多いため、三回に分けて掲載します。次回は『エドゼニ』『ビジャの女王』『古怪蒐むる人』の予定です。
