変化を機会に変える経営へ(中編)|「顧客の創造」を新規事業につなげる
こんにちは、岡山トヨタシステムサービスです。
前編ではドラッカーの言葉を借りて、企業が利益を生み続けるために必要なのは「何を売るか」ではなく「顧客にどのような価値を届けるか」を問い直すことだとお伝えしました。
今、企業を取り巻く環境はかつてないスピードで変化しています。
市場や顧客のニーズが移り変わるなか、どれだけ順調な事業であっても将来の成長が保証されるわけではありません。
だからこそ多くの企業が、既存事業を磨くだけでなく「新しい価値を生み出す挑戦」を始めています。
そこで今回は「事業や行動をどう変えるのか」をテーマに解説します。
新規事業の立ち上げや事業変革で陥りがちな「誤解」を整理しながら、これからの時代に求められる事業開発の考え方をひも解いていきましょう。
最後まで読んでいただけると嬉しいです…!
▼新規事業は「会社を変える力」になる
あらゆる事業には成長と衰退のサイクルが存在し、「絶対に安泰な事業」は存在しません。
「将来の衰退リスクへの備え」として、新規事業の立ち上げは「新たな収益源を作ること」だと捉えがちです。
もちろんそれも重要な側面ですが、新規事業が企業にもたらす価値はそれだけではありません。
新しい挑戦を始めることで、これまで当たり前だった仕事の進め方や組織の仕組みを見直すきっかけが生まれます。
長年続けてきた事業では、成功体験が組織の強みになる一方で、「変化への対応」が遅れることも少なくありません。
そこへ新しい挑戦が加わることで、組織全体に新しい視点や発想が生まれます。
つまり、新規事業は新しい売上を生み出すだけでなく、既存事業そのものを進化させる「変革のきっかけ」でもあるのです。
また「新しいことに挑戦している会社」という姿勢は、企業の魅力そのものになり、変化を恐れない優秀な人材の獲得に繋がりやすくなります。
さらに、ゼロから事業を構築・軌道に乗せる経験そのものは、次世代の経営人材を育てる格好の実践機会にもなります。
このように、新規事業は単なる事業開発ではなく、企業の未来を支える「組織づくり」でもあるのです。
▼新規事業開発に関する「よくある誤解」の払拭
新規事業を進める際、陥りがちな「思い込み」があります。
こうした誤解を解き、本質を正しく理解することこそが成功への第一歩です。
誤解①:「やりたいこと・強い熱量(覚悟)」があれば成功する
新規事業では、「強い想い」や「覚悟」が成功の決め手だと言われることがあります。
しかし本当に重要なのは、特定のアイデアに固執しないことです。
もちろん情熱を持って取り組むことは欠かせません。
しかし、一つのアイデアや開発方法にこだわり過ぎると、市場や顧客の反応が想定と違ったときに方向転換ができなくなります。
特に社内で進める新規事業の場合、赤字であっても存続できてしまうため、成果が出ないまま時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。
本当に大切なのは「自分たちが何をやりたいか」ではなく「顧客は何に困っているのか」を見極めることです。
変えてはいけないのは「顧客の課題を解決する」という目的です。
その目的を実現するためには、市場や顧客の変化に合わせて、手段やターゲットを柔軟に見直すことが重要です。
誤解②:ブルーオーシャンとは「誰もいない未知の市場」である
「競合のいない市場を見つければ成功する」と考えられがちですが、競合がいない市場は単に「ニーズ(需要)そのものが存在しない市場」である可能性も高いのです。
本当のブルーオーシャンとは、誰もいない場所へ進出することではありません。
「既存市場の中で、新しい価値や新しい切り口を提供し、新たな支持を獲得すること」です。
重要なのは、単に競争を避けるのではなく「価値を届ける方法を変える」ことこそが本質です。
誤解③:顧客の要望を聞いて作る(マーケットイン)だけが正解
事業開発では「顧客の要望を聞いて商品をつくること(マーケットイン)」が正しいと言われることがあります。
しかし、お客様自身が「本当に困っていること」や「欲しいもの」を明確に言葉で表現できるとは限りません。
マーケットインと対極にある考え方が、企業側が良いと判断した製品を市場に投入する「プロダクトアウト」です。
例えばiPhoneのように、世の中に大きな革新をもたらすプロダクトは、顧客へのインタビューからそのまま生まれたものではありません。
深い観察と洞察から「こんなものがあれば便利なのに」という潜在的なニーズを形にした結果、多くの人に受け入れられました。
もちろん、お客様の声を聞くことは重要です。
しかし、それだけでは新しい価値は生まれません。
企業には、お客様自身も気づいていない課題を見つけ出し、「これこそが求められていた価値ではないか?」と一歩先を提案する視点が求められます。
▼自社に合った事業開発の進め方を考える
誤解を解いたら、次は自社が進むべき方向を定めます。
事業開発の進め方には、いくつかの型があります。
・顧客ニーズや市場の潮流を起点にする方法
・大口顧客など特定の要求に応える方法
・自社の技術や研究成果を別の用途・市場へ展開する方法
・既存事業をサービス化するなど事業そのものを変革する方法
・自社の顧客基盤や販売網、ノウハウなどの資産を活用する方法
・外部パートナーやベンチャーとの連携によって不足する要素を補う方法
どの型を選ぶかは、自社の強みと、狙う変化の性質によって決まります。
ここで重要なのは、「どの型が正解か」ではありません。
「自社には何があり、それを使って『誰のどんな課題』を解決できるのか」。
この問いから考えることが、すべての新規事業の出発点となります。
また、挑戦する領域も、現在の事業の延長線だけとは限りません。
現在の技術・顧客・チャネルの延長にある「既存領域」はもちろん、強みを活かして顧客層を横へ広げる「隣接領域」、サービス化やデータ活用へ発展させる「周辺領域」、さらにはまったく新しい業界へ挑戦する「飛び地領域」もあります。
大切なのは、自社の強みを正しく理解したうえで、「どの領域で新しい価値を生み出すのか」を明確にすることです。
▼社外との共創が新しい価値を生み出す
変化のスピードが速い時代において、すべてを自社だけで実現することは容易ではありません。
近年、成果を上げている新規事業の多くは、大学やスタートアップ企業、異業種企業などと連携し、それぞれの強みを持ち寄る「共創」から生まれています。
自社に足りない技術やノウハウ、顧客基盤などを外部から取り入れることで、自社単独では実現できなかった「新しい価値」を生み出せる可能性があります。
もちろん、単に外部企業と協力すれば成功するわけではありません。
大切なのは、「自社が何を実現したいのか」「そのために誰のどんな強みが必要なのか」を明確にすることです。
そのうえで、同じ目的を共有できるパートナーと協力することが重要です。
▼「問い」を変えることが未来を変える
利益が出にくい時代において、私たちが真に取り組むべきは、コスト削減という目先の対応ではありません。
「私たちはどのような価値を届けたいのか。」
「お客様が本当に困っていることは何か。」
「自社の強みを生かして、新しい価値を生み出せないか。」
こうした問いを持ち続け、小さく挑戦し、学びながら改善を繰り返すことこそが、変化を成長へとつなげる第一歩になります。
ドラッカーが説いた「顧客の創造」とは、偶然のひらめきを待つことではありません。
変化を機会として捉え、行動し続ける企業の姿勢そのものなのです。
前編では、「何を変えるべきなのか」という本質を問い直しました。
そして今回は、その問いを新規事業や事業変革という「行動」に変える方法を考えてきました。
しかし、ここで新たな変化が起きています。
AIの急速な進化によって、これまで時間や人材、資金を必要としていた「新規事業の立ち上げ」のハードルが、大きく変わり始めています。
そこで、後編では「AI時代に、どうやって勝つのか」をテーマにお届けします。
AIによって「始めやすくなった」新規事業のその先にある、本当の勝負について考えていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
また次の記事でお会いしましょう。
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