管理栄養士がポケモンGOを1か月続けて気づいた、「続く運動」の正体
こんにちは。おなか日和主宰、管理栄養士で医学博士のヒロセです。
2026年に今さらポケモンGOを始めて、1か月が経ちました。
あれからも飽きることなく続け、最初の1か月で歩いた距離は210km。
東京から静岡県の掛川あたりまで歩いた計算になります。

一番歩いた週は75,053歩。1日平均では1万歩を超えていました。

でも、なにより驚いたのは歩数が増えたことではありません。
「運動しよう」とは全く思わずに、この値が達成できたことです。
「歩きたくなる理由」が、次々に用意されている
私が思うポケモンGOのすごいところは、「運動しましょう」と言わなくても、自然と歩く距離が伸びるように設計されていることです。
・ ルート ― 「ちょっとだけ遠回り」
私が一番歩くきっかけになっているのが、「ルート」という機能です。
ゲーム内で決められた道を歩く機能で、最後まで歩くとアイテムがもらえます。
私は、伝説ポケモン「ジガルデ」を進化させるためのアイテム集めのためにせっせと歩いています。
ルートは、500m以上という条件で作られています。
そのため、最短距離ではなく、少しだけ遠回りするように設定されていることが多くあります。
たとえば、駅まで最短距離だと300mくらいで行ける場所でも、500m稼ぐためにちょっと遠回りのルートになっています。
遠回りといっても、一つ先の角を曲がる程度なので、さほど負担には感じません。
そして、その「ちょっとだけ」が、気づけば毎日の歩数として積み重なっていきます。
・ たまご ― 「歩いたら、すぐにうれしい」
ポケモンGOでは、歩いた距離に応じてたまごが孵化し、ポケモンをもらえます。
さらに毎朝、たった1kmで孵化する特別なたまごももらえます。
しかも、たまごから孵るポケモンは、良いポケモン(個体値が高い)であることが多い!
家を出て歩き始めると、すぐにたまごが孵化し、新しいポケモンが現れます。
「今日は歩けた」という達成感よりも先に、小さなご褒美がもらえる。
この「歩いたら、すぐにうれしい」という体験が、次の日も歩こうという気持ちにつながっているように感じます。
・ 相棒 ― 「あと少し歩こう」
自分の好きなポケモンを、相棒として連れて歩くことができます。
一緒に歩いた相棒は、進化や強化に必要なアメやお土産を集めてきてくれます(これがかわいい)。
「あと少し歩けばアメがもらえる。」
そんな小さな目標があるだけで、いつもの散歩が少しだけ長くなります。
ちなみに、私はカルボウを相棒にして歩き、ついにソウブレイズに進化できました(めっちゃ嬉しい!)
どの仕組みにも共通しているのは、
「歩きなさい」と命令しているのではなく、「歩きたくなる理由」を用意していることです。
健康アプリは、自分で目標を設定し、「今日はあと◯歩です」と教えてくれます。
もちろん、それも大切です。
でも、歩数を知ることと、歩きたくなることは少し違います。
ポケモンGOは、その違いを改めて教えてくれました。
ゲームってすごい!
行動科学でも説明できる「続く仕組み」

実は、この「歩きたくなる仕組み」は、行動科学でも説明できます。
例えば、行動経済学には「現在バイアス(Present Bias)」という考え方があります。
人は、数か月後の大きな利益よりも、目の前ですぐ得られる小さな利益を優先しやすいことが知られています。
「運動を続ければ健康になります。」
これはもちろん、正しいです。
でも、その効果は数週間、数か月後にならないと実感できません。
当然、「家で涼んでいる方がいいな」「疲れたら嫌だな」と、目先のやらない理由の方が強くなりやすいです。
一方、ポケモンGOでは、ルートを達成するために、自然と1区画分長く歩くなど、「気づいたら」歩く仕組みがあちらこちらに散りばめられています。
だから、「健康のために頑張る」のではなく、「もう少し歩こう」が自然と続いていくのでしょう。
私は毎日「え、もう1万歩?」と驚いています。
また、このように人が自然と望ましい行動を選びやすくする工夫は、行動科学では「ナッジ(Nudge)」と呼ばれます。
ナッジとは、「頑張りなさい」と命令するのではなく、環境や仕組みを工夫することで、自然と行動を後押しする考え方です。
私もこのナッジという考え方が好きで、ダイエットや腸活のご相談では、「頑張る方法」よりも「自然と続く仕組み」を一緒に考えることを大切にしています。
食事も運動も、「何をすればよいか」は、多くの方がすでに知っています。
野菜を食べた方がいい。
運動をした方がいい。
早く寝た方がいい。
それでも続かないのは、意志が弱いからではなく、続けたくなる仕組みがまだ見つかっていないだけなのかもしれません。
ポケモンGOを始めて1か月。
「健康のために歩こう」ではなく、「ジガルデセルを集めたい」「たまごを孵したい」「相棒のアメがほしい」。
そんな小さな目的が積み重なった結果が、210kmだったのだな、と思います。
健康づくりも、「続く仕組み」から
もちろん、「運動」という観点では、ポケモンGOにも欠点はあります。
歩いたり立ち止まったりを繰り返すので、活動強度は決して高くありません。
私はもともと歩くペースが速い方ですが、ポケモンGOをすると、どうしてもゆっくり歩きになってしまいます。
そのため、「歩く習慣」は身についた一方で、「筋力を維持するには少し物足りないな」と感じるようになりました。
そこで私が選んだのは、
「ポケモンGOをやめる」のではなく、「家で10分だけ筋トレをする」ことでした。
これまた今さらですが、リングフィット アドベンチャーを最初から始めています(笑)。
30分頑張るのではなく、まずは10分だけ。
ポケモンGOのおかげで、「続けられる仕組み」の力を実感したからこそ、筋トレも同じ考え方で始めてみようと思いました。
健康づくりというと、「もっと頑張ろう」「もっと意志を強く持とう」と考えがちです。
でも、この1か月で私が実感したのは、その逆でした。
続く人は、意志が強い人ではなく、続けたくなる仕組みを見つけた人。
ポケモンGOは、そんな当たり前だけれど大切なことを、改めて教えてくれたように思います。
