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【文学フリマ挑戦】#35 走馬灯の如く総集編「なんでここにいるんやろ――半年間の答え合わせ」|MMPP Publishing

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文学フリマ大阪14、いよいよ!
いや、今日、まさに今からなんですけれど。
こう、この半年間をキュッとギュっとコンパクトにまとめてみました。

『文学フリマ本番直前』 作:MMPP.K

 この半年間、今日の日を考えない日なんてなかった。

 2026年9月13日。
 インテックス大阪。
 文学フリマ大阪14。
 ブース番号、【な-10】。

「ついに、やってきた」

 目の前には、私が作った本が並んでいる。表紙。タイトル。ページ数。値段。全部、自分で決めた。隣にはポップ。おしながきもある。釣り銭も用意した。

 やることは、だいたいやった。あとは、開場を待つだけ。

 時計を見る。まだ少し時間がある。
 周りを見る。

 本がある。

「本、本、本……」

 いろんな人が、自分の作ったものを持ってきている……なんか、すごいところに来たな。

 半年前。

 文学フリマというものを知った。本を作って、自分で持っていって、自分で売る。そんな場所があるらしい。
 へぇ。面白そう。それだけだった。

「観に行ってみようかな」

 たぶん、最初はその程度だった。
 別に、大きな決意があったわけじゃない。人生を変えようと思ったわけでもない。

 なんとなく。

「やってみたい」

 そう思った。それだけ。

 でも、「やってみたい」と思ったら、気になる。

 文学フリマって何?
 どうやって出る?
 いくらかかる?
 何を持っていけばいい?

 調べる。調べると、また分からないことが出てくる。
 調べる。また出てくる。

 こうして、少しずつ話が大きくなっていった。

 最初は、本がなかった。

 だったら作る。

 文章はある。まとめる。本にする。
 ところが、本を作るとなると、文章だけでは足りない。

 表紙がいる。ページを組まないといけない。サイズも決める。印刷方法も考える。値段も考える……本って、こんなにいろいろ考えるもんなんか。

 知らなかった。
 知らなかったから、調べた。調べたら、なんとなくできそうだった。

 じゃあ、やってみる。

「できた!」

 初めて自分の本を手にした。
 内容はしょぼいというか、拙い。本も小さくて薄っぺらい。

 でも、画面の中にあった文章が、紙になっている。厚みがある。めくれる。

「本やな」

 当たり前なのに、ちょっと感動した。

 ごめん。
 私、大嘘ついた。

「うぉおおおおおお!なにこれ。なにこれなにこれ、愛おしすぎるんだけど!」

 本当はこれくらいでした。

 ところが、後から読んでみる。

「あれ?」

 文字、ちっちゃくない?
 作っているときは、気づかなかった。画面では分からなかった。紙になって、初めて分かった。

 画面は、どこまでも拡大できる……なるほど、そういうことか。

「老眼のせいやな」

 次は直そう。一つ分かった。

 毎日、帰っては本棚から取り出して眺める日々を送っていました。

「せっかく作ったんだから、誰かに読んでもらいたい」

 なんて思うようになった。だが、恥ずかしい。これも素直な気持ちだった。
 作るだけで満足すると思っていた。

 違った。

 読んでほしい。
 でも、どうやって?

 noteに書く。Xにも投稿する。記事を書く。画像を作る。タイトルを考える。投稿する。反応を見る。

 ちょっと増える。嬉しい。増えない。気になる。
 また書く。また投稿する。また見る。
 数字に一喜一憂する自分がいる。

「そんなに気にせんでもええやろ」

 わかってる。でも、見る。人間、そんなに単純でもない。

 そして、文学フリマに申し込んだ。
 申し込んだだけなのに、急に現実味が出てきた。

「本当に出るんだ」

 そうこうしていると、ブース番号が届いた。
 【な-10】。

 番号が決まると、もう「いつか」ではない。

 9月13日。

 ここに、な-10、自分の名前がある。

「……ほんまに出るんやな。いいねんな。いくで?」

 そこから、また考える。

 何冊持っていく?
 何を売る?
 値段は?
 お釣りは?
 ポップは?
 おしながきは?
 無配は?
 机の上は?
 次から次へと、考えることが増えていく。

 最初は、

「本を持っていけばええんやろ」

 くらいに思っていた。

 全然違った。
 でも、面白かった。

 分からない。だから調べる。考える。やってみる。違った。じゃあ、変える。またやってみる。
 気づけば、そんなことを繰り返していた。

 レーベルの名前もつけた。

「MMPP Publishing」

 これも、最初から壮大な計画があったわけじゃない。
 一人でやっている。じゃあ、何て言えばいい?

「サークル?」

 違うな。

「レーベル?」

 ……それでいこう。そんな感じだったと思う。

 名前をつけたら、不思議なもので、ちょっとだけ形になった。

「MMPP Publishingとして、何をする?」

 そんなことを考えるようになった。
 一冊で終わらなくなった。次の本。その次の本。作品をまとめる。本にする。また作る。いつの間にか、最初に考えていたより、本が増えていた。

 もちろん、全部がうまくいったわけじゃない。

 思っていたより読まれない。思っていたより売れない。思っていたより時間がかかる。思っていたより、やることが多い。

「あれ? こっちじゃなかったな」
「おお、これはいけるやん」

 誰かに読んでもらえる。スキがつく。感想が来る。本を手に取ってもらえる。
 そういう、小さなことが嬉しい。

 嬉しいから、またやる。やるから、また分からないことが出てくる。
 その繰り返し。

 考えてみれば、私はずっと同じことをしていた。

「どうしたらいい?」と思ったら、調べる。

 調べても分からなかったら、考える。考えたら、とりあえずやってみる。
 やってみたら、「あっ違った」となる。

 なら、直す。

 うまくいけば、「おおっ!」となる。
 
 嬉しい。またやる。

 ものすごく特別なことをしているわけではない。
 東京の文学フリマには、もっとたくさんの人がいる。コミケなんて、もっとすごい。自分で作ったものを持ってきて、「見てください」と並べている人が、ものすごくたくさんいる。

 本だけじゃない。漫画もある。絵もある。ゲームもある。いろんなものがある。
 そう考えると、今日ここにいること自体は、別に特別なことではない。

 ただ、やってみた。

 それだけ。

 そして、半年経った。私は今、ここにいる。

 本を作った。売る準備をした。文学フリマに出る。
 それだけ聞けば、たいしたことのない話なのかもしれない。

 でも、自分でやってみると、たいしたことのない話ではなくなる。
 本を一冊作る。自分で考える。印刷する。届く。開ける。

 嬉しい。

 読んでみる。

「あかん、ここ直したい」

 直す。また作る。誰かに読んでもらう。反応がある。

 嬉しい。

 反応がない。考える。また書く。

 そうやっているうちに、半年経った。今日、ここにいます。

 半年前の自分が、「半年後、お前は何してる?」と聞かれたら、なんと答えるんやろ。

 本を作ってる。レーベルをやってる。文学フリマに出る。
 ……たぶん、いちばん信じないのは、

「これ、けっこう楽しいで」

  かもしれない。

 楽しいだけじゃない。面倒なこともある。うまくいかないこともある。悔しいこともある。自分の足りなさも、よく見える。

 きっと、嬉しいこともある。

 思っていなかったことが起きる。知らなかったことを知る。できなかったことが、できるようになる。

「じゃあ、次は?」となる。

 人間って、面白い。
 一つ疑問が解決すると、また別の疑問が出てくる。
 一つやってみると、また一つやってみたくなる。

 だから、たぶん。今日ここに来たことも、答えではない。半年間の答え合わせの、途中なんだと思う。

 私が何を思ったのか。何が嬉しかったのか。何が悔しかったのか。それは、私のものだ。
 私が自分でやったから、私が味わえた。
 私も、ここまで来るまで分からなかった。

 だから今日は、ここまで。この先は、文章にしてしまうより、自分で味わってきたい。

 時計に目をやる。

「そろそろだ」

 会場の空気が、少し変わる。

 周りを見る。

 みんな、自分の本を見ている。私も、自分の本を見る。

 半年か。長かったような。短かったような。
 そして、ふと思う。

 半年前の私。

 なんで、あんなこと始めたんやろ。
 答えは、たぶん簡単だ。

「やってみたかったから」

 時間です。

 それでは、楽しんでくるよ。

【な-10】 

▶ #36-1 9月13日、文学フリマ大阪14当日|第1話「朝8時、文学フリマ会場に着いた」
#34 ~おしながき~ MMPP Publishing in 文学フリマ大阪14(2026年)

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