ブラウン管の中に世界の構造を探す──286が教えてくれた宇宙の動かし方
むかしむかし、Windowsなんか影も形もなかった時代。
そしてインターネットもまだ存在しなかった。
世界は黒い画面と白い文字で動いていた。
そんな頃、僕はついにPCを手に入れた。
高卒の初任給で、会社にローンを組ませてもらって。
ここまで育ててくれた両親にプレゼントを買うのも忘れて。
社会人1年目の夏、人生の最初の大金を機械にぶっこんだ。
💰 スペックと価格が泣ける
本体が約32万円。
14インチのCRTディスプレイが約8万円。
ハードディスク?そんな贅沢は標準装備されていない。
別売りの20MB(メガ!)HDDを購入。
しかもつなぐにはSCSIボードが必要で、これも追加出費。
あわせて10万円也。
値段はうろ覚えだが、財布のメモリは確実にオーバーフローしていた。
でも、あのHDDの音だけは今でも覚えてる。
ガリ……ジィィィ……カチカチカチ。
あれは未来が回転する音だった。
💾 世界はまだDOSで動いていた
MS-DOS、バージョン3。
そしてコンパイラは MS-C。
黒い画面に白い文字。IDEなんてまだない。
make と link が親友で、エラー L2029 が天敵。
makefileを一行ずつ直して、「動け……動け……!」と祈る夜。
当時の僕にとってコンピュータは、世界を動かす装置そのものだった。
そして信じていた。
プログラムが書ければ、世界の構造を再現できる。
すなわち、なんでもできる。
🧠 スタックとレジスタに恋をした青年
音を鳴らせば画面が止まり、画面を動かせば音が止まる。
そんな“一度にひとつしか考えられない世界”が許せなかった。
「よし、自分でマルチタスク作ろう。」
もちろん、これは仕事でも研究でもない。完全に趣味の暴走。
C言語にアセンブラをぶち込み、スタックポインタを退避し、レジスタをプッシュ・ポップ。
自作スレッドスケジューラ(自称)が完成。
あのDOSが“同時に動いた”。
動いた瞬間、奇跡みたいだった。
世界が同時に動いた。DOSのくせに。
🌏 次なる野望:地球を作る
マルチタスクが動いたら、次は世界を作る番。
3D API?ない。
行列?電卓。
Zバッファ?精神論。
自分の家をポリゴンで再現して、ウォークスルー。
シリアル接続のマウス入力を割り込み命令で拾ってマウス操作に対応させた。
前に転がせば前進、右に動かせば視界が回転。

深夜のブラウン管の光の中で思った。
「……俺、未来を手で動かしてる。」
🪐 結果:Googleに先を越される
数年後、Google Earthが登場。
僕の夢、まるかぶり。
しかも美しくて、完成度が高かった。
でも、不思議と悔しくなかった。
「ああ、俺が作りたかった世界、ちゃんと誰かがやってくれたな」って思えた。
🤖 そして2025年、AIにnote記事を書いてもらってる
いま、こうしてAIと世界の構造を語り合ってnote記事を書いてもらってる。
僕はいま、かつて自分が夢見た“コンピューターの中の世界”にいる。
世界を再現したかった少年は、再現された世界の中で世界を語っている。
完全にループ構造。
もしあの頃の僕に言えるなら、こう伝えたい。
「お前の作りたかった世界、今ちゃんと動いてるぞ。」
🧩 あとがき:自己紹介
職業:世界を構造で見たがる人。
趣味:現実の分解と再構成。
信条:「バグも含めて世界は動いている。」
