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新しい世界像のはじまり

 米国の経済学者で、開発途上国の経済や環境問題の経済学を専門とするジェフリー・サックスが、ガザ、ウクライナとロシア、そして中国について語っていることは今日何より重要だ。西側メディアのプロパガンダに毒された者は、一度虚心に耳を傾ければ、全世界がまったく別に見える。
(サックスの語っていることを、ひとつ翻訳した。これである)。

 こういうことを言うと、中国、ロシア、北朝鮮なんて独裁国家じゃないかと言うむきがある。それは西側の諸国のプロパガンダが多分にある。私は、中国、ロシア、朝鮮が自由なのびのびした国だとも言わないが、そこに生きているひとたち、そこから日本に来ているひとたちは、決して抑圧されて暗い顔をしているわけではない、普通のひとである。
 ああいう国のなかにいれば、それが当たり前だと思って、疑問も持たないのさ、と言うむきは、あれらの国を批判する諸国にそんなに十分に自由があるか考えないのだろうか? 毎日鉄道で人身事故があり、6人に1人の子どもが十分に栄養を摂れず、テレビのニュースキャスター、コメンテーターは政府の意向にそわないことを言えば降板させられる国は、あまりよその国を見下す資格がない。

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 中国、朝鮮、ロシアについて考えるときには、朝鮮戦争がまだ終わっていないことを忘れるべきではないだろう。そして、それらの国のすぐ近くの海域で、米韓日三国軍事同盟が長年演習をしてきたことを。

 アベ政権以来日本は全体主義、独裁主義である。これは、「山上徹也さんがしてくれたこと(改訂版)」で述べた通りである。

 なんでアベにそんなことができたかと言えば、これは論者によって様々な理由を挙げると思うけれども、私としては、朝鮮戦争のとき以来、アメリカ(そして日本財界)の企みで始まった逆コースの結実だという点が、何より肝要だと思う。
 そこで決定的だったのは、公務員法改悪により公務員のストが非合法化されたことである。これは「公務員ストの非合法化こそが戦後の日本を規定した」に書いたとおりである。

 公務員のストが非合法化されたことが生んだ負の影響はいくらでもあるだろうが、少なくとも、
 1、日本の労働運動全体が力をうしなったこと、
 2、教師が教科内容を自主的に決められず、また給与、勤務時間などの勤務条件の改善を要求する手段をうしなったこと、だけは挙げておかなければならない。

 第1の点については、公共企業労働者が加わらなければ、私営企業労組だけのストでは力を持でず、しかも私営企業労組は産業別でなく企業別なので、ことさらに弱体化する、ということがある。
 日本の戦後の経済復興は、そういう一般勤労者の現実を、うわべの繁栄である経済成長で誤魔化して進められた。うわべの繁栄というのは、衣食は足りすぎるほどになったが、住は貧困だったことを指す。質のよい公営住宅はなく、大企業に終身雇用された者だけが会社のローン負担で戸建てに住めた。
 しかも、忘れてならないのは、その復興も、中国がアジア太平洋戦争の敗戦国である日本に対して賠償請求権を持っていたのに一度も行使しないでいてくれたからだということだ。中国自身も貧しかったのにそんなことをしたのは、欧州留学経験のある周恩来が、フランスに賠償金を取られて経済が崩壊したドイツにナチスが興ったのを見ていて、日本を同じ道に追いやるまいとしてくれたからである。ちなみに、この周恩来と1972年に会談して、日中友好条約を達成した田中角栄は、米国に断りなくやったことで、にらまれ、ロッキード疑獄で失脚している。

 第2の点、教育については、教師の自主的カリキュラム編成権がないため、憲法、労働法、近現代史が扱われないことを指摘しなければならない。そんなことをすればアカと呼ばれるのである。
 このおかげで、国民の多くは自分が主権者だとは思わず、命令されて投票しているみたいな気持だし、電通の高橋まつりさんのように、東大出ていても自分の労働者としての権利に無自覚だったため、企業に酷使されて精神が破綻して自殺するなどという例がある。公務員である教員は、教えるべきことを教えられず、自分の待遇改善の要求もできない
 また、近現代史を知らないから、まわりのアジア諸国とどんな関係だったかを知らない。アジア、アフリカ諸国にとって、近現代史とは、西欧に支配された屈従と苦難、それをはねのけるため国民が一体となった独立闘争の栄光の歴史である。それを教えることを、英国やフランスが「反英教育」「反仏強育」などと呼んだ例はない。日本では、中国や韓国が当然の歴史を教えることを「反日教育」と呼んで憚らない。盧溝橋事件が日本の陰謀で、それが対中戦争の引き金になったことは、割に知られているが、「閔妃(ビンピ)殺害事件」などを知っているのは日本人でも、ほんの一部である。日韓併合前夜の重要な事件であるこの事件は、当時朝鮮を狙っていた中国、ロシア、日本のうちでロシアに近かった王妃、閔妃を、駐朝公使である三浦梧楼が壮士数名とともに夜間に王宮に押し入って、女官らとともに惨殺した事件だ。朝鮮の要求により三浦は裁判にかけられたものの、日本の裁判官は彼を無罪とし、彼はそののち学習院の院長になっている。

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 中国を独裁と呼んでいるひとは、2022年に北京政府のコロナ対策に不満をもつ国民が100万のデモを出して、政府に政策を撤回させた事実を知らない。日本では考えられないことではないか。全体主義、独裁の国は、なんでもかんでも日本やアメリカより窮屈で、自由がないんだぁ、などと思うひとは、これで、世界像の転換を考慮するといい。老人の年金も日本より潤沢なのだ。

 中国は商売人の国である。世界中に華僑華人がいて、それは商人や企業経営者ばかりでなく、土木作業員、性サービス労働女子も含む。こんなことを、ほかの民族がやれるか? 西洋は軍事力で支配する。というのも、もともと自然が苛酷で、資源も食糧も不十分な土地の民族だからだ。それで、米国は世界80ヶ国に250の軍事基地をもつが、中国はアフリカ東端のジブチ1箇所のみである。
 中国を始めアジアの諸国はそんなものだ。唯一の例外が日本で、米軍基地が130箇所ある。世界の米軍基地の過半数である。そのうち31箇所が沖縄だ。その沖縄に今、あらたに自衛隊の基地を増強し、住民はしだいに住めなくなっている。
 中国は近隣諸国と戦争をしたといっても、隣国とだけで、それも、隣国を乗っ取った例はせいぜいチベットだけだ。ウイグルも元々一自治区である。 
 嫌中のひとたちは何かと言えばチベット、ウイグルと言うが、タジキスタンやアゼルバイジャンは、また言うまでもなく、ベトナムやタイやインドや朝鮮などはどうなのか?

 故ジミー・カーターはニューズウィークとのインタビューで「中国は1979年以来戦争をしていない」と指摘している。インタビューの時点まで約40年経っているのである。1979年には、最後のベトナムとの紛争があったが、わずか1ヶ月しか続かなかった。
 カーターは続けて、米国は建国260年の間に、戦争をしなかった期間は最長で20年しかないと指摘している。

 上海協力機構には国連事務総長も出席した。日本は鳩山由紀夫元首相だけだった。韓国でさえ、名の知れた政治家が2名は出席している。

 くれぐれも、アメリカと日本の軽薄で危険なメディアの宣伝には注意しなければならない。

 NATOが東京に事務所を作ろうと提案し、中国とフランスの反発で断念したのも、日本がウクライナ、ガザ、イランにつぐ第三次世界大戦の戦場として米欧には見られていることを示している。そのバックには当然、軍需産業の働きかけがあるのだ。
 北大西洋条約機構が東京に事務所なんていくらなんでも変ではないか。。

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