家庭用ゲーム回顧録 第11回〜期待して発売日に買った「ドラゴンクエスト」だったが意外にも…。
「ハイドライド・スペシャル」との激闘を終え準備万端、いよいよ待望の「ドラゴンクエスト」発売日の1986年5月27日。仕事の日だったので夕方会社からバスで近くの駅まで送ってもらった後、駅前にあったファミコンショップへ。
「ドラゴンクエストありますか?」と聞くと店主が「もう包んであるねん」とニヤリとしながら包装紙に包まれたカセットを渡された。特に予約したわけでもなかった(まだ予約文化は根付いてなかった)のに余程世間の評判が売れるという風潮だったのだろうか。
しかし、いきなり売り切れてどこにもないほどは売れていなかった。売り切れが問題になるのは2からだと思う。少なくとも自分の近所では普通に買えたし他に買う人も見なかった。
帰宅してプレイ開始。


おおおおお!!
とかは特になく、普通にプレイ。ふむふむ。ほうほう。と静かに楽しむ感じ。
翌日仕事なのである程度のところで終了。面白いけど最大瞬間風速的なものは無かったな…という印象。
そして翌日。
仕事をしていると頭にメロディが。
ドラクエのフィールドの音楽がエンドレスで流れてて止まらない。繰り返し繰り返し流れる音楽。
会社から帰宅するとまたプレイ。そんな日々が続いた。やったことないけど麻薬的な?戦いもパターン化して指も勝手に動く感じ。プレイしながら思っていたのはこれは面白いということでいいのか?という疑問だった。それまでのゲームセンターのゲームなどは面白い、面白くないの境界線が明白だったがドラクエは気が付いたらプレイしている、というそれまでに経験したことのないハマり方をしていたので不思議な体験だった。
会社の同僚に「ドラゴンクエスト面白い?」と聞かれても「多分」としか言えなかった。
そうして遂に竜王と対峙。物語もクライマックス。しかし感情的には平坦なままだった。ラストバトルは明らかにレベルが足りない状態で何度も負けた。そして折れた心。あの「ハイドライド・スペシャル」の地獄を乗り越えた男は何処へ…というくらいの静かな撤退であった。
それは多分、終始7割の感情でプレイしていたからなのかもしれない。とにかくドラクエを起動しない日が続いた。あんなに毎日遊んでいたのに。
そしてある日、思い出したかのようにレベル上げを開始。いくつかレベルを上げてから深夜に竜王を倒すことができたのだが。
しゃああああああああ!
そうラストにしてやっと高揚感に包まれたのであった。
何とも不思議なゲーム体験だったがクリアして初めて「ドラゴンクエスト面白かったよ」と友人にも勧めることが出来た。多分、小説のように読み終えるまで評価出来なかったのでないか、と思う。

