見出し画像

水の神々が生まれます(大和言葉で読み解く古事記)

前回は、家宅六神という住居(スマヒ)のカミが生まれました。
前回の記事は以下のリンクから

今回は、水にまつわるカミが登場してきます。
住むところの次は、命をつなげていくためにまず水が必要だということで水にまつわる神々が出てくるのでしょうね。
また、現在では陸路で移動することが当たり前の感覚になっていますが、太古は、海路の方が便利に移動できたので現代人よりも川や海がもっと身近で重要なものだったのだと思います。
読み下し文の太字の部分になります。

既に国を生み竟えて、更に神を生みき。故、生める神の名は、大事忍男神(おほことおしをのかみ)。次に石土毘古神(いはつちびこのかみ)を生み、次に石巣比賣神(いはすひめのかみ)を生み、次に大戸日別神(おほとひわけのかみ)を生み、次に天之吹男神(あまのふきおのかみ)を生み、次に大屋毘古神(おほやびこのかみ)を生み、次に風木津別之忍男神(かざもつわけのおしをのかみ)を生み、次に海の神、名は大綿津見神(おほわたつみのかみ)を生み、次に水戸神(みなとのかみ)、名は速秋津日子神(はやあきづひこのかみ)、次に妹速秋津比賣神(はやあきづひめのかみ)を生みき。 この速秋津日子、速秋津比賣の二はしらの神、川海によりて持ち別けて、生める神の名は、沫那藝神(あわなぎ)、次に沫那美神(あわなみ)、次に頬那藝神(つらなぎ)、次に頬那美神(つらなみ)、次に天之水分神(あまのみくまり)、次に國之水分神(くにのみくまり)、次に天之久比奢母智神(あまのくひざもち)、次に国之久比奢母智神(くにのくひざもち)。次に風の神、名は、志那都比古神(しなつひこ)を生み、次に木の神、名は久久能智神(くくのち)を生み、次に山の神、名は大山津見神(おほやまつみ)を生み、次に野の神、名は鹿屋野比賣神(かやのひめ)を生みき。亦の名は野椎神(のづち)と謂う。 この大山津見神、野椎神の二はしらの神、山野によりて持ち別けて、生める神の名は、天之狹土神(あまのさづち)、次に國之狹土神(くにのさづち)、次に天之狹霧神(あまのさぎり)、次に國之狹霧神(くにのさぎり)、次に天之闇戸神(あまのくらど)、次に國之闇戸神(くにのくらど)、次に大戸惑子神(おほとまとひこ)、次に大戸惑女神(おほとまとひめ)。 次に生める神の名は、鳥之石楠船神(とりのいはくすぶね)、亦の名は、天鳥船(あまのとりふね)と謂ふ。次に大宜都比賣神(おほげつひめ)を生みき。次に火之夜藝速男神(ひのやぎはやを)を生みき。亦の名は火之炫毘古神(ひのかがびこ)と謂ひ、亦の名は火之迦具土神(ひのかぐつち)と謂ふ。この子を生みしによりて、みほと炙かえて病み臥せり。たぐりに生れる神の名は、金山毘古神、次に金山毘賣神。次に屎に成れる神の名は、波邇夜須毘古神、次に波邇夜須毘賣神。次に尿に成れる神の名は、彌都波能賣神、次に和久産巣日神。この神の子は、豊宇氣毘賣神と謂ふ。故、伊邪那美神は、火の神を生みしによりて、遂に神避りましき。 凡べて伊邪那岐、伊邪那美の二はしらの神、共に生める島、一十四島神、三十五神。

次に海の神、名は大綿津見神(おほわたつみのかみ)を生み、

海のカミが出てきました。
オ 偉大、重要
ホ (緩やかな)出現、秀でる
ワ 円満、充足
タ 高く顕れ多く広がる
ツ 付着、つながり続く
ミ 本質、優しさ

オホ 重要なものが出現してきたという意味でした。
ワタ 古語で海を表すということですが、大和言葉的に解釈すると陸地から海を眺めると、とても広く広がって満たされてる様子だったのでワタと表現したのでしょうね。
ツ は接続のノの意味
ミ マのイの段なので命の働きを表すと考えられます。
また、ツミで「司どる」という意味もあるそうです。

海の命の働きが出現してきた様子、また海を司どるカミが「オホワタツミ」

次に水戸神(みなとのかみ)、名は速秋津日子神(はやあきづひこのかみ)、

ミ 本質、優しさ
ナ 調和
ト 閉止(留まる)
水が調和して留まっている「水の元」の意味です。

ハ 発言、出る、発する
ヤ 沢山
ア 開放
キ 強烈、厳粛、激しさ
ヅ 付着、つながり続く
ヒ 氣の力、エネルギー
コ 凝固、凝集

水が沢山湧き出てづっと続いている様子(陽の作用)

次に妹速秋津比賣神(はやあきづひめのかみ)を生みき。

ハ 発言、出る、発する
ヤ 沢山
ア 開放
キ 強烈、厳粛、激しさ
ヅ 付着、つながり続く
ヒ 氣の力、エネルギー
メ 可愛らしいもの(への愛)

水が沢山湧き出てづっと続いている様子(陰の作用)

この速秋津日子、速秋津比賣の二はしらの神、川海によりて持ち別けて、生める神の名は、

ヒコが流れの激しい急流である川を表していて陽の作用、ヒメの方が、海の緩流を表していて陰の作用です。

沫那藝神(あわなぎ)、次に沫那美神(あわなみ)、

ア 開放
ワ 円満、充足
ナ 調和
ギ 強烈、厳粛、激しさ
ミ 本質、優しさ

アワでもってモノを溶かし込んでいく水の溶解作用を表します。
キが陽の作用で、ミが陰の作用です。
イザナギとイザナミと名前が良く似ていますね。
次の神様も名前が良く似ています。

次に頬那藝神(つらなぎ)、次に頬那美神(つらなみ)、

ツ 付着、つながり続く
ラ 変化活動(開放的な)

ツラで連なる「連結作用」を表しています。
川も海もずうっと繋がって続いています。
その陽の働きを「ツラナギ」、陰の働きを「ツラナミ」

次に天之水分神(あまのみくまり)、次に國之水分神(くにのみくまり)、

ミ 本質、優しさ
ク 結合
マ 真理、時間・空間
リ 変化活動(命の働き)

ミクマリは、水配りということで水の分配を表しています。

今度の二神の違いは、「アマノ」と「クニノ」です。
以前にも「アマノトコタチ」と「クニノトコタチ」という二神が出てきました。これの違いはアマノが宇宙的に、クニノが地球的にという意味でしたので今回もその様に解釈するのが良いだろうと思います。

ちょっと話がそれますが、私が合気道のお稽古を通うじて習う呼吸法があります。そこでは、地球的条件では「肺に取り入れた空気から血中へ酸素を送る」けれども宇宙的条件では、丹田(ハラ)に取り入れた宇宙的エネルギーすなわち氣なるものが神経系統に送られていくと習います。
それを意識して実践すると体感として宇宙的エネルギーが神経系統へ送られている実感を抱くことができる様になるのです。
こうした経験から、地球上にいながらにして、なんか目には見えないけれども宇宙的作用を感じることは可能であるし、そうした作用があるということを信じる様になりました。

宇宙的条件において水を分配する作用を「アマノミクマリ」、地球的条件での水の分配を「クニノミクマリ」

次に天之久比奢母智神(あまのくひざもち)、次に国之久比奢母智神(くにのくひざもち)。

この二神の神様も、「アマノ」と「クニノ」となっていますので、宇宙的条件いおける作用と地球的条件における作用があるのだと思います。

ク 結合
ヒ 氣の力、エネルギー
ザ 微細、繊細
モ 微細なものの集合
チ 継続(するもの)

結合したり、微細なものになっり、微細なものが集合したりして継続している状態なので、水の循環している様子を表していると考えられます。

水に対する太古の方々の感じ方に驚愕すら覚えます。
まず、海を認識する(オホワタツミ)
次にその水源である(ミナト)を認識する
そしてそこには川を司どる(ハヤアキヅヒコ)、海を司どる(ハヤアキヅヒメ)
次に水の溶解作用(アワナギ、アワナミ)陽と陰
次に水の連結作用(ツラナギ、ツラナミ)陽と陰
次に水を分配する作用(アマノミクマリ、クニノミクマリ)宇宙的、地球的
次に水が循環している作用(アマノクヒザモチ、クニノクヒザモチ)宇宙的、地球的

神様の名前だけだと意味がよくわかりませんが、こうして大和言葉一音一音で紐解いていくと、宇宙的な観点から観て水がどの様な働きを持っているかの全体感を持っていたということが良くわかります。
ほんま、凄いなあ!

最後まで、お読み下さりありがとうございます。
続きは、以下リンクよりご覧下さい。

【参考文献】
古事記 倉野憲司校注 岩波文庫
縄文のコトダマ 林英臣著 博進堂
やまとことば伝説 林英臣著 博進堂
大和言葉の世界観 河戸博詞著


いいなと思ったら応援しよう!