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個人事業主が外注とAI内製を分けるときに答える3つの質問

外注に出すかAIに任せるかを、値段で決めると外れます。

値段だけを見ると、AIはいつも安く見えます。ただ、安く済んだぶんの仕事は消えず、自分の手元に戻ってきます。あるクライアントの画像案では、AIへの差し戻しが11通になりました。あとで数えたら、そのうち8通は文言ではなく見え方への注文でした。仕組み化した3社分の月次レポートのほうも、9日間で約16時間が手元に残っています。残っていたのは作業ではなく、確認と判断です。

安く見えたほうを選んでも確認と判断に時間がかかるのは、比べているものが違うからです。今日は、外注に出すかAIに任せるかを、発注の前に3つの質問で分ける方法を書きます。私が実際に画像や資料の依頼で使っている分け方です。

はじめましての方向けに一行だけ。私はエンジニアではない会社員で、そのかたわら一人でデジタルマーケティングの事業を運営しています。AIで実務を仕組み化する中で分かったことを書いています。

迷うのは、能力ではなく基準がないから

私の使い分けでは、外注は完成品を頼む手段で、AIは途中まで作る手を借りる手段です。頼んでいるものが違うので、値段を横に並べるとAIのほうが安く見えます。安く見えたほうを選び続けると、完成品として出せないものが手元に溜まります。

迷っているのは私だけではなさそうです。国内の企業では、中小企業で「方針を明確に定めていない」との回答が多く、約半数を占めると報告されています。生成AIを導入するにあたっての懸念も、日本では「効果的な活用方法がわからない」が最も多いという結果でした(出典:総務省 令和7年版 情報通信白書「企業におけるAI利用の現状」図表Ⅰ-1-2-13・図表Ⅰ-1-2-15・2024年度調査)。

足りないのは能力ではなく、出す前に当てる基準のほうだと私は受け取っています。私が使っているのは、次の3つの質問です。

出てきたものは、そのまま外に出るか

1つ目は、出口の質問です。見分け方は、成果物が誰の目に触れるかです。お客さまや読者の目に最終形として触れるなら人に出します。自分の中で止まる途中のものなら、AIに出します。

私の例です。画像案は、発注書を書くAIと絵を描くAIの2段で作りました。ただし最初から、この工程は正式発注ではないと決めていました。当日のやりとりにもそのまま残っています。

これはラフでこの後にデザイナーに正式発注するので

差し戻し11通のうち8通が見え方への注文だったのは、そこが言葉にしにくい領域だからです。主役をどれにするか。何を連想させるか。押せそうに見えるか。文字の大きさと置き場所。言葉にしにくい判断が最終品質を決める仕事は、人に出したほうが早いというのが私の結論でした。

外に出る一枚は人に、途中の百枚はAIに。

依頼の条件を、文字で書き切れるか

2つ目は、条件の質問です。ここで便利なのが、外注側のルールをそのまま検査表に使うことです。

フリーランスに業務を委託するときの取引条件の明示義務は、令和6年11月1日に施行された法律で定められています。明示する項目には「給付の内容」「報酬の額」「支払期日」などが挙げられています(出典:公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)。

このうち「給付の内容」を、普通の言葉に開くと「何を、どの形で、いくつ」です。ここが今の情報で書き切れないなら、外注に出しても同じだけ揺れます。相手が人でもAIでも、渡していない条件は後出しになるからです。

私の失敗もここでした。文言は先に渡していたのに、どう見えてほしいかは案を見てから返していました。だから往復の中身が「前提の後出し」になり、8通がそこに費やされました。

書き切れないと分かったときは、外注に出す前に自分で一度作ってみます。この一回目の試作こそAIに向く仕事です。

書けない条件は、人に出しても埋まらない。書けるようにするために先にAIを使う。

やり直しが何回で終わるか、見当がつくか

3つ目は、回数の質問です。ここでいう探索とは、正解の形が決まっておらず、作ってみないと判断できない仕事のことです。

回数が読める仕事は、人に出せます。読めない探索を外注に出すと、追加費用と納期で跳ね返ります。私の手元でも、あるバナーは1案目から21案目まで探索が続き、複数枚の画像を順に見せる別の投稿も、3案目から10案目まで作り直しました。この版数を最初から人に発注していたら、費用も期間も見積もれません。

だからといって、探索をAIに投げっぱなしにすると版数は増え続けます。私の場合に版数が止まったのは、参考になる実物を先に1枚渡したときでした。外部のギャラリーを探し回っても収穫はなく、いちばん効いたのは手元にあった実物です。

回数が読めないうちはAIで探索し、読めるようになってから人に出す。

3つの質問を、発注ボタンの手前に置く

3つの質問は、順番に使うと決まりが早くなります。出口が外なら人が最終形を作る。条件が書けないなら、書けるようにするところまでをAIでやる。回数が読めないなら、読めるところまでをAIでやる。

私の場合、この分け方にしてから、ラフ案は月報に貼る用とデザイナーへの指示書に添える用の2系統で出すようになりました。AIの成果物を捨てずに、そのまま発注資料に回す形です。

正直に書きます。時間が減ったかというと、そこまで劇的ではありません。仕組み化したあとも3社分の月次レポートには9日間で約16時間かかっていて、いちばん重い日は1日で5時間でした。変わったのは中身のほうです。作る時間が減り、どちらに出すかを決める時間と、最終判断の時間が残りました。残す先を選べるようになった、という言い方が実感に近いです。

前の記事では、AIに頼む前に何を渡すかを3つに絞る話を書きました。今日の2つ目の質問はその手前にあたり、そもそも人に出すかAIに出すかを決める段階の話です。

今日からできること

次に何かを発注する前に、この文をそのままAIに打ってみてください。

これから依頼する仕事について、3つ答えてください。①出てきたものはそのまま外に出るか、自分の中で止まる途中のものか ②「何を、どの形で、いくつ」を今の情報で書き切れるか。書けない項目を挙げてください ③やり直しが何回で終わるか見当がつくか。つかない場合、回数を読めるようにするために先に渡すべき実物は何か

返ってきた答えのうち、②で挙がった「書けない項目」がそのまま、外注に出す前に自分で決めることの一覧になります。

もうひとつ。直近で外注した仕事を1件だけ、この3つの質問に当ててみてください。出口が途中のものだったなら、次はそこをAIに寄せられます。条件が書けていなかったなら、次の発注ではそこを先に決められます。

まとめ

  • 外注は完成品を買う取引、AIは途中まで作る手を借りる取引。値段を横に並べても分けられない

  • 分けるのは3つの質問。出口は外に出るか、条件を文字で書き切れるか、やり直しの回数が読めるか

  • 書けない条件と読めない回数は、AIで先に埋めてから人に出す

外に出る一枚は人に、途中の百枚はAIに。私が今のところ、いちばん外していない分け方です。

明日は、AIで効率化しても忙しい日に、残った仕事をどう分けるかの話を書きます。


このnoteでは、エンジニアではない私が、一人のマーケ事業をAIで仕組み化する中で分かったことを書いています。任せても手元に残る仕事の型は、こちらの記事で整理しています。

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