足るを知り、未来を描く〜成長追求への違和感から見えた希望〜
この記事は、資本主義との距離感を考える本をみんなで作る『100人超でつくる資本主義の本』プロジェクトの有志によるアドベントカレンダーです!
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自己紹介
こんにちは😊 ぽーると言います。
福永さん(12/1・12/2)、くりさん(12/3)、たかはしさん(12/4・12/5)とバトンをつないでもらったアドベントカレンダー、12月6日を担当します。
実は今日は僕の誕生日で、この素敵なプロジェクトに参加した年の記念にしたく、この日を選ばせてもらいました😄
普段は大企業(建設会社)で、海外事業の企画や戦略を考える仕事をしています。
大学卒業以来20年近く今の会社に勤め、コーポレート系(総務・法務・人事・経理・情報化・企画)の仕事を幅広く経験してきました。
管理職登用試験をきっかけとして、人と組織への興味を強め、社内外での学びや実践、交流を楽しんでいます。
このプロジェクトへの参加も、源流をたどると、人と組織についての学び・交流にたどり着きます。
個人が組織の中で個性を発揮できるよう支援したいという思いから、キャリアコンサルタントの勉強をスタート
勉強したことをXで発信する中で、キャリア支援・人事関連の方との繋がりが広がり、『図解〇〇入門』という人事の入門書シリーズ著者の坪谷邦生さんと繋がる
2024年10月から2025年3月にかけて坪谷さんが品川皓亮さん(今回の資本主義の本の著者であり、このプロジェクトの発起人)と組んで発信した「人事のための哲学スペース」にハマり、品川さんファンに
哲学についてもっと知りたいと思い、品川さんの「日本一たのしい哲学ラジオ」(たのてつ)を聞いたり、品川さん主催の「日本一たのしい哲学ゼミ」に参加
たのてつや品川さんのXで、このプロジェクトを知ってすぐに参加
という流れです。
詳しい自己紹介は↓をご覧いただけると嬉しいです。
また、人と組織に興味を持った理由や探究したい問いを、↓の記事にまとめていますので、こちらも読んでいただけると嬉しいです。(本プロジェクトにも触れています)
僕の問い(プロジェクト参加理由)
僕がこのプロジェクトに参加した理由は、品川さんの呼びかけがあった時に、ちょうど次の2つの違和感を抱いていて、品川さんやプロジェクト参加の皆さんと一緒に考えたいと思ったからです。
A:成長自体が会社や人生の目的になっていることへの違和感
B:人口減少が悪みたいに扱われることへの違和感
本記事では、Aについて考えていきます。
Bについては、日を改めて記事にしますので、楽しみにお待ちください😊
会社で求められる「成長」への違和感
会社で今担当している仕事では、20XX年に海外での売上高〇〇億円、売上利益XX億円達成という数字目標達成のために、海外事業を成長させる戦略を考えることが求められます。
僕がやっている仕事に限らず、「持続的成長」が会社の最終目標のようになり、新しい制度や施策を導入するときにも「“成長”のためにこの施策が必要」というフレーズが、錦の御旗のように使われる傾向を感じています。
ただ、売上高や利益の拡大も、新制度導入も、会社の使命を持続的に達成するための手段でしかないはずです。
担当者として「誰に何を提供するか」まで含めて成長戦略を立案するものの、経営者や上司からは「それで売上は、利益はどうなるんだ」「そんな甘いストーリーはいらない」というニュアンスの反応をもらい、それをブレークスルーできないもどかしさを感じています。

組織は「業績」を達成することで「使命」を果たす、その2つをつなぐのが「理念」
ただ、本プロジェクトに参加して思うのは、もしかしたら、経営者も我々も「成長した先にどんな姿になり、世の中に何を提供したいのか」が言語化できていないのかもしれない、あるいは、言語化はされているものの、抽象度が高すぎて具体的なイメージが描けなかったり、腹落ちできていなかったりする中で、株主や競合がいる手前、「成長」を、お題目として掲げているだけなのかもしれない、ということです。
言い換えれば、顔が見えない資本主義の構造にとらわれ、成長をせざるを得ない状況に置かれているだけなのかもしれません。
とりあえず「成長」と言っておけば免罪符となるような雰囲気もあります。
そうなると、「誰のための、何のための成長なのか」が置き去りになり、「成長」という言葉だけが一人歩きしてしまう危うさを感じています。
ある意味「成長」という空気感に圧迫されている資本主義の被害者とも言えるかもしれないのですが、それでも僕は経営者や我々社員一人ひとりに「夢」を語ってほしいと願っています。それは「意志」とも言えると思います。
特に経営者には、会社を通して実現したい自身の夢、会社として実現したい夢、それを自身の「意志」として語ってほしいのです。
しかし、それが語れない方が、少なくとも自社内には多いように感じ、虚しさを感じています。
希望の原則
でも、、だからこそ、僕は品川さんが本書で掲げる「希望の原則」に共感・共鳴したのです。
以下は私の解釈ですが、サルトルはこの絶望的な状況を「創造のための絶望」だと捉えました。すなわち、「誰も人生の意味を教えてくれないのなら、私が自分で創ればいい」と開き直るのです。人生に最初から用意された脚本なんてない。私が主人公で脚本家で演出家なのだと。(中略)
このように、どれだけ絶望的な状況にあろうとサルトルが大切にした信念ーーーそれはきっと、「希望」と「勇気」、そして「行動」という集約されるでしょうーーーを、ここではまとめて「希望の原則」と呼びたいと思います。
この原則を知ったのは前述の「人事のための哲学スペース」第5回「実存(サルトル)」を聴いた時です(ちょうど1年前の2024年12月の放送でした)。
この回は品川さんがいつも以上に熱がこもっていて、「現実を引き受ける」という言葉に僕自身とても心が揺り動かされました。
全12回(+1回)の中で一番好きな回です。
また、先日、元スターバックス コーヒー ジャパンCEOの岩田松雄さんの講演会に参加したのですが、米国MBA留学時、企業価値の計算など数値を追い求められることに心が渇き、休日には東洋古典(論語など)や日本文学(司馬遼太郎など)を好んで読んだ、というお話が印象的でした。
岩田さんは経営者として「Mission(使命)」を大事にされていて、資本主義社会の中でも、無目的な成長に身を任せず、夢を追うことはできると勇気をもらえます。
もう一つ、こちらも最近(11月)山形県米沢市を訪問し、旧米沢高等工業学校本館(現山形大学米沢キャンパス)にある「青春」という詩碑を20年ぶりに読みました。


大学時代に米沢を旅したときに出会い、とても勇気をもらい、今も僕の心を照らし続けてくれている詩です。
全文が味わい深く、勇気をもらえるのですが、特に次の箇所が好きです。
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
曰く 驚異への愛慕心、空にきらめく星辰、その輝きにも似たる事物や思想に対する欽仰、事に處する剛毅な挑戦、小児の如く求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。
僕自身の成長に対する感覚と距離感〜吾唯足るを知る〜
顧みて、自分はどうでしょう。
僕自身、「成長」にとらわれている感覚はあります。
本書にも例として出てきますが、休日に何もしないと不安になる感覚に襲われます。
成長とは少しズレますが、自分が生きている時間一瞬一瞬に何らかの意味づけをしたいという気持ちもあります。
一方で、成長してできることが増えると楽しいですし、学ぶこと、新しいことを知ること自体が楽しい、とも感じます。
さらに、学んだことや成長して得た力を生かしたり、仲間と協力したりして何かを達成すると、そこに嬉しさや楽しさを感じます。
人生を楽しんで生きる、そのための手段として「成長」と付き合うのがいいのかなぁと、今は考えています。
もう1つ、僕が好きな言葉に「吾唯足るを知る」というものがあります。
京都の龍安寺にあるこちらのつくばいが有名ですね。

ないものではなく、あるものに目を向ける、そこから幸せを感じることができるんだと、身をもって実感します。
資本主義との距離感を考える上で、大事にしたい言葉です。
余談になりますが、『鬼滅の刃』に出てくる次のセリフの解となるような言葉だと思います。
“どんな時もアンタからは不満の音がしてた
心の中の幸せを入れる箱に穴が空いてるんだ
どんどん幸せが零れていく
その穴に早く気づいて塞がなきゃ満たされることはない”
by 我妻善逸
少し矛盾するかもしれませんが、あるものに目を向け、そこから幸せを感じつつ、そこにいることに窮屈さや物足りなさや飽きを感じたら、あるいは、ありたい姿や実現したいことが湧いてくれば、そこに向かって努力する。その過程を楽しむ。そんな生き方が、成長とのいい距離感なのかもしれません。
昨日のたかはしさんのnoteも、「満ち足りる」ことへの思索が書かれています。大変興味深いですので、ぜひお読みください😊
僕の違和感と意識段階の揺れ〜インテグラル理論で資本主義を捉えてみる〜
本記事の冒頭で紹介した坪谷邦生さんの書籍『図解組織開発入門』の読書会に参加して気づいたことが、僕の問いと向き合う上で示唆深かったので、共有します。
同書のChapter 6.「ティール組織」では、日本で2018年に出版された『ティール組織』とその理論ベースとなった『インテグラル理論』についてわかりやすく解説してくれています。
かいつまんで言うと、人の意識は「限界」に直面するたび、新たな意識レベル(世界観)を獲得してきたし、それに応じて組織もまた新しい段階を獲得してきたというものです。
重要なのは、「超えて含む」という概念で、上の段階は下の段階を内包するというものです。
組織で言うと、現在のほとんどの株式会社は「オレンジ(達成型)」、官僚的な組織は「アンバー(順応型)」、ギャングやマフィア、創業期の中小企業は「レッド(衝動型)」というイメージです。(↓の図をご参照ください)
成果主義的な「オレンジ」の株式会社でも、例えば、定型業務をやる部署は「アンバー」の方が合っているということが「内包」のイメージです。

この段階を別の角度から図示したものが↓の図になるのですが、レッドからオレンジまではピラミッド型というのも示唆深く感じる一方、希望も持てる図だと感じています。

つまり、現在はオレンジ型の企業がほとんどですが、その先があることを示してくれていると感じます。
ただし、注意したいのは、二つの点です。
ひとつは、経営トップの意識レベルを超えて組織は発達しないということ。
もうひとつは、自分の意識レベルに合った組織にいるなら、それはそれで幸せであるということです。
無理に意識レベルを高める必要はないし、そうすると逆に不幸になりかねないということだと理解しています。
こうして見てみると、いまの日本企業の多くが「オレンジ=達成型」であり、その価値観を前提にしているからこそ、「もっと成長しなければ」「成果を出さなければ」という空気が濃くなるのかもしれません。
僕が感じていた「成長が目的になっているのでは?」という違和感は、オレンジ的な発想だけでは、自分自身がしんどくなってきているサインなのかもしれない、と感じました。
同書のChapter 8.「デリバリング・ハピネス」では、米国のオンラインの靴通販会社ザッポス社を、社員・顧客・取引先・世界に幸せを届けることに焦点をあてた「グリーン」の代表会社として、そして「ティール」に挑戦した会社として取り上げています。
この章で興味深かったのは、ザッポス社創業者のトニー・シェイが、元々はオレンジとしてベンチャー企業を創業・成長させ高額で売却することに「成功」したのですが、「まったく幸せになれなかった」と語っていることです。
そこで虚しさを感じたトニー・シェイが、グリーン、更にはティールと志向していったことが興味深いです。
(繰り返しになりますが、「飽き飽きするまでオレンジをやり尽くした」ということが次の段階に進む上で必要です。)
僕たちが資本主義と付き合う上で、大事なことを示唆してくれている気がしています。
もちろん、このインテグラル理論の段階は「どれが上で、どれが下か」というものではありません。レッドにもアンバーにもオレンジにも、それぞれの良さと役割がありますし、どの社会にも、どの組織にも、さまざまな段階が同時に存在しています。
大事なのは、「いまの自分や自分の属している組織は、どんな世界観を前提に動いているんだろう?」と立ち止まってみるための“レンズ”として、この理論を借りてくることなのだと思います。
僕自身、「オレンジ=達成型」の価値観には、これまでたくさん助けられてきました。
目標を追いかけて達成することは、純粋に嬉しいし楽しい。
その一方で、それだけを軸にすることへの違和感も、少しずつ強くなってきています。
インテグラル理論で言うと、仲間との関係性や一人ひとりのあり方を大事にする「グリーン」の感性にも惹かれつつある——そんな“揺れ”の中にいるのかもしれません。
必ずしも「オレンジ=資本主義」と単純にイコールで結べるわけではないと思いますが、僕が抱いていた「成長が目的になってしまうことへの違和感」は、このオレンジ的な世界観だけでは窮屈になってきているサインとも読めます。
そして興味深いのは、グリーン組織もティール組織も、どちらも資本主義の中に存在し、その構造の中で持続している、ということです。
資本主義そのものを完全に否定するのではなく、「どんな意識レベルで資本主義と付き合うのか」という選択肢が、すでに現実の中に現れはじめている——そこに、僕はささやかながら未来への希望を感じています。
この記事が、読んでくださったあなた自身の資本主義との「距離感」を、一度立ち止まって見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。
また、このプロジェクトに興味を持っていただけたのであれば、ぜひ参加していただけると嬉しいです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
