見出し画像

博士課程2年6月|研究インターン

3ヶ月の研究インターンが終わり、なんとか成果を出して大学に戻れそうです。ホッとしました。大学に戻ったら戻ったでやることがたくさんあるのですが、慣れた環境に戻れることに安堵している部分もあります。

今回はこの3ヶ月を振り返って、インターン生活をまとめてみようと思います。


インターン概要

NIMSインターンシップ制度

今回は、NIMS(読み:ニムス、名称:物質・材料研究機構)のインターンシップ制度を利用して、研究インターンに行ってきました。NIMSは国内で唯一の物質・材料科学の研究に特化した国立研究開発法人です。受入期間は90日以内で、採用されると日当及び宿泊代の支援を受けられます。

6月ごろに研究室を訪問させてもらいました。受け入れ先として希望していた先生と、どんなテーマをやりたいか、こんなことをやってきたかなどの話をしました。インターンに申し込んだのが2025年1月中旬で、3月ごろに採用の連絡がありました。実際にインターンに行っていた期間は2025年4月頭〜7月初旬までの3ヶ月間(最大の90日間)でした。


参加動機

以前からNIMSで研究してみたいなと思っていました。大学入学以前から「未来の科学者たちへ」という動画シリーズで研究紹介を見ていたこと、材料科学を専攻してからは学部の見学会で訪問したり、2024年5月の一般公開にも行きました。純粋にかっこいいなと憧れていました。

また、採用されている卓越大学院のプログラムには、共同研究、長期インターン、海外留学、起業のいずれか1つを実施する修了要件がありました。そのおかげもあって、いつか行くならNIMSのインターンがいいなと思っていました。

所属研究室と近い内容を扱っている研究室に受け入れていただきました。大学で兼担されていたときに、先生の授業を受けたことがきっかけです。バックグラウンドが近いものの、機械学習を用いた材料設計の予想、シミュレーションを用いた原理解明、実験の自動化など、所属研究室では扱っていない技術を持っている研究室で、新しいことにチャレンジしたいと思い志望しました。NIMSは海外からの留学生や研究者も多いと聞いており、自研究室以外の研究環境を知り、異なるバックグラウンドを持つ研究者と協働する経験を積みたいと考えました。


研究所での生活

NIMS千現地区

9:00ごろに出勤されている方が多いようでした。それに合わせて9:30までには研究所に着くようにしていました(後半たまに寝坊して過ぎてしまうこともありましたが…)。そこから実験したり、たまにリモートの授業を受けたりして、早くて18:00ごろ遅くとも20:00までには帰宅していました。

帰宅時の空の様子
自分がいた建物


ラボの雰囲気

研究員や学生だけでなく、エンジニアやリサーチアドバイザーといった職員の方もいらっしゃいました。大学の研究室には研究業務員の方はいなかったので、新鮮でした。薬品や備品の管理、実験室の利用ルールを教えていただいたり、実際に実験を隣でやったり、実験の合間におしゃべりしたり、とてもお世話になりました。地元にお住まいの女性の方が多かったので、近所のご飯屋さん情報を教えていただいたり、プライベートな雑談をしたり、親切に接していただき楽しい時間でした。

実験室の様子はこんなイメージ

研究員や学生は海外から来ている方が多いのが印象的でした。
連携大学院制度で来ていおり、学生室にいた学生は自分以外全員が外国人でした。インド、中国、タイなど国籍も様々で、共通言語は英語です。懇親会は近所のインドカレー屋さんで開いてもらいました。日本に長く住んでいる人も多く、日本あるあるみたいな話を聞いたのが楽しかったです。皆とても親切で、温かく迎えてくれました。


ラボの運営

多国籍だからこその苦労もあるようでした。実験室の利用ルールの度合いや、時間感覚などでやはり多少のトラブルはあるようです。そのため、所属されて最初の2週間程度でトレーニングを受けることになっていました。
一通りの合成実験と測定をメンターと一緒に行います。
実験器具や薬品の置き場所、器具洗浄ルール、ゴミの捨て方、消耗品の補充方法、窒素ラインや真空ポンプ、液体窒素の使い方などを学びました。いわゆるノウハウにあたるような手法(シリンジの使い方や凍結脱気の方法など)については、ドキュメントも整備されていました。
大学では先輩から直接教わるしかなく、知っている先輩がいないとインターネットなどで調べるのが大変、という状況を感じたことがあったので、かなり勉強になりました。

こういう感じ↓

実験を分担していることもあるようで、実験ノートの電子化が一部でされていたり、実験番号の振り方にルールがあったりして新鮮でした。大学では自分が管理するために、サンプルには日付とサンプル名を書いていただけだったのですが、実験番号を書くのはいいなと思いました。「イニシャル - 実験ノートのページ番号 - 1,2,3」で書いておけば、ノートと対応しやすいなと思います。また、薬品管理のやり方も違っていました。大学では薬品名のA,B,C順に並べていたのですが、こちらでは含まれる炭素数でC1, C2, C3といったグループに分けて並べていていいなと思いました。

研究グループの研究ミーティングに何度が出席しましたが、自主性を持ってテーマに取り組んでいるのがわかりましたし、どんなに初歩的なことでもきちんと質問してより良い研究にしていこうという雰囲気がありました。議論が長引いたとしても、研究が良くなるために必要だとフォローしてもらい、とても研究しやすそうな空気を感じました。
学生は月曜に朝礼があり、先週やったことと今週やることを1人ずつ発表します。その場で先生との個別ミーティングの予定を決めたり、トラブルを共有できたりしていて、対面のちょっとしたミーティングは効果的だなと思いました。先生と研究所の廊下ですれ違うと声をかけてくださり、何か困っていることはないか、ちょっとした会話ができていたのも安心感がありました。

直接テーマについて指導していただいていた研究員の方は、午前中は実験室にいて、午後は居室のデスクに戻るルーティンでした。実験室にいらっしゃることで声がかけやすく、この実験が不安なので見てもらえないかといったふうに、ちょっとした不安がすぐに解消できてとても過ごしやすかったです。

虹が見えた日の様子


研究テーマ

機械学習を用いた材料設計の予想、実験の自動化をやってみたいと話していたので、持ち込みではなく、研究室にあったテーマを発展させるような研究をしていました。扱う材料も自分にとっては初めてのものでした。
幸い大きなトラブルにもぶつからなかったので、3ヶ月でなんとか成果を出し、今後のアウトプットの見通しがたてられたのでホッとしました。最終週には研究ミーティングで報告発表(All English)を行い、成果も発表も素晴らしいとコメントをいただけてうれしかったです。今後も引き続き頑張っていきたいと思います。

研究グループの中で一番の後輩のような立場になったので、研究室の運営側の仕事もなく研究テーマに集中できたのはありがたいことで、とても楽しかったです。たくさん実験もでき、期限があることで集中して取り組めた気がします。


研究所の環境

設備も広くいい環境だなと思いました。自分は大学キャンパスの自然豊かなところが好きなのですが、こちらにも植物が多く、大きな木もたくさん植っていて、ちょっと外出したときの自然観察が捗りました。4月はちょうど桜の時期に行ったので、かなりお花見を楽しむことができました。

構内の様子
研究所近くの遊歩道(4月撮影)
構内の花壇(5月ごろ撮影)
構内に生えていたキノコ(6月撮影)


つくばでの生活

滞在場所

つくばデイリーインに泊まっていました。研究室からは徒歩10分くらいの場所にあります。すぐ近くにはコンビニなどのお店はないものの、自転車の貸し出しサービスがあって、15分くらい走るとスーパーや飲食店が集まっているエリアに出られました。

夜の外観
貸し出しの自転車

こんな感じの2階の部屋にいました。椅子が固かったので、自分で座布団を敷きました。WiFiが弱い時期があったのですが、1階の共用スペースに出るとしっかりインターネットにつながったので、一時期はそこにずっといました。コインランドリーもありましたが、洗濯物は部屋で手洗いしていました。

滞在した部屋
夏仕様になったとき

1階の共用スペースには漫画がたくさんあり、借りて部屋でも読むことができました。有名な少年漫画がずらっと揃っており、タイトルはもちろん知っているけれど実は読んだことないものを読んでみることができて楽しかったです。数は少ないですが日常系の漫画もあり、「3月のライオン」シリーズにハマって休日に1〜14巻まで一気読みしました。

3月のライオン1巻


食生活

朝食は6:30~9:00に1階の共用スペースに無料のものが提供されます。自分はパンと牛乳をもらって、あとは自分が買っておいたカップスープやトマトジュースを飲んでいました。寝坊することもあったので、部屋に少し食べ物のストックがあったのはよかったです。

初月の4月は周辺の飲食店を積極的に開拓していました。部屋に湯沸しかなく、キッチンや電子レンジは1階の共用スペースにしかなかったのが少しキツかったです。

開拓記録はこちら↓

5,6月は研究が忙しくなったことと、なんだか疲れてしまったこともあり、スーパーでお惣菜を買ってきて食べていました。それでも近所のラーメン屋さんは気に入って週に一度は食べに行っていました。

近所のスーパーKSUMI
近所のラーメン屋さん
ワンタン麺だいすき

昼食は、研究所から外に出て徒歩10分くらいのところにあるお肉屋さんのお弁当、居酒屋さんのランチ、6月からはその2つに加えて新しくオープンした洋食屋さんの3種類から選んで食べていました。3つのお店が一つの建物に入っていて便利でした。お肉屋さんは月曜定休、居酒屋さんは水曜はランチ定休だったので、いい感じにランダムに食べられていた気がします。

お肉屋さんの塩豚弁当と自分で用意したトマトジュース
お肉屋さんのお弁当メニュー(2025年4月時点)
居酒屋さんのランチメニュー(2025年春のもの)
どれも同じ建物に入っている

たまにホテル近くのパン屋さんでパンを買ってきてお昼に食べたりもしました。クロワッサン系のパンがサクサクで美味しかったです。

パン屋さん


交通手段

つくばでの移動は自転車でした。ホテルで借りることもできましたが、近所に親戚が住んでいたので自転車を借りてそれを使っていました。車社会のために、道の片側の歩道にしか街灯がついていないことも多く、夜は暗かったです。

五月祭やロボコンなどがあり、意外と東京に用事がある週も多く、滞在期間中に週末東京に帰ることも結構ありました。つくばに残ったのと半々くらいだったと思います。東京-つくば間の交通手段は主に、つくばエクスプレス(TX)または高速バス(つくば号)を利用していました。

NIMSからつくば駅まで、1時間に2本くらいのペースでNIMS定期運行バスが出ています。研究所からそのバスで駅まで行って、TXに乗って東京に戻っていました。逆に朝イチで8:30ごろ研究所に着くためにも乗っていました。

つくば号は筑波大学始発で、千現や並木の研究所付近の停留所を経由してつくばを出た後は、東京駅の日本橋口に到着します。研究所周辺の停留所には10分程度遅れて発着していました。1260円で、交通状況によっては1時間ほど大幅に遅れることもありますが、意外とつくば駅から距離のある研究所から乗り降りしやすいのがうれしいポイントです。
下りは東京駅八重洲口のバスターミナルから約30分おきに出発します。こちらはかなり時刻表通りに出発して、時間帯によっては満席で乗れないこともありました。ホテルのすぐ近くに停留所(千現一丁目)があり、日曜日につくばに戻ってくるときに利用していました。

時刻表(上り)
千現一丁目に着いたバス(下り)


休日の過ごし方

滞在中に、地質標本館(産総研)、JAXA 筑波宇宙センター、地図と測量の科学館(国土地理院)、つくばエキスポセンターに行きました。

地質標本館

産総研にいた友人からおすすめされて訪れました。名前が地味な感じですが、内容が他にないもので充実していてとても楽しかったです。鉱物標本やはぎ取り標本などがたくさんあって興奮しました。

地質標本館

特に岩石観察のための薄片作成についての展示が好きでした。お土産にあった剥片コースターも購入しました。

お土産に買ったクリアファイルとコースター


JAXA 筑波宇宙センター

予約不要のガイドツアーに参加できて、展示室を一周できます。本物の衛星が所狭しと展示されていて圧倒されました。機構も間近に観察できて、実物が見れるってやっぱりすごく楽しいなと思いました。受付にいたマスコット「フックン船長」は、つくば市イメージキャラクターだそうです。そういえば研究所近くの緑地帯に設置されている看板にもフックン船長がいました。

JAXAのフォトスポット
フックン船長
研究所の近くの看板にもいた!


地図と測量の科学館

研究所からは少し遠いのですが、小さい頃に行った記憶があり約20年ぶりに訪れました。広々していてゆったり過ごせるだけでなく、充実した地図にまつわる展示が見られます。測定技術について実機を伴った詳細な説明があるのはやっぱり実際に測量をおこなっている国土地理院だからこそだなと思います。

地図と測量の科学館
こんなに詳細な「ここから来ましたマップ」見たことない
重力を測定する装置
有効数字がすごい


つくばエキスポセンター

つくば駅から公園を抜けると着く科学館です。地方の科学館なのかなぁという気持ちで訪れたら、まったく違ってびっくりしました。2010年代の先端研究について、雑誌「ニュートン」のようなわかりやすいビジュアルと文章で紹介されていました。こんな詳しい内容が紹介されている科学館に行ったことがなかったので本当にびっくりしました。すごいです。さすがつくばだなと思いました。

つくばエキスポセンター
カーボンナノチューブの説明エリア
電顕写真があるのとてもよい
AFMとSTMの説明わかりやすい
Spring-8の紹介ボードがこんなに充実していることある!?

おどろいたのが、小さな子供を連れた親子が多かったことです。先端研究紹介のフロア以外に、体験コーナーがぎっしり並んだフロアがあり賑わっていました。上野の科学博物館や竹橋の技術館にも子供向けの体験コーナーがありますが、それらをすべて集めた以上のコーナーがあったのではないかと思います。絶対楽しいだろうな。プラネタリウムも人気のようでした。

この展示がめっちゃ好きでした

EXPO'85のキャラクター「コスモ星丸」が至る所にいたのも印象的でした。めっちゃかわいいし、今どきフルネームのような名前がつけられたキャラクターも珍しい気がします。お土産にマスコットを買いました。

コスモ星丸のロボット
マスコットかわいい


洞峰公園

研究所から近い大きな公園です。真ん中に洞峰沼があり、周りが芝生で整備されていてとてものんびり過ごせます。ちなみに洞峰沼については地質標本館で詳しい地学的な説明がありました。水辺の周りに遊歩道も整備され、自分が行った時期はバラがたくさん咲いていました。公園の近くにはカフェがいくつかあって、一日のんびり過ごせるスポットでした。

洞峰沼
バラが花盛りでした


振り返り

実は初めての一人暮らし(仮)でした。
ずっと誰かと暮らしてきたので、時期によっては家に人がいなくて誰ともしゃべらないのは寂しいなと思うこともありました。そういうときは「うわー寂しいなー」が頭の30%くらいを常に占めていた気がするので、常に絶好調というわけではなかったです。一方で自分についての考え事は捗った時期があり、実験の待ち時間にせっせと日記を書いていました。全体的に見ると月の半分くらいは「うわー寂しいなー」がいる感じで、実験は問題ないのですが、生活のこと全てがどんどん憂鬱になっていって辛かったです。プレッシャーがかかるような時期、締切間近だったり、申請書を書いていたり、少し大事な発表の準備をしているようなときは、誰かと今日あったことを話せるといいなと特に思いました。(誰かにプレッシャーをかけられたわけではなく、自分で無意識に感じていたプレッシャーです)

1人でご飯を食べるときは、アマプラで「きのう何食べた?」を観ていました。シーズン2まで見放題でありがたかったです。すごく救われました。

期間中に2回体調を崩しました。
はじめはインターン開始から2週目くらい。新しい環境で1週間がんばった疲れが出たのか、鼻水がしばらく止まりませんでした。幸い発熱はなかったものの、実験中に鼻をかむのも大変で、白衣のポケットにティッシュを大量に入れておいたり、限界のときはキムワイプで鼻をかんだりしていました。
2回目は最終週から1週前くらいです。
ちょうど気候が急に暑くなったのと、ある日ホテルに戻ったら寝具が夏仕様に変わっていて、エアコンの温度を何度にすれば快適なのかわからず、加えて最終発表が迫っていてそれまでに結果を揃えたいと自分で思って無自覚にプレッシャーがあったのとで、うまく眠れない日が続きました。季節の変わり目についていけずにある朝起きたら全く布団から起き上がれず、検温してみると38℃の熱がありました。一日ずっと寝ていたら翌日には熱が下がったので、なんとか実験サンプルを回収して週末に実家に帰って養生しました。病院で診てもらいましたが、コロナでもインフルエンザでも肺炎でもなく、ただただ喉が痛くて辛かったです。

研究環境ももちろんよく、ご飯もおいしいし、植物もたくさんあるし、最初はびっくりした街並みも慣れて、つくばで将来生活するのもアリかもなとは思うようになりました。ただ噂どおり、一人暮らしには寂しい環境かもなと思っています。外部向けのイベント、お祭りみたいなものがあった方が自分は楽しい気もするので、まだまだ全然いろいろ悩み中です。

いずれにせよ、インターンで研究も進み、将来についての情報も増えて、充実した生活を送れました。さまざまな人にサポートいただき、感謝しています。研究成果について報告できるように今後もがんばります。

いいなと思ったら応援しよう!

りここ 次の記事を書くモチベになります

この記事が参加している募集