Arch Echo × DEZOLVE 対談 ── 日米技巧派インストバンドが語り合う、現代インスト・シーンのリアル(2023年8月)
アメリカのArch Echoと、日本のDEZOLVE。
プログレッシヴ・メタルを軸足とする前者、フュージョンを軸足とする後者という違いはありながらも、
非常に高度な演奏技術とアンサンブルに支えられた、美しいメロディとキャッチーな楽曲たち
全編インストゥルメンタルにもかかわらず、ライブが非常に楽しい(バンドメンバーも楽しそう)
といったあたりに親和性を覚えた筆者(Tate)は、2023年初夏、両者への対談を持ちかけてみた。
そのきっかけは、DEZOLVEの各メンバーが選んだプレイリストで、ベースの兼子さんがGuthrie Govan、Jakub Zytecki、Intervalsといったアーティストをセレクトしていたことに加え、この時期、ギターの北川さんがAnimals as Leadersの曲を練習している動画がたびたびUPされていたことだった。
Selective Pickingできるようになってきた!🎸
— 北川翔也 (@shoya_k0111) April 9, 2023
6弦でやるの大変。
"Kascade" / Animals as Leaders pic.twitter.com/oeBM7EcvVJ
当時は私も、まだ日米のバンドメンバー同士の会話を即時通訳できる自信が無く、知り合いのアメリカ人に通訳をお願いしてのZoom対談となった。
公開済みの前編(↓)は、私が試行錯誤しながら動画編集を手掛けたこともあり、今あらためて観ると、両者の会話の堅さも気になるが、互いの自己紹介からバークリー音楽大学の話、曲作りのスタイルまで、貴重な対話記録となっている。
本稿では、公開済みの前編に加え、未公開となっていた後編の会話も加え、対談全体をテキストとして再構成した。
🗣️Zoom対談参加者
Arch Echo
Adam Rafowitz(アダム・ラフォウィッツ、Guitar)
Joe Calderone(ジョー・カルデローン、Bass)
DEZOLVE
北川 翔也(Guitar)
兼子 拓真(Bass)
※企画・インタビュアー・編集:Tate、通訳:Brendan、協力:Izumi
※Zoom収録:2023年8月
※以下、リリース、ツアー、今後の予定などは収録時点の発言として掲載

👋自己紹介
Tate: まずは、初めて知る方に向けて、自己紹介をお願いできますか?
北川: はい。はじめまして…で、いいのかな(笑)。ギタリスト、作曲家の北川 翔也です。DEZOLVEというインストゥルメンタル・バンドでギターを弾いています。
DEZOLVEは2014年に結成して、6枚目のアルバム『CoMOVE』を出したばかりです。フュージョン・バンドと呼んでいただくことも多いんですけど、4人がいろんな音楽から影響を受けているので、それを自分たちなりに混ぜて、消化して、DEZOLVEらしい音楽にしていけたらと思っています。
個人では、ジャズ/フュージョンのセッションやライブから、ロック、ポップスのサポートまで、いろいろやらせてもらっています。作編曲では、ゲーム音楽、ドラマの劇伴、CMなどの制作にも携わっています。
Adam: すごくいいね!演奏を聴いていても、いろんな要素が自然に混ざっているのがわかるよ。
兼子: 僕は兼子 拓真といいます。ベースを始めたのは14歳くらいで、18歳ごろからはゲーム音楽なども含めて、いろいろな現場でサポート・ベーシストとして活動しています。
DEZOLVEのドラマー、山本 真央樹さんとは仕事で出会って、最初はサポートとして1年~1年半ほど参加していました。その後、2022年11月に正式メンバーとして加入しました。『CoMOVE』は、僕が正式メンバーとして参加した最初のアルバムですね。
Joe: いいね!バンドに入れてよかった?
兼子: もちろんです(笑)
北川: 兼子くんが正式メンバーとしてジャケットにも載る初めての作品なので、僕らにとっても特別なアルバムです。
Tate: では、Arch Echoのお二人もお願いします。
Adam: Adam Rafowitzです。今31歳で、ギターは7歳の頃から弾いてる。父がキーボーディストだったから、子どもの頃から一緒に演奏したり、ハービー・ハンコックを聴いたりして、ファンクやジャズ・フュージョンが身近にあったんだ。
メタルに深く入ったのは、バークリー(音楽大学)に行ってからだね。そこでJoeや、キーボードのJoey Izzoと一緒にSound Struggleというバンドで演奏していた。卒業後、僕とJoeyがそれぞれEPを作ろうとしていたんだけど、「知っている仲間と、自分たちが本当にやりたい音楽をバンドでやろうよ」ってなった。それがArch Echoの始まりだね。
2016年の終わり頃にバンドとして動き出して、2017年にファースト・アルバムを出した。ツアーもできたし、好きだったバンドと一緒に演奏する機会もあった。とにかく、これからも曲を書いて、もっとツアーをしていきたいと思ってる。
Joe: 僕が音楽を始めたのは12歳ぐらい。最初はクラシック・ロックで、Rushを入口にプログレッシヴな音楽に入っていった。その後はNirvana、Foo Fighters、Dream Theater…という感じかな。
Rushの変な…というか、すごく複雑なベース・ラインを聴いて、「これを弾けるようになりたいな」って思ったんだ。耳でコピーしてみるのを繰り返してたら、演奏力だけじゃなくて、聴く力も少しずつついてきた気がする。
バークリーに入ったのは2012年。Dream Theaterが通っていた学校なら、行くしかないでしょ、って(笑)。そこで Arch Echoのメンバーに出会った。僕らはそれぞれEPを作っていて、AdamとJoeyのアイディアがどんどん共同作業になっていったんだよね。最初は個人のEPだったはずなのに、「これ、チームでやった方が絶対いいな」ってなって、ファースト・アルバムになった。
出したときは、正直、聴いてくれる人がいるのかわからなかった。でも思った以上に気に入ってもらえて、そこからずっと続いてる感じだね。
🏫バークリー音楽大学で学んだこと
Tate: AdamとJoeは二人ともバークリー出身ですが、その経験は今の音楽活動に、どう繋がっていますか?
Joe: Dream Theaterが通っていたことは、もちろん大きかったよ。でも僕にとっては、エレキ・ベースでオーディションを受けられる学校だったことも重要だった。当時、他の音楽学校だとアップライト・ベースが前提だったり、ジャズやクラシックをやるなら選べる専攻が限られていたりした。僕はエレキで、現代的な音楽を弾きたかった。バークリーは「Red Hot Chili Peppersを弾いて受けてもいいよ」っていう感じで、それが自分には合ってたんだ。
先生たちは本当にすごいし、18~22歳ぐらいの優れたミュージシャンが、世界中から一つの場所に集まっている。食堂で一緒にご飯を食べていても、この人が将来どんなことをするのかはわからない。そういう環境は、やっぱり特別だと思う。
僕は最初、音楽教育を学ぼうと思っていたんだけど、最終的には映画音楽を専攻した。ゲームや映画の音楽は、楽器を始める前から自分の中にあったものだから。昔、遊んだゲームの音楽が、ずっと頭に残っていてね。

キャンパスはボストンのビルに散在している感じだった。
兼子:僕も昔、バークリーに行きたいと思っていたことがあって、すごく興味があります。最初からバンドが決まっている感じなんですか?それとも、日常的にいろんなセッションが起きて、そこへ自由に入っていく感じなんでしょうか?
Joe: 両方あったと思う。最初の学期に「この人たちとバンドを組もう」ってなる人もいるし、僕みたいに、ひたすら、いろんなジャムへ行く人もいる。「こっちではジャズ/フュージョンをやってる?いいね」「ロックやメタルをやってる?それも行く」みたいな(笑)。とにかく他の人と弾いて、何が起きるか見たかったんだ。ゆるいコード進行だけあって、ドラマーがグルーヴを作る。それに合わせていくうちに、ドラマーが変えたら自分も変える。部屋にいる全員がそういうことをやっているのは、すごく楽しいよ。
メタル好きな人とも会いたくて、メタル系のクラブにも入った。バークリーはジャズの存在感が大きいけど、そこで同じ音楽が好きな人とつながって、曲を一緒に弾いたり、誰かのオリジナルにベースを録ったりしていた。
Adam:友だちになる人が、みんな本当にいろんなスタイルを弾けるんだ。共通の好きなものが見つかると、自然に一緒に演奏することになる。
僕はもともとファンク寄りだったんだけど、友人に「ファンク・メタルのバンドをやろう」って言われたことがあった。メタルなんてほとんど弾いたことがなかったけど、「いいね、楽しそう」って(笑)。その先に、今の自分がフュージョンとメタルを行き来している姿があるんだと思う。

いつかその機会が訪れて欲しい。
🎸「ヘヴィ・フュージョン」か、「プログレッシヴ・メタル」か
Tate: Arch Echoは、ご自身の音楽をどう呼んでいますか?メタル、フュージョン、インストゥルメンタル…いろいろな言い方があると思いますが。
Adam: 生徒の親御さんに言うなら、「ロックを弾いてます」で済ませるかな(笑)。でも自分たちの音楽を説明するなら、ヘヴィ・フュージョン、プログレッシヴ・フュージョン、あるいは単にプログレッシヴ。
Dream TheaterからThe Mars Volta、Return to Foreverまで、いろんなものが混ざってる。インストゥルメンタル・プログレッシヴ・フュージョン… かな。まあ、長いけど。
Joe: 僕はプログレッシヴ・メタルって呼ぶかな。一番わかりやすいから。フュージョンの要素はあるし、和声はかなりフュージョンから影響を受けてる。でも曲の骨格は、やっぱりメタルなんだよね。その上にフュージョン的なコードや進行を散らしている、という感覚。人によっては「すごくジャジーだな」と思うかもしれないけど、僕はそんな感じ。
最新作『Final Pitch』は、過去作ほどジャジーではなく、よりメタル寄りになっているかもしれない。でも、どちらか一方だけをやっているわけじゃないんだ。
Tate: ライブにはメタル・ファンだけでなく、フュージョンのファンも来ていると感じますか?
Adam: うん、感じるよ。インストゥルメンタルのプログレッシヴ・メタルと、現代的なフュージョンは、重なるところが多いと思う。エネルギーはメタルだけど、和声や即興にはフュージョンの影響がある。だから、どちらのリスナーにも楽しめる部分があるんじゃないかな。
Peripheryのようなバンドをサポートするときはメタル・ファンが多くなるし、ワンマンならフュージョンのファンも増える。でも、両方が混ざっているのが Arch Echoらしいところだと思う。
Joe: いつかSnarky Puppyのツアーに出て、フュージョンの人たちにも聴いてもらわないとね(笑)。そのときはセットを少し変えなきゃいけないかもしれないけど。
メタル(要素)をほとんど抜いて、フュージョンをすごく意識して書くのも面白そう。僕が出すアイディアはフュージョン寄りのことも多いんだけど、みんなで集まると「もっとエネルギーを出そう」ってなって、最終的にメタルになることが多いんだ。
Adam: ライブでどう聴こえるかも考えるからね。ステージに立ったとき、ちゃんとエネルギーが出て、動きたくなるか。メタルの音は、僕らにとってもお客さんにとっても楽しいんだ。

というプログメタラーの王道から世界を広げていったJoe。
🎼曲作りのスタイルの違い
北川:Arch Echoは全メンバーがソングライターとしてクレジットされていますよね。実際、曲作りはどう進めているんですか?
Adam:曲によるし、アルバムによっても違う。でも(キーボードの)Joeyが制作面で中心になることは多いね。誰かが持っているリフから始まることもあるし、メロディから始まることもある。ドラム・ビートから始まることだってある。今はメンバーが離れた場所に住んでいるから、ZoomやSkypeで二人か三人が集まって、素材を広げていくことが多くなってる。
"Strut"という曲には、ドラマーのRichieが送ってきた15/8拍子のフレーズがあるんだ。「これ、どうする?」ってところから和声を作って、タッピングのギター・パートができていった。Joeyが書いたら僕には弾けなかったかもしれない。僕、死んでたね(笑)。
Joe: でも本当に、曲によって違うんだよね。最終形に向けて、全員が何かしらを足していく。Joeyはプロデューサー役が好きで、客観的にアイディアを見ながら、どこへ進むかを考えるのがうまい。
誰かが一人でリフを作ってアップすることもあるし、Joeyと同じ場所にいる誰かが一緒にアイディアを練ることもある。たとえば"Battlestar Nostalgica"という曲は、AdamがニューヨークのJoeyを訪ねたときに始まった。二人がアイディアを出してグループに送って、僕が「ここにベースのフィルを入れたら面白いんじゃない?」と返す。そんなやりとりを重ねて、みんなが納得する曲にしていく。
北川:DEZOLVEは少し違うかもしれないですね。各作曲者が、一曲、かなり完成したデモを作って、それをメンバーに送って練習して、レコーディングに入ることが多いです。
フュージョンみたいに考えることが多い音楽って、一人で組み立てる方がやりやすいな、と思うこともあります。曲を作るときに意識しているのは、「今ここで何を一番伝えたいか」ですね。今はメロディが主役なのか、後ろのリズムの面白さが主役なのか。各セクションで一番大事なものがちゃんと前に出るように、楽器の主張や構成を考えています。
Adam: それ、すごく近いと思う。Arch Echoでは「ヘッドバンギングできるか」が大事な基準の一つなんだ。
Joe: うん、「ネック・テスト」だね(笑)。リズムや和声が複雑すぎて、ただ複雑なだけになっていないかは、みんなで見ている。もっとわかりやすくした方がいい、というときもあるし、「そこはもっと掘ろう」となることもある。結局は、曲にとって何が合うかかな。
Adam: 「これ、僕らにはめちゃくちゃカッコいいけど、ちょっと複雑すぎない?」って、あとから思うこともあるよね(笑)。最終的には、気持ちいいか、キャッチーか、そこが大事。
Joe: 『Final Pitch』では、メロディを歌えるものにしたい、ということも意識していた。技術的には複雑でも、聴いた人の頭にメロディが残る。そこを両立したかったんだ。

いつかぜひDEZOLVEで共演して欲しい。
🎮日本の音楽とゲーム音楽
北川: 僕は子どもの頃から海外の音楽が好きで、父がハードロックを聴いていたこともあって、海外のロックをよく聴いてきました。お二人から見ると、日本の音楽にはどんなイメージがありますか?ロックに限らず、好きなものがあれば聞きたいです。
Adam: (少し考えて)日本の音楽をたくさん知っているわけではないから、むしろ、おすすめを聞きたいくらいなんだ。でも、僕が聴いた音楽には、技術性とメロディを大切にする感じがあると思う。
日本そのものも、アメリカとは違う良さがあるよね。言葉にするのは難しいけど、食べ物も文化も好きだし、もっと日本のバンドを知りたい。BABYMETALだけじゃなくてね(笑)。
Joe: 僕も日本のロックはまだあまり詳しくない。マスロックやフュージョンのイメージはあるけど、もっと聴かないといけないね。
日本は本当に過ごしやすい場所だった。2019年に行ったとき、一人でホテルまで歩いていても不安を感じなかった。帰り道に小さな店でチーズケーキを買ったんだけど、「これはいいな」って思ったよ(笑)。
Tate:Arch Echoはゲームやアニメにも馴染みがありますよね。ゲーム『原神』のコンサートにも出演されていました。DEZOLVEのメンバーもゲーム音楽に関わっていますし、二組には近いところがあるように感じます。
北川:DEZOLVEの音楽は、曲によっては幻想的なイメージやSF的な要素をテーマにしています。4人ともゲームが好きで、ゲーム音楽に携わっていることもあって、「フュージョンを作る」というより、ゲーム音楽を作る気持ちで曲を書いていることは多いですね。
兼子: みんな小さい頃からゲームが好きで、面白かったゲームを教え合ったり、同じものを遊んだりもするので。ゲームの中にある面白いコードとか、フュージョンっぽい要素から影響を受けているところは、かなりあると思います。
日本のゲーム音楽には、ジャズ/フュージョンの影響を感じる曲が多いですよね。海外のゲーム音楽は映画音楽的なイメージもありますけど、日本のゲーム音楽には、また違う要素が入っている気がします。
Adam: すごくわかる。『クロノ・トリガー』の音楽を思い出すよ。西洋のゲームにあるクラシック的な要素だけじゃなくて、その下にもう一つ何かがある感じ。JRPGのボス戦の曲って、ジャズ/フュージョンやロック、メタルが混ざっていて、いつもカッコいいんだ。
Joe: 僕は『グランツーリスモ』のサウンドトラックもずっと好きだよ。柔らかいジャズ/フュージョンみたいな要素があって、他のレースゲームとは全然違う。
ゲーム音楽っぽい曲を意識して書こうとしているわけじゃないんだけど、結局そうなることはある。子どもの頃からゲームが好きだったから、頭のどこかに残っているんだろうね。
Adam: 僕の中にあるものも、結局は『ゼルダの伝説』や『ポケットモンスター 金・銀』を遊んでいた頃までたどれる気がする。どんなアイディアでも、根っこには8歳や10歳の頃に遊んだゲームの音楽があるんだと思う。

ゲーム音楽の話題は、やはり国境を超えて盛り上がれた様子。
🎶曲の展開の仕方
北川:日本のポップスやゲーム音楽には、イントロ→Aメロ→Bメロ→サビというように、曲の中で場面がはっきり変わっていく感覚があると思っています。海外の音楽とは、構成や音の優先順位が少し違うように感じることもあって。そのあたり、どう見えていますか?
Joe: すごくいい視点だね。今まで、そこまで考えたことはなかったけど、たしかに曲の形は違うと思う。
JRPGが海外の人に届く理由の一つは、物語の深さじゃないかな。アメリカで人気のゲームというと『Halo』や『Call of Duty』のような作品も多い。でもJRPGには、物語に入り込んでいく時間がある。そこに丁寧に作られた音楽が重なると、感情的なつながりが生まれるんだと思う。
ゲームを終えた後に、またサウンドトラックを聴きたくなる。物語と一緒に音楽が記憶に残るからだよね。
Adam: 僕が聴いた日本の音楽は、もっとオーケストラ的で、楽器も多くて、音色の使い方が面白いものが多い印象がある。アメリカのポップスは、イントロ、ヴァース、コーラス、ブリッジというシンプルな形になりやすい。もちろんそれが悪いわけじゃないけど、日本の音楽には別の展開の面白さがあると思う。
Joe:任天堂のサウンド・デザインを考えると、音そのものがすごく音楽的なんだよね。何かを作動させたときに鳴る音が、ちゃんと音程や和音の関係を持っている。効果音が、背景で鳴っている曲ともつながっている。
一方で、もっと抽象的な音や現実的な音を重視するゲームもある。それはそれで別のアプローチだよね。どっちがいいという話じゃなくて、音をどう物語の中に置くかの違いが面白い。
北川: 日本の音楽は、Aメロ、Bメロ、サビでリズムや展開が結構はっきり変わる印象があります。海外の音楽は、曲の一番大事なものが最初からずっと流れているように感じることもあって。もちろん例外はありますけど、そういう違いはあるのかもしれませんね。
※筆者注)この対談から約3年後、DEZOLVEがゲーム音楽愛を全面に出した曲はコチラ(↓)
📢最後に、今後の活動予定と、伝えたいこと
Tate: 最後に、これからの展望などを聞かせてください。ニッチで熱心なリスナーに支えられる音楽だからこそ、どんな風に広がっていくと良いと思いますか?
Joe: また曲を書き始めようとしている。2作目と『Final Pitch』の間には4年くらい空いたから、次はそこまで待ちたくないんだ。EPも出してはいたけど、もっと早く、新しくて楽しい音楽を作りたい。とにかく次の曲に集中したい、という感じだね。
一緒に仕事をしてみたいアーティストは、Jacob Collierかな。一緒にできたら、すごく面白そうだよね。彼は本当に才能があるから。
※筆者注)この対談の翌年、Arch EchoはJacob Collierの楽曲にゲスト参加している(↓の4:24あたりから始まるヘヴィなパート)。
Adam: Discordも大切にしたい。良いコミュニティがあるんだ。オンラインで話していたファンにライブ会場で会ったり、同じ街で何度も顔を合わせることもある。
インストゥルメンタル・プログレッシヴみたいなニッチな音楽では、コミュニティを育てることはすごく大事だと思うんだ。ツアーの後は、また曲を書いて、自分たちもリスナーも「これはいい」と思える音楽を作りたい。
Joe: 新しい人に知ってもらうには、結局、聴きたいと思ってもらえる曲を作ることが一番大事だよね。
プログレッシヴ・メタルやフュージョンが好きなのに、まだ Arch Echo を知らない人もいると思う。SpotifyやYouTubeのレコメンドは、最初のアルバムの頃からすごく助けになった。
Discordは、新しいファンを集めるためだけの場所じゃない。Arch Echoが好きな人たちが、ゲームの話をしたり、曲作りやベースの音作りを質問したりできる場所なんだ。ときどき僕らも会話に入る。『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を遊んでる話をしたこともあるよ(笑)。そういう気楽な場所があるのは楽しい。
北川:DEZOLVEでは、4人それぞれの個人活動を大事にしていきたいと思っています。いろいろなジャンルのサポートや制作を通して、4人がそれぞれ成長していく。その成長がバンドの曲にも返ってきて、結果的にバンドも成長する。そういうスタイルはこれからも続けたいですね。
フュージョン・バンド、あるいはJフュージョンの伝統を継ぐバンドと言っていただけるのは本当にありがたいです。でも、そこにとどまらず、もっとジャンルの垣根を越えて、いろんな音楽ファンにアプローチしていきたい。Discordのようなデジタルな場も含めて、活動の幅を広げていけたらと思っています。2024年にはDEZOLVEが10周年を迎えます。ライブを中心に活動してきましたが、今後はファンの皆さんと交流できる場所も、もう少し増やしていけたらと思っています。
DEZOLVE を知らない方にも、この対談をきっかけに、少しでも興味を持っていただけたらうれしいです。フュージョンが好きな方はもちろん、プログレッシヴ・メタルに興味がある方にも、楽しんでもらえる曲があると思います。
兼子: 僕も北川さんがおっしゃったことに近いんですけど、DEZOLVEは、4人が個人活動を大事にした上で、技術や音楽性を持ち寄ってアンサンブルを作る場所だと思っています。
たくさんの人に届くことだけを考えすぎると、DEZOLVEの良さが薄くなってしまうかもしれない。僕がフュージョンに出会ったのも、音楽を続けていく中で「こんな難しいことをやっているバンドがいるんだ」って驚いたのがきっかけでした。
音楽を頑張っている人や、もっと深く追求したい人にとって、DEZOLVEが強い存在になれたらうれしいですね。
Arch Echoが好きで読んでくださっている方へ。DEZOLVEはフュージョン・バンドですが、インストゥルメンタル・バンドとして、本当にいろんな音楽性があります。プログレッシヴ・メタルっぽい曲や、Dream Theater がお好きな方にも刺さるような曲もあると思います。
アルバムごとに世界観が違うんですけど、その中に一本、DEZOLVEらしい筋が通っている。過去作も含めて、そこを楽しんで聴いてもらえたらうれしいです。
本対談から3年が経ち、今日この後、DEZOLVEは、あの神保彰さんと共に『EIGHT-JAM』に出演するという。
\TV出演情報/
— DEZOLVE【公式】 (@dezolve_ofc) August 17, 2026
📺テレビ朝日「EIGHT-JAM」#DEZOLVE がドラマー #神保彰 さんと一緒に出演いたします⚡
DEZOLVE初の地上波出演!
ぜひお楽しみに🔥
⏰8月23日(日)23:30~
♪フュージョン特集https://t.co/rXMxOesGY3 pic.twitter.com/HzubecsJMD
この3年の間に、日本のシティポップが世界的なブームとなり、続いてJフュージョンも人気となった。
我々が今年インタビューした中でも、Jack Gardinerは特にカシオペア愛が強く、"朝焼け"や"Galactic Funk"をカバーしているほどだ。
夢を言うなら… CASIOPEA のメンバーの誰かと。神保 彰 さんや 櫻井 哲夫 さんとプレイできたら、天国のような気分だろうね。夢が大きすぎるかもしれないけど。
— インタビュー、ライブ&ギタークリニック レポート」より
Jack Gardiner🎸東京公演の様子
— 【Prog Project】 (@prog_project) April 17, 2026
動画UPもOKとのことなので、おすそわけ⬇️
彼の渋すぎる良い声での日本語MC、
そしてアンコールにプレイされた、日本が誇るフュージョン・バンド、カシオペアの”朝焼け”のカバーです✨
(ステージが低い会場だったので、人の頭の間から何とか撮った感じです…😣) pic.twitter.com/EcsXE89X5r
Fallujahのギタリスト Scott Carstairsは山下達郎の大ファンだというし、Moron PoliceのSondre Skollevollも、次のように語っていたのが印象に残っている。
高中正義を聴いたとき、「わぁ、スーパーファミコンの音楽みたいだ!」って思った。実際は彼の方が先なんだけど。カシオペアについても同じで、「スーパーマリオやマリオカートみたいだ!」って感じた。
ゲーム音楽、椎名林檎、そしてPachinko — 日本の音楽との30年」より
このような、海外のプログメタル・ミュージシャンたちが、こぞって日本のフュージョン&ゲーム音楽からの影響を語るようになった件については、改めて別記事で掘り下げたいと思っている。
本対談で、北川さんは「Jフュージョンという枠に留まらず、ジャンルの垣根を越えていろんな音楽ファンに届けたい」と話されていたし、兼子さんも「万人受けを狙うのではなく、音楽を深く追求する人にとって強い存在になれたら」と語っていた。
私自身も、Arch Echoとの親和性を感じてこの対談を企画したように、DEZOLVEを「フュージョン枠」だけで見てこなかった。
おそらく今日のテレビ出演をきっかけに、普段フュージョンを聴かない方、プログメタルに馴染みが無い方も、この記事にたどり着いてくれるかもしれない。ぜひ既存のジャンルやレッテルに縛られずに、いろんな音楽に耳を傾け、興味を持っていただけたら幸いだ。
※対談公開当時、作成したYouTubeの再生リストもあるので、よろしければぜひ。
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