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「コミック乱ツインズ」2025年5月号(その一)

 今月の「コミック乱ツインズ」は、表紙が『鬼役』、巻頭カラーが『江戸の不倫は死の香り』。また、新連載として『エドゼニ』がスタート、特別読切で『猫じゃ!!』、さらに『不便ですてきな江戸の町』の特別編も掲載されています。今回も印象に残った作品を一つずつ紹介いたします。

前号の紹介記事はこちら。


『江戸の不倫は死の香り』(山口譲司)

 毎回、さまざまな視点から描かれる本作ですが、今回はサレ夫の側から――といっても、主人公の六蔵は堂々たる体躯の人足であり、周囲の仲間からも人望厚い兄貴っぷりです。
 女房との関係も良好(というか同じ長屋の住人が当てられて――となってしまうのがなんというか)、飲む打つ買うもやらず、唯一の道楽は寺に法話を聞きに行くくらいという彼が、いったいなぜ――という点はあまり踏み込んでいないのが、かえって六蔵の心中を想像させます。

 むしろ新しい物語の始まりといった趣のないラストシーンといい、いつもとはほとんど別の作品のような味わいのあるエピソードです。

『エドゼニ』(青木雄二プロダクション コヤマサトシ&秋月戸市)

 これまでも幾人も意外極まりないクリエイターが登板してきた本誌ですが、さすがにこれは予想もできなかった作品です。青木雄二といえばいうまでもなく金融漫画ですが――その流れを汲む本作も、本当に金融漫画でした。
 というより、新連載第一回目の今回は舞台のほとんどが現代の日本。しかも物語の内容も、ほとんど一話丸々、とある金融業者の支店であくどく稼ぐ支店長・和板の姿が描かれます。

 他の連帯保証人の存在を伏せての取り立て、倒産寸前の相手からの貸し剥がし――正直なところこちらの分野にはまったく暗かったので、和板のやり口には妙に感心してしまったほどですが、作中でも言われるように、どう考えてもロクな人生を送れそうにない守銭奴ぶりです。
 そしてそれが前フリとなってか、駅の階段から落ちてしまった和板が目覚めてみればそこは!というところで第一話は幕。転生ものというより、やはりバチが当たった感がありますが、しかし作中で語られる主人公の側の背景も考えれば、単純にこれが罰というわけではないのだろうと予想できます。

 次回からタイトル通りの展開となりそうな中で、和板がどのように変化していくのか(あるいはしないのか)、気になる幕開けです。

『不便ですてきな江戸の町』特別編(はしもとみつお&永井義男)

 つい先日単行本最終巻が刊行されましたが、今回は特別編(作中では「番外編」といっていますが……)で後日譚が描かれます。大火に巻き込まれた末、江戸と東京をつなぐ祠に避難したものの、祠も焼失して現代に残ることとなった島部とおよう。その一方で、会沢先生はただ一人江戸に取り残されて――というわけで、今回はその後の会沢の姿が描かれます。

 現代から持ち込んだ市販薬の力で名医として慕われる会沢ですが、それはあくまでもアイテムの力であって本人の力ではない――おまけにどこから持ってきたか決してバラせない――のが大きな弱点。しかしある日、痔の治療が縁で後見のような立場となった鶴亀屋の主人経由で、なんと大奥女中に薬の使い方をレクチャーする羽目になります。
 これまでは私の立場で、町の片隅でこっそりと行っていたからいいようなものの、公の立場の人間に目を付けられては大事になってしまいます。はたして会沢の運命は……

 と、ピンチになりながらも、あまり深刻になりすぎないのは本作らしいところ。まずはめでたしというところでしょうか。
(しかし最終回では洋装を披露していたおようさん、家の中では――なのですね)

『猫じゃ!!』(碧也ぴんく)

 もう第四回となった歌川国芳の猫好き大暴走、今回のテーマはいわゆる「猫のお土産」――猫が外から飼い主の元に得意げに見せびらかすアレです。(残念ながら(?)うちは家猫なのでやりませんが……)
 久々に国芳宅に出現したねずみに、実はねずみ超ニガテの国芳は大パニック。このねずみ、どうやら狩り上手の猫・おこまちゃんが、国芳を鍛えようとして持ってきたようですが、国芳にとってはありがた迷惑。おまけに今度は籠で飼われる貴重な鳥「カナアリア」まで――?

 というわけで、コワモテでも基本的に猫にはデレデレの国芳が、珍しく――という今回ですが、しかしそれもまた国芳の優しさ。そしておこまちゃんも(たぶん)国芳のことを考えての行動ながら、そこですれ違いが生じてしまうのがまた愉快なところではあります。愉快といえば、今回一番笑ったのは、国芳へのおこまちゃんのリアクション。わはは、確かに猫はこれはやる!

 その一方でちょっと勿体なく思えたのは、今回は史実ネタが少なめだったことですが――たった一コマ登場の大物ゲストがインパクト大&非常にらしかったので満足です。
(もう一つ、ラストページは、ニガテな方はちょっと注意……)

 長くなりますので二回に分けます。


前号の紹介記事はこちら。


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