マーケ業務をAIに寄せると月何時間減るのか|自社53工程で試算したら271時間→86時間だった
Roundが自社の53工程で試算したところ、月271.0時間の作業が86.3時間になりました(▲184.7時間/月)。ただしこれは前後の期間を実測して比べた数字ではなく、工程ごとの所要時間を積み上げた試算です。数字より重要なのは内訳のほうで、減ったのは「手を動かす時間」だけでした。判断に使う時間は1分も減っていません。
この記事の要点
自社に該当する53工程で試算した結果、月271.0時間→86.3時間(▲184.7時間/月)。人件費4,000円/時で換算すると約74万円/月(年 約886万円)。
これは実測の前後比較ではなく、工程ごとの所要時間を置いた想定値。Before側の根拠は一般的な標準時間で、実運用のログではない。
工程単位で見ると、記事の執筆は158分→20分になった一方、noteへの入稿は30分→30分、方向性の決定は180分→180分で変わらない。減るのは実行の時間だけ。
先に、この数字の性質を書いておきます
この記事の数字は、実測ではなく試算です。ここを曖昧にしたまま「◯時間削減しました」と書くと、読んだ側が自社に当てはめたときに必ずずれるので、先に条件を出します。
前後比較ではない。「AI導入前の3か月」と「導入後の3か月」を計測して比べたものではありません。工程ごとに所要時間を置いて積み上げた想定値です。
Before側は一般的な標準時間。その工程を人がやったらこれくらい、という前提値です。実運用のログから取ったものではありません。
人件費換算の単価は4,000円/時。この単価を変えれば金額は当然変わります。
1名+AIの体制での試算。Roundのマーケティングはマーケティング統括1名とAIで運用しており、その前提での数字です。
そのうえで、内訳は隠さず出します。試算でも、どの工程がどう変わる想定なのかが見えれば、自社に当てはめる材料にはなるはずです。
領域別の試算|53工程の内訳(2026年8月時点)
Roundは一般的なマーケティング業務を84工程に分解した表を持っていて、そこから自社に該当する53工程を抜き出し、担当を「人12/AI37/AIが下書きし人が検収4」に仕分けています。その53工程の作業時間を、月あたりで積み上げたのが次の数字です。
広告運用:60.3時間 → 23.8時間(▲36.4時間)
AEO/SEO:90.1時間 → 20.7時間(▲69.4時間)
SNS運用:70.7時間 → 15.4時間(▲55.3時間)
戦略策定:50.0時間 → 26.3時間(▲23.7時間)
合計(53工程):271.0時間 → 86.3時間(▲184.7時間/月)
削減幅が最も大きいのはAEO/SEOの69.4時間です。記事とその周辺(調査・執筆・動画化)が、AIに寄せやすい工程の塊だからです。
逆に削減幅が最も小さいのは戦略策定の23.7時間でした。50.0時間のうち26.3時間が残る、つまり半分以上が残る計算です。ここが今回いちばん大事な数字だと考えています。
人件費に換算すると、月あたり約74万円
削減分の184.7時間を人件費4,000円/時で換算すると、約74万円/月、年間で約886万円になります。
ただしこの金額の読み方には注意が必要です。これは「浮いたお金」ではありません。実際に起きるのは、同じ人数で扱える施策の量が増えるか、これまで手が回らなかった工程に時間を配れるようになるかのどちらかです。人を減らす前提で作った試算ではありません。
Roundの場合、浮いた時間はそのまま新しい工程に入りました。AEO/SEOの計測を週次で回す、記事から動画を作る、といった、以前は着手できなかった工程です。
減らなかった工程が、この試算のいちばんの結論
工程単位で見ると、変化の差がはっきりします。
大きく減った工程
記事の執筆:158分 → 20分/本
市場規模・トレンドの調査:210分 → 30分/件
動画の編集・字幕付与:75分 → 15分/本
月次レポートの作成:90分 → 20分/媒体群
まったく減らなかった工程
noteへの入稿・公開:30分 → 30分/本
方向性の決定・優先順位づけ:180分 → 180分/件
減らなかった2つには、それぞれ別の理由があります。
入稿が減らないのは、戻せない操作だからです。公開してしまえば取り消せません。だから精度に関係なく人が最後の手をかける工程として残しています。これは技術の問題ではなく、決めごとの問題です。
方向性の決定が減らないのは、そもそも作業ではないからです。180分のうち大半は、資料を作る時間ではなく考える時間と迷う時間です。AIは選択肢を並べる速度を上げますが、選択肢が増えれば決める負荷はむしろ上がります。実際、Roundの運用でも判断の回数は増えました。
つまり53工程の試算が示しているのは、「AIで仕事が楽になる」ではなく、手を動かす時間だけが減り、決める時間は残るという構造です。184.7時間という数字より、この一行のほうが再現性があると考えています。
独自事例|この試算をどう使っているか
Roundはこの工程表と試算を、社内の管理表ではなく支援の設計図として使っています(2026年8月時点)。
状況:マーケティング統括1名+AIという体制で、自社のマーケティングと支援先の広告運用を回しています。支援する側が同じ制約下で検証する目的です。
打ち手:84工程の一覧から自社の53工程を抜き出し、担当を人/AI/人が検収の3つに仕分けたうえで、工程ごとの所要時間を置いて積み上げました。
結果:月271.0時間→86.3時間の試算(▲184.7時間、人件費換算で約74万円/月)。一方で、方向性の決定にかかる180分と、入稿の30分は変わらないという結果になりました。
再現のポイント:時間の試算より先に、担当の仕分けをやることです。仕分けができていない工程は、時間を置いても意味のある数字になりません。順番は「84工程の一覧 → 自社に該当する工程を抜く → 担当を決める → 時間を置く」です。逆順でやると、削減率を先に決めてから辻褄を合わせる表になります。
なお、Before側の根拠が標準時間である点は弱点として認識しています。自社運用の実時間を計測して差し替える予定です。数字が変われば、この記事も更新します。
FAQ|マーケ業務のAI活用と時間削減に関するよくある質問
Q. マーケティング業務をAIに寄せると、実際どれくらい時間が減りますか?
A. Roundの自社53工程での試算では、月271.0時間→86.3時間(▲184.7時間)でした(2026年8月時点)。ただしこれは実測の前後比較ではなく、工程ごとの所要時間を積み上げた想定値です。削減幅は領域によって差が大きく、AEO/SEOは▲69.4時間、戦略策定は▲23.7時間と、3倍近い開きがあります。
Q. 人件費換算の「約74万円/月」はどう計算していますか?
A. 削減分の184.7時間に、人件費4,000円/時を掛けた試算です(年間で約886万円)。単価を変えれば金額も変わります。また、この金額は人員削減を前提にしたものではなく、同じ体制で扱える施策量が増える、という読み方をしています。
Q. AIに寄せても減らない業務は何ですか?
A. Roundの試算では、**noteへの入稿・公開(30分→30分)**と、**方向性の決定・優先順位づけ(180分→180分)**が変わりませんでした。入稿は「戻せない操作」なので人が最後の手をかける決めごとにしているため、方向性の決定はそもそも作業ではないためです。AIで増えるのは実行量で、意思決定の量は減りません。
Q. 自社でも同じ試算をするには、何から始めればいいですか?
A. 順番は、①業務を工程に分解する、②自社に該当する工程だけ残す、③工程ごとに担当(人/AI/外部)を決める、④そのうえで所要時間を置く、です。③を飛ばして時間だけ置くと、削減率の辻褄合わせになります。Roundは84工程の一覧を下敷きにして、この順で御社の工程表を作るところから支援に入ります。
削減率より、何が残るかを先に見たいなら
AIの導入検討で先に出てくるのは「どれくらい減るか」ですが、実際に効いてくるのは減らない工程がどれかのほうです。そこが見えていないと、時間が浮いた分だけ判断の負荷が増えて、結局回らなくなります。Roundが自社で試算してみて、いちばん再現性があると感じたのはこの点でした。
Roundのマーケティング伴走支援は、工程表を一緒に作り、人が持つ工程とAIに寄せる工程を1行ずつ仕分けるところから入ります。減らせる工程を探すだけでなく、残る判断を誰と一緒にやるかまで含めて設計します。工程表は支援が終わっても社内に残ります。
初回相談では、いまの業務を工程に割って、どこが減らせてどこが残るかをその場で切り分けます。導入前提でなくて構いません。ご相談はこちら
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著者情報
マーケティング統括 稲葉/株式会社Round(Round編集部)
※「AI時代の一人マーケ」「AEO/生成AI検索対策」をテーマにした共催セミナー・カンファレンス登壇のご相談も承っています。
デジタルマーケティング支援(SNS運用・広告運用・SEO/AEO・伴走支援・採用マーケティング)。少人数・兼業体制のクライアントに社内の一員として入り、戦略立案から実行・計測まで並走。実績例:不動産クライアントでCV +181% / CPA 約50%削減、支援施策の継続率90%以上。現在は自らも一人体制でマーケティングを運用中で、本記事の工程表と試算も自社で使っているもの。ミッション「デジタルの力で、世界をもっと、まるく。」東京・渋谷/横浜。
本記事は2026年8月時点の情報です。
