【2話】ある日、全知全能の神さまに出会ったら | 人生のやることリスト#1-2
『なぜだ』
私は答えた。
「冬の朝です。」
神さまは黙っている。
「まだ少し寒い朝です。外へ出ると小鳥が鳴いている。そこでふっと息を吐く。そして....」
私は続けた。
「そこで吸い込む空気はとても冷たい。でも顔に当たる朝日は少し暖かく、その中で飲む缶コーヒーの美味しさをご存じで?」
私は待った。
しばらくして、神さまは小さく首を振った。
『……知らない』
私は頷いた。
「そうです。」
神さまは黙っている。
「神さまは知っている。でも、知らない。」
やがて神さまは、ふっと息を吐いた。
『何をだ?』
私は答えた。
「すべてをです。」
神さまは黙っている。
「神さまは缶コーヒーを知っている。」
「小鳥も知っている。」
「朝日も知っている。」
「冬も知っている。」
「冷たい空気も知っている。」
「でも、その朝を知りません。」
やがて神さまは口を開く。
『なるほど。』
私は頷いた。
「神さまは知っている。でも、その場には立っていない。」
「だから理解はしていない。いえ、正確には体験していないんです。」
神さまは黙って聞いている。
「冷えた体にコーヒーの暖かさを流し込む。」
「そして飲み込む瞬間の苦みが、ぎゅっと朝の眠気を押し出してくれる。」
「缶コーヒーとは、そういうものです。」
私は神さまを見た。
「神さまはこの世のすべてを作った。」
神さまは黙っている。
「だから神さまはすべてを知っている。」
私は続けた。
「でも、何も知らない。」
しばらく神さまは黙っていた。
やがて、ふっと息を吐く。
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ある日、全知全能の神さまに出会ったら #3 やることリスト①

