見出し画像

1on1、せっかく導入するなら会社にやってほしいこと

この1on1シリーズでは、これまで2本の記事を書いてきました。
まず、1on1の意義を理解しないまま実行することへの違和感を。
次に、1on1を実行するマネージャーはどう向き合えばいいのか、を。

そして、今回は、その続き。
「1on1を導入する会社側は何をすべきか?」
という話です。


1on1を導入した。それだけでいいの?

2026年現在、今や、1on1は珍しいものではないでしょう。

2022年にリクルートマネジメントソリューションズが行った調査では、1on1を導入している企業は、全体で7割近くにのぼりました

リクルートマネジメントソリューションズによる調査結果(2022年)より

出典:【調査発表】1on1ミーティング導入の実態調査

1on1は、2010年代後半から急速に広がりました。

「ウチの会社でも1on1を始めよう」

そう考える企業が増えたことは、とてもいいことだと思います。

でも、

「導入すること」と「機能すること」は、同じではないんですよね。


1on1は価値が期待できる施策

企業は何のために1on1を導入するのでしょう。

  • 社員が、自分で考え、主体的に仕事に取り組めるようにする。

  • 自分のキャリアについて考えるきっかけをつくる。

  • 上司と部下の関係性を構築する。

こんなことが、1on1に期待されているようです。

実際、前述の調査では、
1on1を導入した企業のうち
「上司と部下の関係性が良くなった」と回答した企業が41%、
「部下のモチベーションが上がった」が36%でした。

もちろん、この数字だけを見て「1on1を導入すれば関係性やモチベーションが上がる」と言うことはできませんが、

1on1を導入し、ポジティブな変化を感じている企業があるんですね。

それは、1on1に期待できる価値がある、ということだと思います。
だから1on1そのものを否定するつもりはなく、むしろ、

せっかく導入するなら、
ちゃんと機能するよう土台をつくるところまではやってほしい。

と思っています。


「やれ」と言うだけでは機能しない

ここで、少し気になるデータがあります。

同じリクルートマネジメントソリューションズの調査で、1on1導入後の課題として最も多かったのがコチラ。

「上司の面談スキルの不足」47%

そして、2025年に公表されたパーソル総合研究所の調査でも、1on1におけるこんな課題が明らかになっています。

上司の35%、部下の28%が「面談について学ぶ仕組みがない」と回答。
さらに、部下の約30%は「面談の効果が感じられない」と回答しました。

パーソル総合研究所の調査結果(2025年)より

出典:「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」を発表1on1実施率55.7%、しかし3人に1人は効果を実感できず - パーソル総合研究所

さて、この結果に疑問が湧きます。

これって、マネージャー個人の能力の問題なのか?

もちろん、聞き手であるマネージャー自身が1on1について学ぶことは大切。
でも、会社から「1on1をやれ」と言われただけで、
目的も、基本的な考え方も、学ぶ機会もないとしたら。
それで、「あとはよろしく」って!
ちょっとマネージャーに背負わせすぎではないでしょうか。


会社に、最低限やってほしい4つのこと

では、会社側には何ができるでしょう。

私は、この4つが必要だと思っています。

① 全社員に1on1の目的を共有する

まずは「何のために1on1をするのか」という認識を揃えること。

業務の進捗報告や評価とは異なる、
話し手の成長やキャリアを支援するための場。

自社にとっての1on1の目的を明確にし、
話し手にも聞き手にも伝えておく。

ここが曖昧なままでは、人によって1on1の意味が変わってしまいます。

② マネージャーにガイドラインを渡す

「定期的に30分の1on1をしてください」
と言われただけでは、初めてやる人は困ってしまいますね。

何を目的にするのか?
聞き手とはどんな役割なのか?
評価面談とは何が違うのか?
相談されたとき、どう対応すればいいのか?

迷ったときに確認できる最低限の道しるべはあったほうがいいでしょう。

③ スキルを学ぶ機会をつくる

傾聴、質問、フィードバック。
これらは習得可能なスキルです。
知識として学んで、練習して、実際にやって、振り返る。

そうやって少しずつ身につけていけるものだと思っています。

研修やロールプレイ、マネージャー同士で振り返る機会など。

「導入したからあとは現場でやって」ではなく、
1on1の目的を達成するために、学ぶ機会も用意してほしい。

④ 振り返り

そして、「予定通り実施しました」で終わらないこと。

話し手はこの時間をどう感じているか?
マネージャーは困っていないか?
行動や関係性に変化があったか?

定期的に社員の声を拾い、最適化していく。

1on1そのものについてPDCAを回していくことが大事ではないでしょうか。


「任せる」と「丸投げ」は違う

でも、マネージャーの個性やそれぞれのやり方も大事じゃないか?
と思われる方もいるかもしれません。

私も、そう思います。

でも、1on1はナマモノなので、
マニュアル通りに進められるものではありません。

話し手も、人によって話したいことも違うし、
マネージャーによって得意な関わり方も違う。

だからこそ、現場で工夫する余地は残しておいていい。

ただ、
「目的は説明したから、あとは各自でよろしく!」
は違う。

マネージャーの自主性を尊重すること
と、
マネージャーに丸投げすること
は全然違います。

会社が土台をつくる。
マネージャーが現場で実践する。
出てきた声や課題を、会社がまた拾う。
そして、必要に応じて仕組みを変えていく。

そんなふうに、会社とマネージャーが一緒に1on1を育てていくことが大切なのではないでしょうか。


1on1を「制度」から「文化」へ

1on1が定着することによって、日常の中で対話することが当たり前になったらいいなと思います。

仕事のことだけではなく、自分の考えていることや、これからやってみたいことを話せる。

自分の仕事やキャリアについて、立ち止まって考える時間が持てる。

そして、マネージャーもメンバーも、お互いを「仕事をする人」としてだけではなく、ひとりの人として少しずつ理解していく。

そんな対話の積み重ねが、エンゲージメントなどにもつながり、
結果として、組織にも還元されていくのではないかと思います。

だからこそ、せっかく1on1を導入するなら、「ただやるだけの制度」で終わらせず、ちゃんと育ててほしい、と強く願います。


1on1の導入・定着を支援しています

「1on1を導入したけど、マネージャーによって質にばらつきがある」

「ガイドラインはあるが、現場でうまく活用されていない」

「そもそも、1on1をどう設計し、どう定着させればいいかわからない」

そんな企業の方に向けて、1on1や対話を軸にしたマネジメント支援を行っています。まずはお気軽にご相談ください。


あわせて読みたい

今回の記事につながる、1on1シリーズはこちらです。

1on1が有意義に活用され、少しでも働きやすい職場になりますように。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集