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利益は出ているのに、なぜ現金が減る?中国子会社で本社が見るべきBS3科目

「損益は予算どおりです。それなのに、現が減っています」
中国子会社の月次決算を確認していると、このような状況があります。
利益が出ていることと、現金が増えていることは同じではありません。売上や利益を計上するタイミングと、実際に入金・支払いが行われるタイミングが異なるためです。
前回の記事では、中国子会社の数字が日本本社へ伝わりにくい理由について書きました。
https://note.com/right_swift262/n/n5a46c42bf233
今回は、利益は出ているのに現金が減っている場合に、日本本社が最初に確認したい3つの貸借対照表(BS)科目を紹介します。

損益だけでは見えない「資金の滞留」


損益計算書は、一定期間にどれだけ売上や利益を計上したかを示します。
一方、貸借対照表には、まだ回収できていない売上、販売されていない在庫、納品されていない前払金などが残ります。
例えば、当月に1,000万円の利益が出ていても、
・売掛金が1,200万円増加
・在庫が600万円増加
・前払金が300万円増加
していれば、合計2,100万円の資金がこの3科目に滞留したことになります。
実際の現金増減には買掛金、税金、設備投資、借入金なども影響しますが、「黒字なのに現金が減る」理由を探すとき、この3科目は重要な出発点になります。

1.売掛金(应收账款)


売上を計上しても、代金を回収するまでは現金になりません。
売上の増加に伴って売掛金も増えるのは自然です。しかし、売上の伸び以上に売掛金が増えている場合や、回収期限を過ぎた債権が増えている場合は注意が必要です。
本社が確認したいのは、売掛金の総額だけではありません。
・回収期限を過ぎている金額はいくらか
・30日、60日、90日を超える債権はいくらか
・金額の大きい取引先はどこか
・月末後に実際に入金されているか
・回収遅延の理由と回収予定日は明確か
特に確認したいのが、売掛金の年齢表(账龄表)と月末後の入金実績です。
「来月には入金される予定です」という説明が毎月繰り返されている場合は、予定だけでなく、入金記録などの客観的な資料まで確認する必要があります。

2.棚卸資産(存货)


在庫は、現金を使って仕入れたものの、まだ販売されていない状態です。
売上が横ばいなのに在庫だけが増えている場合、過剰発注、販売不振、需要予測のずれ、品質問題などが隠れている可能性があります。
まず、原材料、仕掛品、製品のどこで在庫が増えているのかを分けて確認します。
・売上高に対して在庫が増えすぎていないか
・在庫回転日数が長期化していないか
・半年や1年以上動いていない在庫はないか
・実地棚卸の数量と帳簿が一致しているか
・販売や使用が難しい在庫に評価減が必要ではないか
在庫は帳簿上では資産ですが、販売または使用できなければ現金には戻りません。
利益が出ていても在庫が積み上がれば、会社の資金繰りは悪化します。

3.前払金(预付款项)


商品や原材料を受け取る前に、仕入先へ代金の一部または全部を支払う取引があります。
前払金は、将来の商品やサービスを受け取る権利です。しかし、現金はすでに会社の外へ出ています。
そのため、長期間残っている前払金には注意が必要です。
・支払先と支払目的は明確か
・契約書や発注書が存在するか
・商品やサービスの受領予定日はいつか
・予定日を過ぎても残っている理由は何か
・納品または返金の実績を確認できるか
前払金が増え続けている場合は、仕入条件の変化だけでなく、納品の遅延や回収困難な資金が含まれていないかも確認する必要があります。

単月の残高ではなく、推移を見る


この3科目は、月末時点の残高だけを見ても十分ではありません。
直近6か月から1年程度の推移を並べ、売上高や現金残高の動きと比較すると、異常な変化が見えやすくなります。
本社から現地法人へ質問する場合も、単に「なぜ増えたのか」と聞くだけでは不十分です。
・どの取引先、商品、仕入先で増えたのか
・増加は一時的なのか、継続的なのか
・いつ現金化、販売、納品されるのか
・説明を裏付ける資料はあるか
・翌月に実際に解消されたか
ここまで継続して確認することで、月次報告が単なる数字の説明ではなく、具体的な管理につながります。

まとめ


損益計算書は、会社がどれだけ利益を出したかを示します。
一方、貸借対照表には、
・回収できていない売上
・販売できていない在庫
・納品されていない前払金
など、まだ解決していない問題が表れます。
中国子会社の月次決算では、利益だけでなく、
「会社の現金は、今どこにあるのか」
という視点で数字を見ることが重要です。
売掛金、在庫、前払金が、いつ、どのように現金へ変わるのか。ここまで確認すると、中国子会社の実態がより見えやすくなります。
次回は、中国子会社の月次決算でよく問題になる「発票が届いていない費用をどう考えるか」について書く予定です。
中国子会社管理、海外取引の会計・税務、駐在実務について、現場目線で発信しています。参考になりましたら、フォローや「スキ」をいただけるとうれしいです。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の会計・税務判断を示すものではありません。

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