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美味しさは思ったよりシンプルだった♯4〜蒸しブロッコリー〜

美味しい料理って、なんだろう。

料理の仕事をしていると、
自然とそんなことを考える機会が増えた。

手間をかけた料理?
珍しい食材を使った一皿?
それとも、繊細で美しい盛り付けだろうか?

私はずっと「美味しい」の正体を探していた。

学校のテストのように、
どこかに一つの「 正解」が
あるものだと思っていたから。

でも、塩蒸しカボチャ、
塩もみキュウリ、塩唐揚げ。
最近、心を動かされた料理を振り返ると
どれも驚くほどシンプルだった。

塩蒸しカボチャは、素材そのものがもつ甘さや
美味しさを教えてくれた。

塩もみキュウリは、
「完成された料理」ではなくても
組み合わせ次第で何通りもの
料理になることを教えてくれた。

塩唐揚げは、味だけではなく
父との思い出まで思い出されてくれた。

もちろん料理には技術も大切だと思う。
でもこれらは、
たくさんの調味料を使っていたり
複雑な工程があったわけではない。



最近ハマっている蒸しブロッコリーもそう。

小房に分けたブロッコリー( 2株分 )を
フライパンに入れて塩ひとつまみ、
水150mlを入れて中火にかける。

湧いたらフタをして3−4分蒸して
水気を切ってザルの上で冷ますだけ。



マヨネーズを添えるだけで十分に美味しい。


一方で、もっと長く加熱した
クタクタのブロッコリーも美味しい。

桜エビとブロッコリーのクタクタ煮


〈 材料 〉
ブロッコリー      8個 (100gほど)
桜エビ(乾燥)       大さじ3
かつお節          大さじ1
水             130ml
みそ            小さじ1

〈 手順 〉
01|ブロッコリーを細かく刻む。

02|フライパンにみそ以外を入れて中火にかけ、フツフツしたらフタをして弱火で10分加熱する。


03|みそを加えてサッと混ぜて出来上がり。



同じブロッコリーなのに火の入れ方が違うだけで、
まるで別の料理になる。

かために蒸せば歯ごたえがいい。
長く蒸せば甘みが引き立つ。


そう考えると
「一番おいしい食べ方」は
きっと一つではない。

その日の気分や体調、一緒に食べる人。

それによって、美味しいと感じる料理は
少しずつ変わっていく。


以前の私は「失敗したくない」という
気持ちが強かった。

レシピどおりに作らなきゃ。

もっと美味しく作らなきゃ。
もっといい方法があるはず。

そんなふうに、
いつも何かを足そうとしていたけど
今は少し違う。

・素材をそのまま味わってみる
・火の入れ方を変えてみる
・極限までシンプルにしてみる

そんなふうにほんの少し
なにかを削ぎ落とすことで
その食材らしさが見えてきた。


美味しさは、
技術だけで決まるものではなく、
ずっとシンプルなところにあるのかもしれない。

完璧なレシピでも、特別な技術でもなく、

「今日はどう食べようか。」

と、食材と向き合う中で
うまれるものなのかもと感じた。


だから私はこれからも、
料理をできるだけシンプルにとらえながら
食材の美味しさや、
暮らしに寄り添う調理の工夫を探していきたい。

足し続けるのではく、
時には削ぎ落とす料理。
その先にある「美味しい」を
これからも書き残していこうと思う。


〈 写真:山本りい子 〉



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