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#39/新学期、最初の席替えのあと/記憶の名残り

席替えが終わったあと、
教室は少しだけ散らかっていた。

机の列がまだきれいに揃っていない。

椅子も何脚か、斜めを向いている。

さっきまであちこちで聞こえていた机を引きずる音は、もうほとんどしなくなっていた。

みんなが、それぞれの新しい場所に座り始めている。

自分の机も、いつもの机だった。

同じ木の色。

同じ大きさ。

天板には、細い鉛筆の傷が何本か残っている。

けれど、座ってみると少し違った。

黒板が、前より右に見える。

窓も少し遠い。

昨日までなら視界の端にあったものが、今日はそこにない。

代わりに、知らなかった角度から教室が見えている。

机の横に鞄を掛ける。

椅子を引く。

脚が床を擦って、短い音を立てた。

隣にも机がある。

まだ誰も座っていない。

天板の端に、小さなへこみがあった。

誰かが鉛筆で何度も押したような跡。

その横には、消しゴムでこすったような白い筋が残っている。

指で触れるほどではない。

ただ、少しだけ目に留まった。

窓から風が入ってくる。

黒板の下に残ったチョークの粉が、ごくわずかに揺れた。

前の席は、どこだっただろう。

その傷を見ていると、別の机が少しだけ浮かんだ。

窓際だったような気もする。

もっと後ろだったかもしれない。

隣にいた人の制服の袖だけが、一瞬見えた。

顔までは出てこない。

先生の声がした。

教室のあちこちで、教科書を開く音が重なる。

目の前の黒板を見る。

さっきまで少し変に見えていた角度も、
もう、それほど気にならなくなっていた。

そのとき、隣の椅子が動いた。

床を擦る音がして、

机との距離が、少しだけ近くなった。


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