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『私という病』第46話|永遠の存在のあなたへ、愛をこめて

「目覚め」とは、ただ朝にまぶたを持ち上げることではない。

それは、長い悪夢の底から浮かび上がり、
はじめて本当の光に触れたときのような、
静かで、決定的な出来事である。

これまで見ていた世界は、どこか曇った舞台のようだった。
触れられるもの、聞こえるもの、確かにそこにある感覚。
私たちはそれを疑いもなく「現実」と呼んできた。

だが、ある瞬間。
それらは、裏返されたカードのように、別の顔を見せる。

世界の輪郭。
自分の声の響き。
理解しているつもりだったものの正体。

すべてが、わずかに揺らぎはじめる。

「それは本当に意味があるのか」
「その痛みは、本当に自分のものなのか」

問いは声高ではない。
むしろ、消え入りそうなほど静かに、しかし確実に現れる。

ただ一つ、確かなことがある。
あなたが今、ここに生きているという事実だ。

それは、この沈黙する宇宙の中で、
奇跡と呼ぶほかない現象である。

人として生まれたこと。
それ自体が、すでに説明を超えた出来事なのだ。

私は、人間を否定したいわけではない。
ただ、よくできた心を持ちながら、
何も知らず、何も選ばず、
そのまま終わっていくことだけが、どうしても惜しい。

人は「みんながそうしているから」という理由だけで、自分を納得させ続ける。

だが、忘れてはならない。
この世界という舞台の主役は、あなた自身である。

家族も、友人も、同僚も、
通り過ぎた風も、偶然の出会いも、
すべてはあなたの物語に現れる登場人物にすぎない。別れもあれば、再会もある。

だが、主人公の席だけは、
決して誰にも明け渡してはならない。

たとえ誰かを支える役割を選んだとしても。

もし心の奥に、
どうしても惹かれてしまうものがあるのなら、
どうか、それを見過ごさないでほしい。

理解されなくてもいい。
むしろ、理解されないことの中にこそ、
あなただけの輪郭が宿っている。

この世界には、驚くほど多くの人間がいる。
だがその多くは、「自分以外の誰か」を生きている。

少し賢く見えるように振る舞い、
少し正しくあろうとしながら、
互いに見えない何かを競い合っている。

その光景を見ていると、
私はときどき、言葉を失う。

あなたが生まれた理由は、ただ一つ。
あなたの人生を、生きるためだ。

もし仮に、神と呼ばれる存在があるのなら、
それはきっと、完璧な人間ではなく、
迷い、揺れ、もがき続ける存在を見ている。

自信に満ちたあなたも、
不安に沈むあなたも、
立ち止まるあなたも、
すべてが、この世界に一度きりの表情である。

私もまた、私という物語の中を歩いている。
言葉を拾い、意味を探し、
ときに立ち止まりながら。

もし、あなたを縛るものがあるのなら、
それは外側にあるのではない。

いつの間にか、自分の内側に置いてしまったものだ。

気づいたとき、
それは静かにほどけていく。

最後に、一つだけ。

あなたが自分の道を歩きはじめたとき、
必ず声が聞こえる。

「それはわがままだ」
「現実を見ろ」
「無理に決まっている」
「君のためを思って言っている」

だが、それでいい。
それらはすべて、
あなたの物語に現れる、ひとつの声にすぎない。

肩書きが何であれ、立場が何であれ、関係はない。
これは、あなたが始めた物語だ。

主人公が、通りすがりの言葉ひとつで、
進む道を手放す理由はない。

だから、どうか忘れないでほしい。
選んでいるのは、いつもあなた自身だということを。


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