【成瀬 日本語・英語・翻訳講座】日本語編(48)日本語の音韻(2)音節と音素
(↑のつづき)
音節(syllable)とは「その言語の使い手がひとつの言語音だと感じるもの」と述べた。
これを確認する方法がある。逆から読むのだ。
たとえば「イヌ」を逆から読めば「ヌイ」、「トンボ」を逆から読めば「ボント」、「バッタ」を逆から読めば「タッバ」となる。
だから「イ」「ヌ」「ト」は音節である。
「シャツ」だと「ツシャ」になるので「シャ」と「ツ」が音節であることがわかる。
では「バター」を逆から読むと、どうなるか。
「ボタン」「シャキッ」は、どうか。
ここからわかるように、撥音「ン」・促音「ッ」・長音「ー」は、なかなか不思議な存在なのである。

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次に音素(phoneme)の確認をしておく。
日本語の母音の数は5個である(/ja/、/ju/、/jo/を母音だと解釈すれば8音)。
5つの母音というのはイタリアとスペイン語と同じだ。
フランス語は16個、朝鮮語は11個、ロシア語は10個、英語も10個の母音を持つとされる。
子音の数は12個あるいは13個である。
/v/については「ヴ」「ヴィ」「ヴォ」などの表記とともに日本語のなかに浸透しつつあり、これをどう扱うかが翻訳での表記の問題につながる。
英語の子音は24個ぐらいとされている。

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日本語の音韻の特徴
日本語の音韻の持つ特徴をまとめてみよう。
拍/モーラを単位とすることから、日本語の音はすべてが平等である。
すなわち長さはつねに一定である。
擬音的にいえば、日本語は「タ、タ、タ、タ、タ、タ」という一定リズム方式である。
あとでみる英語のいくつかの音を一まとめにする方式とは本質的に異なっている。

拍/モーラが単位であることは、もうひとつの日本語としての独自の特徴をもたらす。
たとえば、「かんとく」「そっくり」「かあさん」という3つの語をみてみると、これらは言語学としての「音節」としてみると3音節(「kan/to/ku」「sok/ku/ri」「ka:/sa/n」)だが、「拍/モーラ」としてみると4拍/モーラである(「か・ん・と・く」「そ・っ・く・り」「か・あ・さ・ん」)。
このなかの「っ」などは実際には何の音もない。
そこは単に「まがあいている」つまり一拍が入るだけの時間があるだけである。
このように、たとえ音がなくとも拍に値する「ま」があれば、それは日本人には音として「聞こえ」るのだ。
こうした特徴は中国語にも朝鮮語にもタガログ語にもない。
そのためそうした人たちの話す日本語がときとして「シャチョサン」「ビクリスル」などになってしまう。

日本語のアクセントは強弱アクセントではなく高低アクセントである。
とはいっても中国語のように音の高低を意味の弁別に積極的に使うというほどではない。
また有気音と無気音の区別はなく、激しい声出しもない。
こうしたことから、日本語は全般的にみてきわめて平坦で穏やかな音の流れを持っている言語だといってよい。
(つづきは↓)
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