(理論編)甘いものが止まらないのは、あなたの意志の弱さではない
こんにちは。
おなか日和主宰、管理栄養士・医学博士のヒロセです。
「わーっと甘いものが食べたい」
「食べ始めたら、手が止まらない」
そんな瞬間、ありませんか。
我慢しようと思えば思うほど、食べ物のことしか考えられなくなる。
そして食べたあとに「またやってしまった」と自己嫌悪になる。
でも実はそれ、意志の弱さではなく、脳の仕組みかもしれません。
この記事を書くにあたって思い出したのが、私が大学生の頃のエピソードです。私が「自分はインスリン分泌が遅い体質」だとわかったきっかけでもあります。
当時、管理栄養士になるための授業のひとつで、糖尿病診断のための精密検査OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)実験を行いました。
甘〜いソーダを一気飲みし、30分おきに血糖値を調べます。
授業だったので、腕からの採血ではなく、各自が自分で指先を針で刺して血糖値を調べました。
結果を見て、教授が少し慌てました。
高血糖だった学生が、何人もいたのです(私もその一人)。
そこで後日、引っかかった数人は、きちんとした方法で再検査をすることに。

再検査の日。
朝9時、空腹で集合。前日夜から何も食べていません。
一人ずつ順番に、腕から採血。
ソーダを飲んで、採血して……全員が終わるまでに約3時間かかりました。
前日の夜から何も食べていない、空腹の女子大生たち。
1時間を過ぎた頃から、会話の内容が変わってきます。
「終わったら何食べる?」
「ラーメン?」
「いや、ここは駅前のマック(マクドナルド)じゃない?」
「ポテトL絶対食べる」
そしてついには、「今すぐマックを予約しよう」と。
一番に検査が終わった人が取りに行き、そのまま教室でマックパーティをすることに。
糖尿病検査に引っかかって、再検査をした直後に。
国立大学で管理栄養士を目指している女子大生の集団が。
今まさに授業で糖尿病を勉強しているにもかかわらず。
……教授は、かなりドン引きしていました(笑)。
でも今ならわかります。あれは、意志の問題ではありません。
脳の仕組みです。

空腹状態が続くと、体の中では、食欲に関わるホルモンや脳の働きが変化します。
すると私たちは、
高カロリー
すぐ食べられる
満足感が高い
そんな食べ物をいつも以上に魅力的に感じやすくなります。
「食べろ食べろ」と、脳が言ってきます。
つまり、「甘いものがどうしても食べたい」と思ったとき、それはあなたの弱さではなく、体(脳)の自然な反応であることも多いのです。
ただしこれは、「それなら、しょうがないね。」という話ではありません。

そのうえで、まずはぜひ一度、「脳が私に食べさせようとしているんだ」と、脳のせいにしてみてください。
「自分のせい」じゃなくて「脳のせい」にするだけで、少し気持ちが落ち着くことがあります。
脳だって立派な自分の体の一部なのでちょっと不思議ですが、私は最近、こう考えるようになりました。
体の中には、自分だけがいるわけではありません。
腸の中には約40兆もの住民(腸内細菌)が住んでいますし、脳もまた、時々(というか、わりといつも)私たちを操ろうとしてきます。
だからこそ、
「これは脳の指令だな」
「いま体がこう反応しているんだな」
と、少し外側から眺めてみる。
すると不思議と、脳に無条件降伏もなければ、戦うのでもない、
「じゃあ、この気持ちをどう処理しようか」というビジネスモードになれる時があります。
いわゆる「メタ認知」の一種かもしれません。
もちろん、効果がない時もありますが、これも少しずつ、スモールステップでやっていきましょう。
今日は脳の仕組みとして、甘いものの衝動との向き合い方をご紹介しましたが、次回は、私が実際にやっている方法や栄養相談でおすすめしている方法(実践編)を書いてみようと思います。
繰り返しますが、
甘いものが食べたい気持ちが止まらないのは、あなたの意志の弱さではありません。
そして最後に。
あの時に食べたマックの味は覚えていませんが、めちゃくちゃ楽しかったことは、20年経つ今もよく覚えています。
教授は引いていましたが、後悔は一切ありません(笑)。
食べ物は、それを食べた時の思い出と一緒に記憶されるとも言われています。「好きだったのに、食べすぎて吐いたら、嫌いになった」など、聞いたことありませんか。
1回の衝動食いが健康を左右することはまずありません。
でも、あとで後悔する、嫌な思い出になる食べ方は、減らせた方がハッピーではないだろうかと思っています。
どうせたくさん食べるなら、楽しく食べられるといいな。
と、チョコレートが好きで管理栄養士になった私は、思います。
元研究者としての視点と、食事相談の経験をもとに、無理なく続けられて、食べることが少し楽になるようなダイエットや腸活、食生活について発信しています。
よければ、また読みにきていただけると嬉しいです。
