売上は伸びているのに、なぜお金が入らない?中国子会社の売掛金で見るべき3つの数字
売上は伸びているのに、なぜお金が入らない?中国子会社の売掛金で見るべき3つの数字
「売上も利益も計画を達成しています」
月次報告ではそう聞いているのに、中国子会社の現預金はなかなか増えない。むしろ本社への資金支援の相談が続いている。
このような場合、最初に確認したい科目の一つが売掛金です。
売上や利益は、必ずしも入金と同じタイミングで計上されるわけではありません。販売した時点で利益が計上されても、代金を回収するまでは現金にならないからです。
そのため、売上が伸びるほど資金繰りが苦しくなることもあります。
重要なのは、売掛金の残高だけを見ることではありません。本社として、少なくとも次の3つの数字を継続して確認する必要があります。
1.売上高と売掛金の増加率
まず確認したいのは、売上高と売掛金がそれぞれどの程度増えているかです。
例えば、前年同期と比べて売上高が10%増えている一方、売掛金が35%増えている場合、単純に「売上が伸びたから売掛金も増えた」とは言い切れません。
背景には、次のような可能性があります。
・販売条件を以前より緩くしている
・支払期日を過ぎた債権が増えている
・特定の取引先に売掛金が集中している
・売上の計上を優先し、回収管理が後回しになっている
売掛金が増えた理由を確認するときは、「売上が増えたから」という説明だけで終わらせず、どの取引先の残高が、なぜ、いくら増えたのかまで確認することが重要です。
2.売掛金の回転期間
次に確認したいのが、売上を計上してから回収するまでの日数です。
管理上の概算であれば、次のように計算できます。
売掛金回転期間(日)
= 売掛金残高 ÷ 1か月の売上高 × 30日
例えば、毎月の売上高が1,000万元、売掛金残高が2,000万元であれば、回転期間は約60日です。
売掛金残高が3,000万元まで増えると、回転期間は約90日になります。売上高が変わっていなければ、約1,000万元の資金が以前より長く売掛金として滞留していることになります。
大切なのは、計算結果が何日かということだけではありません。
・契約上の回収条件と一致しているか
・前月や前年と比べて長期化していないか
・特定の取引先だけ長くなっていないか
という変化を見ることが重要です。
なお、厳密に計算する場合は、売掛金と売上高について増値税を含むかどうかなど、集計基準をそろえる必要があります。ただし月次管理では、同じ計算方法を継続し、変化を早く発見することが優先されます。
3.期日を超過した売掛金の金額と割合
売掛金の回転期間が全体として問題なく見えても、一部の古い債権が残り続けていることがあります。
そのため、売掛金を次のように分けて確認します。
・支払期日前
・期日超過1~30日
・期日超過31~90日
・期日超過91~180日
・期日超過181日以上
特に確認したいのは、90日を超えて滞留している債権の金額と、売掛金全体に占める割合です。
「相手は大手企業だから問題ない」
「長年取引しているので、そのうち入金される」
こうした説明だけでは、十分な回収見込みの確認にはなりません。
本社としては、取引先ごとに次の内容を確認する必要があります。
・契約上の支払期日
・入金が遅れている理由
・相手先と最後に確認した日
・具体的な入金予定日
・予定日を裏付けるメールや資料
・月末後に実際の入金があったか
入金予定日が毎月更新されるだけで、実際の入金がない場合は注意が必要です。
中国子会社で追加確認したいポイント
中国子会社の売掛金を見るときは、残高が減ったという説明だけで安心できない場合があります。
例えば、売掛金を回収したのではなく、銀行承兌手形などを受け取り、売掛金から「应收票据」や「应收款项融资」へ振り替えているケースです。
この場合、売掛金残高は減りますが、まだ現金が入ったわけではありません。
そのため、売掛金が減った場合には、
「現金で回収したのか」
「別の債権科目へ振り替わっただけなのか」
を区別して確認することが重要です。
また、契約、発票の発行、検収、支払期日の起算日が一致していないこともあります。現地から受け取った年齢表だけを見るのではなく、契約上の回収条件と照合する必要があります。
月次報告に最低限載せたい項目
本社向けの月次報告には、少なくとも次の情報を載せると状況が把握しやすくなります。
・売掛金の前月残高と当月残高
・売上高と売掛金の増加率
・売掛金の回転期間
・90日超の債権金額と割合
・滞留額上位の取引先と回収予定日
・月末後の実際の入金状況
・売掛金から手形等へ振り替えた金額
売掛金の総額だけを報告するよりも、回収のスピードと滞留の中身を見せる方が、本社は早く異常に気づけます。
まとめ
売上が伸びているのに現金が増えない場合、売掛金が資金を吸収している可能性があります。
本社が見るべきなのは、売掛金残高だけではありません。
1.売上高と売掛金の増加率
2.売掛金の回転期間
3.期日超過債権の金額と割合
この3つを毎月同じ基準で確認すると、回収条件の悪化や滞留債権の増加を早い段階で把握できます。
売掛金は、帳簿上の資産ではありますが、回収するまでは現金ではありません。
「いくらあるか」だけでなく、「いつ、どのように現金になるのか」まで確認することが、中国子会社の資金管理では重要です。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件への会計・税務上の助言ではありません。
