「好きなものを食べていい」と言うとき、私がいつも考えていること
こんにちは。
おなか日和主宰、管理栄養士・医学博士のヒロセです。
前回の記事で、私は「食べてはいけないものは(基本的には)ありません」と書きました。
この言葉に、ほっとした方もいれば、
少し戸惑った方もいるかもしれません。
ただ実は、この言葉は私にとって、とても軽く言えるものではありません。
正直、いつも、迷いながら伝えています。
私は管理栄養士として、糖尿病の合併症を持つ患者さんとも向き合ってきた経験があります。
視力を失いかけた方。
透析が始まった方。
日常生活が大きく変わってしまった方。
食生活の積み重ねが、長い時間をかけて体に影響していく現実を、私は見てきました。(もちろん、食生活が全てではなく、ベースには「体質」も大きく関係しています)
だから、「好きなものを食べていい」と言うとき、私は少し迷います。
本当にこれでいいのだろうか。
この言葉が、誰かの思考停止になってしまわないだろうか。
そんな気持ちを抱えながら、それでも私はこの言葉を選んでいます。
それは同時に、もう一つの現実も見てきたからです。
「何を食べていいのかわからない」
「食べるのが怖い」
そう言って、不必要に体重が減ってしまい、
それでも不安から食べられなくなってしまった方たちです。
食べすぎだけが問題なのではありません。
食べられなくなることも、また別の苦しさを生みます。
だから私は、「好きなものを食べていい」という言葉を、
自由の宣言としてではなく、問いとして伝えたいと思っています。

好きなものを食べていい。
でも、それは、自分の体と向き合うための入り口としてほしい。
あなたの「好きな食習慣」を今後30年続けた場合、ハッピーで過ごせている自分を想像できますか?
言い換えると、今の生活をどう組み立てたら、30年後も「あなたの好きな食習慣」を守れそうでしょうか。
食べすぎた時など、自分を責める必要は全くありません(これはもう絶対)。
でも、「やっぱり自分は無理だ」と諦めてしまうのではなく、30年先のハッピーのために「今、これならつらくなくできる」を見つけていけたらいいな、と思います。
ここで少し、個人的な話をさせてください。
私は最近、自分の血糖値を測定し、その結果をnoteでもお伝えしています。
(まだお伝えできていないデータもあるので、それは後日のお楽しみに)
患者さんにも結果を共有したところ、
「それより先生も、血糖値180まで上がるんですね」と言われ、
「そうなんですよ〜全然人のこと言えなくて!」と笑い合いました。
私はインスリン分泌が遅い体質なので、実は、肉まんとフォンダンショコラ(笑)を食べたあとの血糖値はなんと230まで急上昇しています。
この時は「わ、これはまずい!!」と、30分ほどウォーキングをし、無事に血糖値は140まで下がりました。(運動ってすごいんですよ。)
「医者の不養生」なんてことわざもあるくらいですから、完璧にコントロールできる人間なんていませんし、そもそも必要もありません。
大切なのは、「食べないこと」ではなく、自分の体がどう反応するのかを知り、どう付き合っていくかだと思っています。
だからこそ、患者さんにおすすめのお店を教えてもらい、「確かにカロリー高いけど、あれは美味しい!!」と笑い合える管理栄養士でいたいと思っています。

極端な禁止でもなく、
極端な自由でもなく。
完璧じゃなくていい。
でも、無関心にはならない。
未来の自分が喜ぶであろう選択を、少しずつ増やしていく。
それが、私が「好きなものを食べていい」と言うときに、本当に込めている意味です。
今日の食事の時に、少しだけ思い出してもらえたら嬉しいです。
「私の腸は、なんて言っているかな?」
「このあと、少し立っていた方が喜ぶかな(←おすすめです笑)」
そんなふうに、自分の体に少し興味を向けること。
それだけでも、食べ方との付き合い方は、少しずつ変わっていくのではないかと思っています。
