美味しさは思ったよりシンプルだった♯1 〜塩蒸しカボチャ〜
料理を始めた頃の私は、
調味料を増やすほど料理は美味しくなると思っていた。
醤油、めんつゆ、みりん、砂糖。
ときにははちみつを加えて、
ごま油やにんにくで香りを足す。
味に味を重ねて複雑にしていくのが
料理だと思っていた。
だから、「塩だけ」なんて
料理とは呼べない気がする。
でも、
よく思い返してみると
実家では塩だけの料理をよく食べていた。
父が作る塩からあげ。
ニラと豚肉の塩炒め。
私にとって塩味は、
案外身近なものだったのかもしれない。
ある日、ふと気になった。
「カボチャを塩だけで蒸したら、どうなるんだろう?」
試しに作ってみると、
想像を超えるおいしさだった。
作り方は驚くほど簡単。
一口大に切ったかぼちゃに塩をふり、
水を加えて蒸すだけ。
ひと口食べて驚き。
甘い!!!!!!!!
でも、それは砂糖のような甘さではなくて
カボチャ自身がもつ優しい甘みだった。
もしかして今まで
かぼちゃの味を知らなかったのかもしれない
とさえ思った。
ただ、
同じカボチャでも、
品種や季節、育った環境によって
甘さも食感も変わるから
毎回まったく同じ味にはならないので
そこが難しい。
でも、
そこが面白い。
わたしがシンプルな料理が好きなのは、
手抜きだからではない。
むしろ逆。
色や形、香りや食感。
素材そのものをよく見るようになる。
何を食べているのかがはっきり見える。
「この食材をどう活かそうか」
この子を最大限に活かしてあげたい!
と、闘志が自然と湧き上がってくる。
シンプルな料理には、
食材との一期一会を楽しみ
どうしたら美味しくなるかを考える楽しみや
体験的エンタメ要素があるんじゃないかと思っている。
だから、素材の味を知る最初の一歩として
ぜひ、カボチャの塩蒸しを試してみてほしい。
【塩蒸しカボチャ】
〈材料〉
・カボチャ 300g
・塩 ひとつまみ
・水 100ml
〈作り方〉

① カボチャは種とワタを取り除き、一口大に切る。

② フライパンに塩少々、カボチャ、水を入れ、残りの塩を全体に散らす。

③ 弱めの中火にかける。ふつふつとしてきたら蓋をし、極弱火で8分ほど蒸す。
時間があれば、火を消して10分フタをしたまま置く。
そのまま食べてもいいし、
潰してサラダにしても美味しい。
保存期間はタッパーに入れて冷蔵庫で2−3日ほど。

シンプル調理の魅力は、
いくらでも楽しみ方を広げられることにある。
特にこの塩蒸しカボチャなら
下味がついているので味が決まりやすく、
思い立ったらすぐアレンジできるのが嬉しい。
チーズ焼きにしても、スープにしてもいい。
粗く潰してチーズと和えたカボチャサラダも美味しい。
その中でも今回は、
ちょっと奇抜な組み合わせだけど案外いけるとウワサの
乗せるだけサラダをご紹介。
【塩蒸しカボチャのっけサラダ】

〈材料〉
・塩蒸しカボチャ 50g
・鯖缶(水煮) 1/2缶
・ルッコラ お好み量
・ヨーグルト(無糖) 50g
・ナッツ お好み量
〈作り方〉
器にそれぞれを盛り付ける。
以上。
鯖の旨味や食材の味で食べるので
味付けなしのシンプルサラダ。
味が足りない!って人は
マヨネーズや塩コショウを加えてどうぞ。

鯖とヨーグルト???
って感じだけどこれがまたいい。
ヨーグルトは味付けはしないで
そのまま乗せるだけでOK。
鯖缶は臭みの少ない
AIKOちゃんの鯖缶がオススメだけど
味噌煮とか、ツナでもお好みのもので。
あえて、
混ぜずにそれぞれを盛るのもポイントで
・彩りがキレイ
・食べる場所によって味が変わる
・最後まで飽きずに楽しめる
・キッチンに立つ時間は数分
・栄養バランス◎
と、嬉しさ満載。
口内調味で食べていくので
また違った楽しさを感じられるサラダ。

美味しさは、足し算の先にあるわけではないのかもしれない。
私はこの塩蒸しカボチャを食べて、そんなことを思った。
次にスーパーで見かけたら、
一度だけでもいいので塩だけで蒸してみてほしい。
できれば国産で、色の濃いものを選んで。
きっと、
知っているつもりだった味にも新しい発見があるはずだ。
「写真:山本りい子」
創作大賞エントリー記事
