ツイテない一日
まず早朝から始まる。怪物(次女)がアンパンマンのラッパのオモチャを耳元で大音量で吹き飛び起きた。
「ぱぱ、おあよ!」とほっぺにキスをする次女。
昨夜は夜中まで小説を読んでいたから目覚めが悪い。ラッパの爆音に心臓をドキドキさせながら起きあがり、おむつを替えて朝の家事を始める。

謎の不機嫌で常に抱っこを求めてくる次女。ハズレ日だ。左手で12kgを持ったまま右手で洗濯をする。今日はみんなで河川敷の鯉のぼりを見に行く予定だった為、来ていたパジャマを洗濯機に入れた後、早々と洋服に着替えた。
掃除機の音で長女が目覚め、3人でトーストを食べる。「お父さんなんでもう着替えてるの?」「今日はみんなで鯉のぼりを見に行こうかと思って」「え!やったー!」と喜ぶお姉ちゃんを見てわけも分からず次女も喜ぶ。
「いぇーい!!」と手を挙げた時にコップが倒れ私の右太ももに思いっきり牛乳がかかる。「ごーめんたい・・・」と可愛く謝る次女。気にするな、これくらいなら大丈夫。ズボンくらい穿き替えればいいのだ。
その後、起きてきた妻に次女を任せてテキパキと家事を終わらせる。
いち段落つき、長女のピアノを聞きながら妻と並んでキッチンに立って珈琲を飲みながら昼食や夕食の会議をする。後ろで次女が何やら不穏な動きをしていたが、どうせお菓子を漁ってるんだろう。
その日のスケジュールが決まり身支度をしようとしたら、「ぱぱぁ」と呼ぶ声がした。振り返り次女を見る。床に小さな固形物を含んだ黄色い液体が散乱している。まさか、うんこか?!と思ったが次女の手を見るとアンパンマンカレーの封を真っ二つに切っており、両手が黄色く染まっていた。なんだカレーか。私のズボンの左太ももあたりをその手で掴む次女は目をうるうるとさせている。
妻がやれやれと次女を抱きかかえて手を洗い部屋着に付いたカレーを洗う。私は床の掃除をしてズボンを穿き替えた。次女の用意された洋服が白のハーフパンツだったので私も合わせるとしよう。
気を取り直して河川敷に向かう。GWだけあってかなりの人だかりだ。鯉のぼりの為にもある程度の風は必要だが必要以上に風が強い。被っていた帽子が秒速で飛んでいった。

鯉のぼりを堪能、というか、ただ見るだけで特段やる事もなくものの10分程度で別れを告げた。
流石に無駄足に感じたので遊具が充実した公園に寄った。鯉のぼりには見せない満面の笑みではしゃぐ2人。昨日洗ったばかりのナイキのスニーカーがキラリと輝く。メッシュタイプのスリッポンでかなり汎用性が高いからオススメだ。
土管を見つけトンネルの中に入る二人。「お父さんはゴールで待ってて!」と言われ先回りして待機する。出てきた2人はそのまま隣の土管に移る。また先回りして最初にいた方に戻る。ふと耳を澄ますと不穏な音が聞こえてきた。
『ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃぴちゃぴちゃ・・・』
「お父さんヤバい!めっちゃ泥!!」と言い現れた二人のスニーカーが泥まみれになっている。そういえば一昨日は雨だったなと思う。なぜこちらの土管だけ泥だらけなのだ。そして次女はなぜ当たり前のように私のスニーカーの上に立っているのだ。明日また洗おう。3足。

昼食は妻が焼きうどんを作ってくれることになっていたので帰りにたこ焼きを買って一緒に食べようと提案した。子供たちは大喜びだ。スーパーの中に併設された屋台でたこ焼きを買う。妻と次女を車内に残し長女とたこ焼きを買う為に並んでいたら、妻から着信があった。
「大変!車、ぶつけられちゃったわ!」
急いで戻ると平謝りをする中年の男が立っていた。聞くと、バック駐車の際に目測を見誤ったとの事。店舗に近い駐車場を選んだことが悪手だったか。幸い妻も次女もケガは無く、「どーん!なったねぇぇえ!!」と元気に発している。私は警察を待つ間にたこ焼きを買いに戻った。
待てど暮らせど来ない警察。GWだからなのか?しびれを切らした妻が言う。「子供たちがお腹を空かせているからそこのベンチでたこ焼き食べさせてきてくれる?」警察には妻が応対してくれる事になり、私は子供たちとベンチに向かった。
左の太ももに次女を乗せ、たこ焼きを食べる。早くヨコセとわめく次女を制し、たこ焼きを手で仰いで冷ます。冷めた事を確認して大きく開けた口の中に入れる。瞬間、「ぶぉへあ!!!」と吐き出したたこ焼きが私の右ふとももの上に落ちた。
「あちゅいよ!」と怒る次女。私は太ももに落ちたたこ焼きを食べた。むしろ冷たい。「全然熱くないよ〇〇ちゃん!」と長女がなだめ、もう一度同じように冷ましたたこ焼きを口に入れる。「おいしいねぇ!!」と何事もなかったかのように頬張る次女。
たこ焼きを食べ終わり妻と合流する。私の白いハーフパンツの右太ももにソースがびちゃッと付いている事に驚く妻。帰ったら着替えるよと言い、事故の処理も無事に終わった事で帰路に着く。
気を取り直して妻の作るハイレベルな焼うどんを平らげて午後。

HPがゼロになった妻と次女が昼寝をしたので長女と二人で図書館に行った。次女がいないだけで平和だ。何も起きない。返す予定だった本を家に忘れたけど問題ない。また後日来ればいいのだ。
図書館で妻からの着信。
「大変!○○ちゃん、かなり怒ってるわ!」
どうやら目が覚めて私と長女がいない事に憤りを感じ暴れているようだ。まさか30分でフル充電されるとは。バッテリーに何か非合法な素材が入っていないか心配になる。
ちょうど15時のおやつだ。
アンパンマンのビスケットを食べる横でシルベーヌを辛そうに食べる私。まだチョコレートは厳禁な次女にはチョコやハチミツを食べる際に「辛い演技」をしなければならないのだ。
「ぱぱ、からい?」と訊く次女、「めっっちゃからい!」と渋い顔をしてシルベーヌを食べる。めっちゃ甘い。
辛いと言いながら不味そうな顔で食べると甘みや旨みが低減される気がするのは気のせいだろうか?早く普通の顔をして食べたいもんだ。
おやつを食べ終え、洗面所でうがいをさせる。踏み台に右足を乗せ、太ももの上に次女を置く。ガラガラァ〜とうがいをするもなかなか吐き出さない次女。「早くベェしようか?」と促すも出さない。意味が分からない。そういうイタズラかと途方に暮れていると笑いだし口から溢れ出る水。右の太ももにかかる。
次は左太もものターンだろうと思いながら濡れたズボンをタオルで拭く。水ならセーフだ。
夕方になり近所の公園に行った。GWという事もありガキが多い。長女は友達を発見して遊んでいる。次女と砂場遊びをして18:00に帰宅した。よし、特に何も事件は起きなかったと安堵する。
家に帰りマグマグ(水筒)を砂場に忘れた事に気付き1人走って取りに戻ったが問題ない。ふくらはぎが悲鳴をあげているが太ももが無事ならそれでいいのだ。
子ども達を寝かせて一日を終える。
GWは仕事もあり遠出や旅行に連れて行ってあげられなかったが、「今日お父さん10回くらいズボン履き替えたんじゃない?笑」と笑う長女を見るとこういう休日もありだなと思った。
伊坂幸太郎さんの殺し屋シリーズに出てくる「てんとう虫」には遠く及ばないが、なかなか不運な一日だった。

来年のGWはたこ焼きを我慢しよう。
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