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『光の感染者』 第3話| 確認

「人は得たもので変わるのではない。

何も得られなかった時の態度で、正体が現れる。」



 結論から言えば、
ジャグラーに必勝法など、ない。

あると言い張る人間は、
だいたい負けている最中か、
たまたま勝った直後である。

人は、
偶然に意味を与えずにはいられない生き物だ。

出たから、次も出る。
出ないから、そろそろ出る。

そう信じている間だけ、
人は、
自分が救われた気になる。

だが、機械は冷たい。
情もなければ、
こちらの人生にも、
一切の興味がない。

レバーを叩く。
「今」この一瞬に、すべては決まっている。

それ以前の努力も、
それ以後の祈りも、
何一つ、関係がない。

それでも人は、
「設定」という言葉にすがる。
まるで、神の居場所を探すように。

確かに、
設定の良い台は存在する。

存在はするが、
それが今、
自分の目の前にある保証はない。

しかも、
あったとしても、
人生が良くなるわけでもない。

勝った日は、
自分が賢くなった気がして、

負けた日は、
世界が悪いと、
簡単に信じ込む。

だが本当は、
勝っても、負けても、
人は何も変わらない。

一番勝つ人間は、
最初から打たない人間だ。

だが、
それを知っていても、
なお席に座るのが、
人間である。

理由は簡単だ。
人は金を欲しがっているのではない。

「自分は選ばれている」
という錯覚を、
ほんの一瞬でも、
味わいたいだけなのだ。

ジャグラーは、
その錯覚を与えるために、
実によくできている。

だから私は、
この台を憎めない。

人間の弱さを、
あまりにも正確に、
写し取っているからだ。

勝っても、何も変わらない。

必勝法がないと知ってなお、
それでもレバーを叩く。

その姿こそが、
人間の本性なのだろう。

救いがあるとすれば、
負けたあと、
少しだけ静かになれることだ。

ああ、
今日は負けたな、と。

それだけを、
正直に認められた夜だけは、

ほんの少し、
人間が、
まともに見える。


人はよく、
神は存在するのか
という議論を好む。

だが実際には、
彼らはすでに神を知っている。

人生の経験を通して、
多かれ少なかれ、
神の存在を認めてしまっている。

神の存在をまったく知らずに
生きている者など、
この世界にはいない。

生まれたばかりの赤子は、
もっとも神に近い存在だ。

理由は単純で、
存在そのものに、
無条件で人が集まるからだ。

人はそこに、
希望を見る者もいれば、
愛を見る者もいる。
使命を感じる者もいれば、
神々しさを見出す者もいる。

だが、その瞬間から、
人は教育される。

愚かなる人間たちによって。

多くの人間は、
やがて、
ぼろ雑巾のような人生を送り、
誰も信用できなくなり、
最後にこう呟く。

「神はいない」と。

それは、
神がいなかったからではない。

自分自身を、
信じる勇気を
持てなかっただけだ。

社会は、
それを許さない。

それがこの世界の仕掛けであり、
悪魔が及ぼすことのできる、
影響の範囲
だ。

この仕組みを知るか、
知らないかで、
人生という、
取り返しのつかないフィールドにおいて、
人は大きな損失を被る。

だから、
考えなさい。

人間たち。

金を得た、その先で、
あなたは何をするのか。

その経験を、
十年続けた先に、
何があなたを待っているのか。

結局のところ、
人間は、
表現者でなければならない。

神は、
世界を物理的に破壊し、
人類を滅ぼそうとしているわけではない。

神の雷とは、
建物を壊すものではなく、
思考に落ちる衝撃だ。

それは、
物理的な殴打でも、
一時的な感情の高揚でもない。

人類の進化とは、
もっと深く、
心が震えるものだ。

一度、知ってしまった者は、
もう戻れない。

だが、
それこそが、
人生の成功なのだ。

私は、
こう断言しよう。

もし人間を創った神が
本当に存在するとしたら、
神はこう望んでいる。

「自分の人生を、
自分の言葉で生きよ」と。

もし、
人間がその望みの通り、
今を生きるなら、

その先で、
あなたを待っているのは、
恐怖ではない。

沈黙でもない。

ただ、
逃げずに立っている、
あなた自身だ。


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