余白ノート|ミミックのあとで町を歩く|壁から牛のお尻が出ていた
『葬送のフリーレン』のミミックについて記事を書いた。
宝箱を見つけると、怪しいと分かっていても確かめたくなるフリーレン。
そして案の定、
ぱくっ。
上半身をミミックに飲み込まれ、外には足だけが残る。
何度見ても、じつに見事な構図である。
もちろん、フリーレンが間抜けなのではない。
あれだけ長く生き、多くの魔法を知っていても、まだ「宝箱の中に何かあるかもしれない」という好奇心を捨てない。
そこまで含めて、彼女なのだと思う。
そんなミミックの記事を書いたあと、町を歩いていた。
すると。
建物の壁から、
牛のお尻が出ていた。
……。
ちょっと待て。
この構図、どこかで見たぞ。
頭から建物の中へ突っ込み、外に残っているのは後ろ半分。
フリーレンの場合はミミックだった。
こちらは焼肉屋である。
しかも牛だ。
なぜ入った。
何を見つけた。
中に宝箱でもあったのか。
そんなことを考えながら見上げていると、単なる店の立体看板だったはずの牛が、だんだん「何かを探しに建物へ潜り込んだ冒険者」に見えてきた。

不思議なものだ。
アニメを見たあとで町を歩くと、現実の風景まで少し違って見えることがある。
何の変哲もない壁。
昔からそこにあった看板。
でも、一度別の物語を知ってしまうと、その景色に別の意味が重なってくる。
フリーレンがミミックに食べられている姿を見たあとでは、
焼肉屋の壁から突き出した牛のお尻まで、
ちょっとしたファンタジーになる。
町というものは、案外こういうところに入口があるのかもしれない。
異世界への入口。
物語への入口。
そして時々、
牛のお尻だけが出ている入口。
今日も町は、油断ならない。
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