どこまで修繕して貸すべきか。判断の考え方。
「貸す前にどこまで直せばいいですか?」
よく聞かれる質問のひとつです。 全部きれいにしたい気持ちはわかりますが、やりすぎると費用が回収できません。かといって何もしないと入居者が決まらない。
判断の軸を整理しておきます。
まず「やらなければいけないもの」から考える
修繕には優先順位があります。最初に考えるべきは、入居者の安全に関わるものです。
床材が剥がれている、段差ができている、扉の金具が外れかけているといった箇所は、入居者がけがをする恐れがあります。こういったものは費用対効果を考える前に必ず直してください。「現況渡し」「古いですが問題ありません」では済まない話です。
設備の安全面についても同様です。ガスまわりや電気系統に不具合があれば、必ず修繕してから貸し出す必要があります。
次に「やるにこしたことはないもの」を考える
安全面をクリアしたうえで、費用が比較的安く入居者の印象に直結するものがあります。
クロス(壁紙)の張替え 部屋の印象を大きく左右します。黄ばみや汚れが目立つクロスは、それだけで内見で敬遠される理由になります。費用対効果が高く、やるにこしたことはありません。
CF(クッションフロア)の張替え キッチン・洗面所・トイレなどの床材です。古くなったCFは清潔感に直結します。クロスとCFをセットでやっておくと、部屋全体の印象が大きく変わります。
費用対効果を計算してから判断するもの
大型の設備については、費用の回収期間を計算してから判断することをおすすめします。
考え方はシンプルです。「リフォーム費用 ÷ 月々の家賃アップ額=回収までの月数」で計算できます。
たとえばキッチンを入れ替えて80万円かかり、家賃が5,000円上がるとすれば、回収までに160ヶ月、つまり13年以上かかります。
浴室・洗面台・キッチンなどの水まわりは費用が大きく、家賃への反映額も限られます。設備が古くて故障リスクが高い、または明らかに入居のハードルになっているという場合は検討の余地があります。ただ「きれいにしたい」という気持ちだけで判断すると、費用が回収できないまま終わることがあります。
見えないところのリスクも確認する
見た目をきれいにすることも大切ですが、築年数が古い物件の場合はもうひとつ確認しておきたいことがあります。
給排水管の状態です。
給排水管の更新がされていない物件は、漏水や詰まりという大きなトラブルが起きるリスクがあります。クロスを張り替えてきれいに仕上げても、入居後すぐに水まわりのトラブルが発生してしまっては意味がありません。入居者に迷惑をかけるだけでなく、階下への漏水になれば損害賠償問題になることもあります。
築年数が古い物件を貸し出す前には、管理会社や専門業者に給排水管の状態を確認してもらうことをおすすめします。見た目の修繕と合わせて、見えないところのリスクも把握したうえで貸し出すことが大切です。
家賃の上限は周辺相場で決まる
大前提として、家賃の土台を決めるのは周辺の相場と部屋の広さです。
どんなにきれいにリフォームしても、周辺相場が10万円のエリアで15万円はつけられません。修繕・リフォームはあくまで「相場の範囲内で有利に決める」ためのものです。過度な投資にならないよう、まず相場を把握してから判断してください。
判断の順番まとめ
貸す前の修繕を考えるときは、この順番で判断してみてください。
安全に関わる箇所は必ず直す。これは最優先。 給排水管など見えないところのリスクも確認する。 クロス・CFは基本的にやる。費用が安く効果が大きい。 水まわりの大型工事は、回収期間を計算してから判断する。 周辺相場を把握したうえで、費用をかけすぎない判断をする。
「どこまでやるべきか」は管理会社に相談してみてください。物件の状態と周辺相場を見ながら、費用対効果の観点でアドバイスしてもらえます。
管理会社を選ぶときに確認すべきポイントは、こちらにまとめています。
