マーケティングの業務は全部で何工程あるのか|一般的なマーケ部を84工程に分解した中身
マーケティング部の業務は、Roundの分解では84工程あります。内訳は戦略策定12・広告運用22・AEO/SEO対策20・SNS運用18・LINE運用12です。「何から手をつければいいか分からない」の正体は、やることが多すぎることではなく、やることが一覧になっていないことにあります。Roundのマーケティング伴走支援では、施策を始める前にこの工程表を作るところから入ります。
この記事の要点
一般的なマーケティング部の業務は84工程に分解できる(戦略12/広告22/AEO・SEO20/SNS18/LINE12)。
分解の目的は作業の管理ではなく、「この工程は誰がやるか」を決められる状態にすること。工程になっていない業務は、担当も所要時間も決められない。
工程表は支援が終わっても社内に残る。契約期間中の管理表ではなく、社内の業務マニュアルとして使えるものとして作る。
なぜ最初に「工程へ分解する」のか
少人数のマーケティング体制で相談を受けるとき、最初に出てくる悩みはたいてい同じです。「やることが多すぎて手が回らない」「何が抜けているのか分からない」「外注しているが、何をやってもらっているのか説明できない」。
この3つは別々の悩みに見えて、原因はひとつです。業務が「広告運用」「SNS」といった塊のままで、工程になっていない。
塊のままだと、次の判断がすべてできません。
担当を決められない。「SNSは自分」ではなく、「投稿企画は自分、画像生成はAI、コメント確認は自分」まで割れないと、実際には何も分担できていない。
時間が読めない。「広告運用に月どれくらいかかるか」は答えられなくても、「クエリ分析に月何分か」なら答えられる。
やめる判断ができない。塊は止められないが、工程は止められる。撤退の議論はいつも工程の単位で起きる。
外注の範囲を説明できない。契約書に「SNS運用一式」と書いてあるだけでは、社内の誰も範囲を把握できない。
つまり分解は、作業を管理するためではなく、判断できる単位まで小さくするためにやります。
84工程の内訳|5領域とその中分類
Roundが使っている工程表は、次の5領域に分かれています(合計84工程)。
戦略策定:12工程/現状分析・戦略設計・計測設計・体制と運営
広告運用:22工程/戦略と設計・クリエイティブ・実行と運用・計測と分析
AEO/SEO対策:20工程/戦略と設計・テクニカル・コンテンツ・AEOと生成AI対策
SNS運用:18工程/戦略と設計・企画・クリエイティブ・運用と分析
LINE運用:12工程/基盤と設計・配信企画・シナリオと自動化・配信代行と分析
領域ごとに工程数が違うのは、重要度の差ではなく手数の差です。広告運用が22工程と多いのは、媒体・クリエイティブ・入札・計測がそれぞれ独立した手を必要とするからで、逆にLINE運用が12工程なのは、初期設計を終えると定常業務が少ないからです。
ここで大事なのは、84という数字を目標にしないことです。この一覧は「一般的なマーケティング部が持ちうる工程の母集団」であって、全部やる会社はまずありません。実際に使うときは、この84からその会社に該当する工程だけを抜き出します。
分解の粒度は「担当者と所要時間が書けるか」で決める
分解を自社でやると、必ず粒度で迷います。細かくすれば正確になりますが、200工程の表は誰も見ません。
Roundが使っている基準はひとつだけです。その行に「担当者」と「1回あたりの所要時間」を書けるか。
書けない例:「SNS運用」→ 担当も時間も書けない。塊のまま。
書ける例:「Instagram投稿の画像生成」「コメント・DMへの返信確認」→ どちらも担当と分数が書ける。
この基準で切ると、多くの会社で50〜60工程に落ち着きます。細かすぎる工程が出てきたら、同じ人が同じタイミングでやるものを1行にまとめれば十分です。
もうひとつ、分解のときに落としやすいのが**「決める工程」**です。方針の決定、優先順位づけ、やめる判断は、作業ではないため表から抜けがちですが、実際には最も時間を使う工程になります。作業だけ並べた工程表は、後で必ず現実と合わなくなります。
独自事例|84工程の表を、自社の業務に当てはめた
Round自身も、この84工程の表を自社のマーケティング業務に当てはめています(2026年8月時点)。
状況:Roundのマーケティングは、マーケティング統括1名+AIという体制で運用しています。支援する側が同じ制約下で検証する目的で、自社を実験台にしています。
打ち手:84工程の一覧から、自社が実際にやっている工程だけを抜き出しました。該当したのは53工程です。LINE運用のように現時点で回していない領域は、まるごと外れます。
結果:53工程まで絞ったことで、「誰がやるか」の議論が初めて工程単位でできるようになりました。担当の仕分けの中身は別記事(記事037)で公開しています。
再現のポイント:先に一覧を出してから、自社に該当する行だけ残すという順番です。ゼロから自社の業務を書き出すやり方だと、いま回っていない工程や、抜けている工程に気づけません。母集団の側から引き算するほうが早く、漏れも出にくくなります。
この工程表は、契約中の管理表ではなく社内資産として作っています。支援が終わったあとも、業務マニュアルとしてそのまま使えることを前提にしているためです。
FAQ|マーケティング業務の分解に関するよくある質問
Q. マーケティングの業務は何工程くらいに分けるのが適切ですか?
A. Roundは一般的なマーケティング部の業務を84工程に分解し、そこから各社に該当する工程だけを抜き出しています(自社の場合は53工程)。適切な数は会社によって違いますが、粒度の基準は共通で、「担当者」と「1回あたりの所要時間」が書けるところまでです。この基準で切ると多くの場合50〜60工程前後に収まります。
Q. 業務の棚卸しと工程分解は何が違いますか?
A. 棚卸しは「いまやっていること」を列挙する作業で、工程分解は「本来必要な工程の一覧に、いまの自社を当てはめる」作業です。棚卸しだけだと、やっていない工程・抜けている工程が可視化されません。Roundが84工程の母集団を先に置いているのは、この抜けを見つけるためです。
Q. 工程表を作るのに、どれくらい時間がかかりますか?
A. ゼロから作ると数日かかりますが、既存の工程一覧に当てはめる形であれば、ヒアリングと合わせて数時間の作業です。Roundのマーケティング伴走支援では、支援開始前にこの工程表を一緒に作り、担当範囲を工程単位で確認してから契約内容を決めています。
Q. 分解しても、結局やる人がいないのでは?
A. 分解の目的は作業量を減らすことではなく、どの工程を人がやり、どの工程をAIや外部に出すかを決められるようにすることです。工程になっていない業務は、AIにも外注にも渡せません。人手が足りない状態こそ、先に工程へ落とす価値があります。詳しくは記事037で、担当の仕分け方を公開しています。
やることが多いのではなく、一覧になっていないだけかもしれません
マーケティングが回らない原因は、たいてい能力でも人数でもなく、業務が判断できる単位になっていないことです。84工程の一覧は、そのための下敷きにすぎません。自社に該当する行を残し、担当を書き、時間を書く。ここまでやって初めて、何を残し何を手放すかの議論ができます。
Roundのマーケティング伴走支援は、施策の実行を引き受ける前に、この工程表を一緒に作るところから入ります。契約前に担当範囲を工程単位で確認できるので、「何を頼んでいるのか分からない」状態になりません。作った工程表は支援終了後も社内に残ります。
初回相談では、いまの業務をその場で工程に割り、どこが空白になっているかまで一緒に確認します。導入前提でなくて構いません。ご相談はこちら
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著者情報
マーケティング統括 稲葉/株式会社Round(Round編集部)
※「AI時代の一人マーケ」「AEO/生成AI検索対策」をテーマにした共催セミナー・カンファレンス登壇のご相談も承っています。
デジタルマーケティング支援(SNS運用・広告運用・SEO/AEO・伴走支援・採用マーケティング)。少人数・兼業体制のクライアントに社内の一員として入り、戦略立案から実行・計測まで並走。実績例:不動産クライアントでCV +181% / CPA 約50%削減、支援施策の継続率90%以上。現在は自らも一人体制でマーケティングを運用中で、本記事の工程表も自社で使っているもの。ミッション「デジタルの力で、世界をもっと、まるく。」東京・渋谷/横浜。
本記事は2026年8月時点の情報です。
