連載ファンタジー小説「オボステルラ」 【第三章】4話「ゴナンが消えた」(7)
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4話 ゴナンが消えた(7)
「…リカルド…」
と、エレーネがリカルドに声をかけた。彼の目をじっと見る。
「…ねえ、あなたがそこまで打ちひしがれている理由が、正直、私にはよくは分かっていないのだけど、今、ここには4人いるのよ。あなた1人で全部を追う必要はないでしょ?」
「……」
「ゴナンが大事なのはもちろんだし、巨大鳥と卵の情報が一度に一箇所に揃うというのも、もしかしたらかつてないくらいのチャンスよ。ここは手分けするべきじゃないかしら」
「…エレーネ…」
「私達は、多少は信頼し合える間柄にはなっていると思うのだけど?」
エレーネからこのような言葉が出るのは、少し意外な気がする。しかし、リカルドの混乱していた思考は、おかげでスッと収まった。
「……、そうだね。ちょっと取り乱してしまって…。申し訳ない…」
「…あなたはゴナン探しを続けた方がいいわね。その方が、まだ心が落ちつくでしょ? ナイフは飲み屋街でゴナンの情報と卵の噂を追う。そして、もうⅠ頭馬を借りて、ミリアと私で西の方の水場を探す。もし巨大鳥に遭遇できたら、まずは接触を図ってみる。これでどうかしら?」
エレーネがハキハキと明日の計画を話し始めたことに、リカルドはもちろん、ミリアもナイフも少し呆気に取られた。
「…? 何か不満点があるなら…」
「あ、いや。エレーネからそんなに積極的に提案が出るのが、ちょっと意外で…」
リカルドの言葉に、エレーネは少し微笑む。
「博士が弱っているのが、見ていられなくて」
「…申し訳ない…」
リカルドも微笑む。ナイフはふう、と息をついて、パタ粉のパンをもう一つ、リカルドの口に突っ込んだ。
「さ、ご飯食べてシャワー浴びて寝なさい。きっと、うまくいくわよ」
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また夜中にゴナン探しに徘徊しそうな雰囲気があったため、リカルドがベッドに入って眠るまで確認してから宿へと戻る3人。随分、夜も更けている。ミリアは少し眠そうにしながらも、心配げな顔でナイフに尋ねた。
「ねえ、ナイフちゃん。今日のリカルドが、普段とまるで別人のようで、とても驚いているの。大丈夫なのかしら?」
「……そうね…」
ナイフはまたふう、とため息をつく。もう、呼吸が全てため息になってしまいそうだ。
「…ただゴナンが行方不明というだけでは、あそこまで弱ることはなかったかもしれないけど。あ、いえ、それはわからないわね」
「?」
「その前の日に、食堂で故郷の人と会ってたでしょ? リカルドは、その、故郷ではあまり良い暮らしを送っていないそうなのよ。家族で暮らしたこともなければ、周辺の人からもあまりよい扱いをされていなかったみたいで。それで、故郷のことは彼の弱点になっているの」
「……」
これ以上の詳細はナイフの口からは話せないが、あの食堂でのリカルドの豹変ぶりを思い出し、ミリアは納得したようだ。
「…その2つが重なってしまって、リカルドはちょっと弱ってしまっているのね。でも、そういうこともあるのよ。あまり大げさに騒がず、見守ってあげて」
「…ええ、そうね…」
「それにしても、本当に、ゴナンはどこに行ったのかしら…。さすがに心配になってくるわね…」
「……」
ミリアもうつむく。『工房タイキ』でのゴナンの様子を、思い出していた。なぜ彼は、あんなに自分に絶望したような表情だったのだろうか。
(…ゴナンは、何でもできるのに…。どうして自分を卑下してしまうのかしら…)
ミリアは歩きながら、夜空をふと見上げた。ゴナンがいつも見上げている彼方星が目に入る。彼は今、どこかであの星を見ているのだろうか。

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