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更新のタイミングで家賃を見直すべきか。判断の考え方。

少し前まで、家賃を上げるなんてことはほとんど考えにくい時代でした。

しかし、まさに時代が変わりました。

物価の上昇、周辺相場の変動を受けて、貸主から「家賃を上げたい」という相談が入ることが多くなっています。そして実際に、借主も承諾するというケースが増えています。物価が上がっている以上、借主としても「しょうがないな」と受け入れてくれることが増えているからです。

ただし、貸主が上げたいという意向だけでは家賃は上げられません。ここをしっかり理解しておく必要があります。

家賃の変更には双方の合意が必要です

家賃の値上げは、貸主と借主の双方が合意しなければ成立しません。オーナーが一方的に「来月から値上げします」と通知しても、借主が同意しなければ従来の家賃のままで契約は継続されます。

値上げに応じないからといって、退去を求めることもできません。

そしてこれは逆も同じです。借主が「家賃を下げてほしい」と言っても、貸主が同意しなければ下がりません。どちらの立場も借地借家法で守られています。

つまり家賃の変更は、上げるにしても下げるにしても、双方の合意があってはじめて成立するということです。

なぜ更新時に見直すのか

家賃の見直しは、法律上はいつでも申し出ることができます。ただ、実務上は契約更新のタイミングが最も自然です。

更新時は契約内容を見直す節目ですから、借主にとっても「このタイミングで条件が変わることもある」という心構えがあります。逆に言うと、契約期間の途中でいきなり値上げの話をされると、借主としては面食らいます。

家賃の値上げには正当な理由が必要です

借地借家法では、家賃の値上げが認められるケースとして、大きく3つの理由が示されています。

固定資産税などの税金が上がった場合。
物価や経済状況が変動した場合。
周辺の類似物件と比べて家賃が安すぎる場合。

「もっと収入を増やしたい」というオーナーの都合だけでは、正当な理由にはなりません。まずは周辺相場を確認して、現在の家賃との差を把握するところから始めてください。

相手の気持ちを考えてアプローチすることが大切です

結局は人と人の話です。

借主にも生活があります。「値上げします」という通知だけを送りつけるのではなく、なぜ見直しが必要なのか、根拠となる資料を準備して丁寧に説明することが大切です。

周辺相場のデータ、固定資産税の変動、物価の推移など、借主が「なるほど、そういう事情なら仕方ないか」と思える材料を用意してからアプローチしてください。

「上げたい」ではなく「こういう状況なので見直させていただけないか」という姿勢で臨む。これだけで借主の受け止め方はずいぶん変わります。

管理会社ができることには限りがあります

「管理会社が交渉してくれるんでしょ?」と思うかもしれません。

管理会社はオーナーの意向を借主に伝えることはできます。家賃の見直しについて書面で案内を出し、借主の反応を確認することも可能です。

ただし、管理会社が借主と「交渉」すること、つまり値上げの合意を取り付けるために説得する行為は、弁護士法に抵触する可能性があります。いわゆる非弁行為の問題です。

管理会社はあくまで「伝達」と「調整」が役割です。借主と本格的な交渉が必要になった場合は、弁護士に依頼する必要があることを知っておいてください。

合意が得られなかったとき

値上げの提案をしたものの、借主が同意しない。こういったケースは現実的にあります。

その場合、まずは話し合いを続けます。根拠となる資料を提示しながら、借主の理解を得る努力をします。

話し合いがまとまらない場合は、簡易裁判所に調停を申し立てることができます。調停委員を交えた話し合いで、双方の妥協点を探ります。

調停でも合意に至らなければ、訴訟に進むことになります。ただし、訴訟には時間も費用もかかります。数千円の値上げのために訴訟まで進むのは、費用対効果の面で現実的ではないケースが多いです。

なお、話し合いの間も借主は従来の家賃を支払い続ける義務があります。値上げに合意していないからといって家賃を支払わない、ということにはなりません。

定期借家の場合は再契約時に条件を変えられます

普通借家の場合は上記の通り、借主の合意がなければ値上げできません。

一方、定期借家契約の場合は少し事情が違います。定期借家は契約期間の満了で契約が終了するため、再契約時に新しい条件を提示することができます。借主がその条件を受け入れれば新たに契約を結び、受け入れられなければ再契約しないという判断もできます。

将来的に家賃の見直しを柔軟に行いたい場合は、定期借家で貸し出すことが選択肢のひとつになります。

退去リスクも考えておく

値上げを提案した結果、借主が退去を選ぶ可能性もあります。

退去後は次の入居者が決まるまで空室期間が発生します。退去精算・修繕・募集にもコストがかかります。

値上げ額×12ヶ月と、空室期間中の損失+次の募集コストを比較して、本当に値上げに踏み切るべきかを冷静に判断してください。

長く安定して住んでくれる入居者は、それだけで価値があります。

まとめ

時代は変わりました。家賃の見直しは、今やるべきことのひとつです。

ただし以下を押さえておいてください。

家賃の変更は上げるにしても下げるにしても、双方の合意が必要。
更新時が見直しの自然なタイミング。
正当な理由と根拠資料を準備して、丁寧にアプローチする。
管理会社ができるのは伝達と調整まで。交渉は弁護士の領域。
合意できなければ調停→訴訟の流れになるが、費用対効果を考える。
定期借家なら再契約時に条件変更が可能。
退去リスクと空室コストも天秤にかけて判断する。

人と人の話です。相手の気持ちを考えて、丁寧に準備してからアプローチする。それが一番大切なことだと思っています。

管理会社を選ぶときに確認すべきポイントは、こちらにまとめています。


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