見出し画像

第11回「週刊ことさきく」:成功の秘訣は「多元化」にあり!

「週刊ことさきく」ポッドキャストにもなりました!

ユーチューブは、ここ

「週刊ことさきく」の第11回目です。
テーマは「成功の秘訣は「多元化」にあり!」。

「多元化」とはなんぞや、
なぜ、いま「多元化」が必要なのか、
なぜ、それが成功につながるのか
などなどを、さまざまな観点から深く考えていきます。

☆☆☆

0:55  高橋 
まず先生から、多元化とは何かというところから、お話していただきたいと思います。

1:20 成瀬
多元化というのは、ひとつのことにこだわらない、ということです。なぜこれがいま大事になってきているかというと、やはりグローバル化に関係しています。
世界はどんどんとグローバル化していて、自分たちと違う価値観、ものの進め方、人間関係というものに触れる機会が多くなってきています。
多元化の反対は「一元化」ですが、これは日本ですね。
みんな同じように考えていて、同じ目標を持っていて、同じ道を進もうとしていて、だからスムーズにものごとが進むと肯定的に捉えている人がいて、そこから外れる人がいたら、仲間外れにされる、という社会を私たちはつくってきました。
こういう社会にはいい面もあります。堅牢ですし。それが日本の成功のひとつの要因になっていたと思います。もちろん、いろいろな見方がありますが。高橋さん、そうは思いませんか。

3:40  高橋
そうですね。

3:45 成瀬
ただ世界を見てみると、日本のような国は珍しく、また現在の世界の動きにマッチしていない部分が出てきたと思います。で、じゃあ、どうするか、というのが私たちに問われているところです。

これからは、価値観とか、モノの進め方とか、評価の仕方とかがバラバラになる環境で、私たちは生きていくことになるだろうと、私は思っているんです。高橋さん、そう思いませんか。

4:40 高橋
みんなが同じ方向を向いて効率的に進めるときと、逆にそれが障害になってしまうときというのがあると思います。

5:00 成瀬
みんなが同じ方向を向いてくれれば、こんなに楽なことはないんだけれど、そういう環境がもう作れなくなっているんじゃないかと思います。
あの人とは気が合わないとか、そんなレベルの話ではない。いまのグローバル社会では、それとは次元が違います。
そんなふうに次元が違うほどに異なる人たちと、これからうまくやっていくことを「成功」と呼ぶならば、そこで必要なのは「多元化」であるという考え方なんです。

これに対して、そんなのはめんどくさい、そんなのはいやだ、ツーカーで話の通じない人たちとやっていくのはつらい。そうでなく、自分たちの仲間だけでこじんまりとやっていきたい、というような気持ちは、どこかにないですか、高橋さん。

6:10 高橋
私は、あまりないですね。

6:20 成瀬
私はそういう気持ちがじつは強かったです。だって、いやじゃないですか、めんどくさいじゃないですか、違う人たちと一緒にいるのは。それよりも、同じようなメンタルを持っていて同じ文化を共有する人たちと、こじんまりと暮らせるといいなあ、と思っていました。

7:10 高橋
それは、ちいさいコミュニティにいかないと駄目ですね。アマゾンのイゾナドとか。日本なら田舎がいいんじゃないでしょうか。

7:50 成瀬
いや、田舎は私にとって完全な異文化だから、ダメですね。
いずれにしろ、そうしたこじんまりとした人生は、もはや非現実的ですね。

これからは、文化がまったく違って、ものの考え方がまったく違っており、「論理」そのものさえ違っている、そのような人々とともに活動をして、何かを成し遂げていくということを、もし「成功」と呼ぶならば、それには「多元性」が必要だと思います。

この日本という国は、いまそうした多元化から逃げられない状況にあると思います。たしかに、もういちど鎖国しようという人がいるぐらい縮み志向が出てきていますが、それはできない相談ですね。だから、異文化のなかで成功を目指していくしかないし、そのために多元性が必要だと思います。

10:40 成瀬
そうした観点から、いくつか本を紹介します。
まず『木を見る西洋人 森を見る東洋人』(リチャード・E・ニスベット)という本では、西洋人と東洋人とでは世界観や思考の仕方、ものの捉え方が、私たちが思っている以上に大きく違っているということを、さまざまな観点から考察したものです。
たとえばある実験では、東洋人が全体をまず把握しようとするのに対して、西洋人は一番目立つひとつのことに意識を集中させることがわかっています。
これに近いテーマの本で『ボスだけを見る欧米人 みんなの顔まで見る日本人』(増田貴彦)という本もあります。
つまり、同じ状況を見ていても、文化が違うと違うように見えているということです。当然ながら判断も違ってきます。するとビジネスの場だとすれ違いになっていく。

もうひとつ本を紹介します。『異文化理解力』(エリン・メイヤー)という本です。これは文化的差異の影響をビジネスに特化して解説した本です。原題はCulture Mapといいますが、グローバルビジネスコンサルタントである著者のメイヤーは、世界の各文化によるビジネスの進め方などの違いをひとつのマップにまとめています。
面白い例としては、オランダの会社(たぶんユニリーバ)のなかでのメキシコ文化の持つ上司とオランダ文化を持つ部下とのあいだの衝突が述べられています。
高橋さん、どういう衝突だと思いますか。

18:00 高橋
えー? メキシコの上司の態度がウェットだ、とか、ですか。

18:10 成瀬
そうなんですよ、私も読む前はそう思ったんですが、じつはぜんぜん違いました。
そうではなく、メキシコ人のボスが、オランダ人の部下が何もいうことを聞いてくれないと嘆いているわけです。
これはなぜかというと、メキシコ文化ではいまでも家的な文化が残っていて、家長のいうことをみんなよく聞く、会社でもそれに似た文化がある一方、オランダはそうした家的な文化がほぼ完全になくなっていて、一人一人が考えたうえで合議制でものごとを決めるという文化が根づいている。ゆえに会社でも、ボスといってもいわばみんなの調整役のような役割しかない、これが衝突の原因だということです。一方、アメリカの企業文化では、ボスが全権を握っているのが普通。こんなふうに、文化によってそのあり方が根本的に違っている。

23:00
問題は、そういうなかでどのように成果を出していくのかということです。
これは、私たちがグローバル英語を使うということの原点ともいえます。英語の使うことはあくまでツールであって、その向こうにはこういう話がある、ということです。
そのほかに、中国人の議論の進め方と、アメリカ人の議論の進め方の本質的な違いということも例として載っています。
いずれも直接の解決策はありませんが、重要なことは、まず話し合ってお互いの違いをまずはしっかりと理解しあうことです。それがここでいう「多元的」であるということの意味です。
ここまで、どうですか。ちょっとは「成功」と「多元的」とが結びつきましたか。

24:50 高橋
ひらたくいえば、世の中にいるいろいろな考えの人と、いかにしてうまくやっていくか、ということですよね。まずは、まったく違う思考を持った人々がいるということを理解すること。
理解したうえで、日本人として自分の考えをしっかりといわないと、そうしたなかで埋もれてしまいますね。

25:50 成瀬
そのとおりですね。お互いに自分の意見をしっかりと言い合うこと、そのうえでお互いが違うということを理解しあう、それがスタートラインだと思います。

☆☆☆

26:10 成瀬
じつは「論理」というものも「多元的」です。エリン・メイヤーはこの点について、アメリカ的な議論の進め方と中国的な議論の進め方の違いを説明しています。アメリカ的な論理では最短距離を目指すけれども、中国的・東洋的論理はそうではないということです。
では、どの論理がいいんでしょうか。

32:10 高橋
どれがいい、ということではないと思います。

32:30 成瀬
そのとおりです。アメリカ的論理がいいとか、それ以外の論理がいいとか、そんな話ではありません。
そのことを最も明瞭に説明してくれているのが渡邊雅子さんの『論理的思考とは何か』(岩波新書)であり、その元本である『「論理的思考」の文化的基盤――4つの思考表現スタイル』(岩波書店)です。

私たちが英語を学ぶときには、そこを、気をつけなければなりません。

論理はひとつであるという、思い込みが私たちのなかにあると思います。

たとえばパラグラフ・ライティングは、アメリカ圏における論理的文章の一般的スタイルであって、世界全体の論理ではありません。「多元」のうちの「一元」なのです。それなのに、英語の教師のなかには、アメリカ的論理が最高だと思い込んでいる人がいます。私は、ここが日本の英語教育の最大の罪だと思っています。

35:40 高橋
アメリカの論理一辺倒、ということですね。

35:50 成瀬
それが表立ってはいないけれど、日本の英語教育のすべての底流に流れていると感じます。それだけに、質(たち)が悪い。

「ことさきく」がこれから提供する英語発音においても同様です。
アメリカ発音、イギリス発音、グローバル発音は、それぞれが「多元」のうちの「一元」なのです。発音にも「多元性」があるということです。そのうちのどれが一番良い、などということではありません。そんなことをいうことは不毛です。
まずは、英語発音にも「多元性」がある、ということを認めることです。それがスタートラインです。
ただし、「アメリカ発音」崇拝はダメだけど、「反」アメリカ発音にもならないことが大事です。
そういった英語発音の多元性を認めたうえで、私たちの英語発音の落としどころを考えていけばよいのです。

「論理」においても同じです。ビジネスであれば、日本的な共感の論理で世界でビジネスをおこなうことはあまりにも危険だから、アメリカ的な経済論理を用いるのがよいでしょう。それに日本的な論理を組み合わせていけばよい。難しいけれど、そうした方法をとればよいでしょう。

ということで、「成功への道は多元化にあり」です。いかがですか、高橋さん。

43:00 高橋
難しい道だと思いました。
アメリカ発音を真似しよう、パラグラフ・ライティングを真似しよう、といっているうちは、簡単じゃないですか。
ところが、「多元化」の道を進もうとすると、それらをまず広く理解しなければいけないわけですよね。それがどう違っているかを私たちは知らないと駄目なわけですよね。
それがとても難しいな、と思います。

45.00 成瀬
そう、難しい。そんなのは、個人的にはいやなんだけれど、でももう150人ぐらいに顔見知りだけ一生くらせる道は存在しないんだから、そうした「多元性の世界」に自分を放り込んで、もまれていくしかないです。
いやだけど、溜息が出るけど、やるしかない。
それが英語をやるという意味じゃないかと思います。

☆☆☆

☆☆☆

「ことさきく|成瀬由紀雄の日英文章・翻訳教室」では、このほかにも日本と日本人、英語・日本語・翻訳その他に関するコンテンツを数多くアップしてあります。総数は1000本を超えています。

いくつものマガジンを設定していますのでぜひチェックしてみてください。

いいなと思ったら応援しよう!