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連載ファンタジー小説「オボステルラ」 【第三章】5話「探索と遭遇」(1)


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第三章の登場人物



5話 探索と遭遇(1)


 翌朝。
やはりゴナンは帰ってきていない。

一行は一度リカルドの拠点に集まり、昨日のエレーネの提案通りに手分けをすることにした。

「…リカルド? あなた、また夜中に歩き回ってた…?」

ナイフがジロリとリカルドを睨む。どき、と分かりやすく反応するリカルド。眠るのを見届けたはずなのに、とエレーネも呆れたような様子でリカルドを見る。

「…心配なのは分かるけど、結局、そんなことしても見つからないでしょ?」

「……でも…」

「あなたが倒れたら、ゴナンを探す人手が減ってしまうのよ。非効率的なことはしないの、わかった?」

ナイフに説教され、リカルドはシュンとなった。ミリアはそんなリカルドの様子を、少し興味深げに見ていた。

「さて、じゃあ、それぞれ、行きましょうか」

ナイフは皆に声をかけ、ミリアとエレーネは街の貸馬屋へと出発した。自身も拠点を出ようとして、ふとリカルドを振り返った。相変わらず顔色も悪いし、何より表情がどんよりと沈みきっている。

「…リカルド。今日は一緒に動きましょうか?」

「…大丈夫だよ、ナイフちゃん。僕は多少無理したって、今すぐには死なないんだし…」

「それはいいから」

ナイフはじっとリカルドを見る。

「何度も言うけど、あんまり思い詰めすぎないようにね」

「…僕は別に…。ただ、ゴナンが心配なだけなんだよ」

「まだ、2日いないだけよ。大丈夫よ」

ポン、と肩を叩いてナイフは出ていく。あのときと同じように、パタン、と閉まる扉を見て、リカルドは泣きそうな顔になった。

「…でも、昨日はまだ1日いないだけ、だったじゃないか…」

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 さて、ミリアとエレーネ。

貸馬屋で馬を借り、街を出て西の方へと出発した。エレーネがミリアを支えるように乗馬している。街の門を出ると、すぐに草原エリアへと入った。馬は走らせず、まだ歩かせている。

「エレーネは馬を駆ることもできるのね。素晴らしいわ」

「まあ、旅をする上で必然的にね。一人旅だったから、自分で乗れると便利なのよ」

「ねえ、エレーネ…」

ミリアが、少し申し訳なさそうな表情になる。

「やっぱり、わたくしも手分けして、1人で工場への聞き込みに回った方がよかったのではないかしら?」

「どうして?」

「わたくしが一緒に乗っているせいで、もし鳥が現れても馬のスピードがでないかもしれない。そもそも、わたくしの不運の星が…」

「それは関係ないわよ。…それに、もしあなたに『不運の星』なんてものが付いているのなら、それはそれでとても興味深いのだけれど」

そう答えるエレーネに、ミリアは首を傾げる。

「…ああ、まあ、それは気にしないで」

「そもそも、いつもあなたに守られてしまっているのが、申し訳ないわ。わたくしも一人でも動けるのよ」

「そういうわけにはいかないわ。あなたはこの国の王女なのよ。万が一が起こってしまってからでは遅いから」

ふふ、とエレーネは微笑む。

「それに、あなたを一人にすると、またとんでもないことをやらかしそうで、心配だわ」

「まあ、エレーネはわたくしをそんな風に見ているの?」

「普通の淑女は、目の前に巨大鳥が来たからってすぐに飛び乗ったりはしないものよ。驚いて大声で叫んで兵士を呼んで終わり」

「わたくしも、普段はそうだとおもうわ。今回が特殊だっただけ」




そう、背筋を伸ばして答えるミリアの後ろ姿を見て、「そうかしら…」とエレーネは苦笑いする。

「でも、今回はエレーネも珍しく、積極的だったわね」

「あら、あなたは私のことをそういう風に見ているの?」

「ええ、なんだか、何事にも一歩引いて関わるような人だと思っていたから」

さあっ、と草をなぜて風が吹く。カッポカッポと馬に揺られる二人の髪がふわりと巻き上がった。

「…そうね…。普段はそうだけど、リカルドがあまりにも、ね」
「ええ…」

ゴナンがいなくなってから、ひどく憔悴しているリカルドの姿。自分のせいでゴナンが離れていったと思い込んでいるようだが…。

「…それに、手分けをするのなら、私は必ず鳥探しの方に付きたかったから」
「え?」

エレーネが小声で付け加えた。良く聞こえずに、ミリアは聞き返す。

「…いえ、何でもないわ。さあ、水場を探さないといけないわね。馬を走らせるから、舌を噛まないように気をつけて」

「え…ええ…」

エレーネは手綱を操り、馬が走り始めた。平らな草原の中を馬で疾走する、その爽快感にミリアの表情は輝く。

「こんな時になんだけれども、とても気持ちいいわ。わたくしも馬を操れるようになろうかしら」

「そういえば…」

エレーネはふと、腕の中のミリアに尋ねる。

「馬も走らせれば結構揺れるものだけど、鳥の背に乗ると、揺れのひどさは馬どころではなかったのではない? よく無事だったわね」

「え? そうなの?」

ミリアはキョトンとした様子で尋ね返した。

「そうなの?って…。鳥でしょう? とても羽ばたくじゃない。揺れなかった?」

「…そう言われてみれば、体はとても上下していたような気はするけど、揺れがきついとか酔うとか、そういう感じはなかったわね。むしろ快適だったわ…」

「…? 飛び方が、普通の鳥とは違うのかしら」

エレーネは首を傾げる。巨大鳥に関して、確認したいことは山のようにある。エレーネは疾走の中でも目を凝らして、水場がないかを丹念に探し続けた。


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