AIに任せても減らない仕事の見分け方と、置き場所の決め方
AIに仕事を任せても、時間は思ったほど空きません。
原因は任せ方の下手さより先に、最初から人の側に残る仕事があることです。残る仕事には型があって、私の場合は3つに分かれました。型が分かれば、消そうと頑張るのをやめて、置き場所を決められます。
今日は、AIに任せて消える仕事と残る仕事の見分け方と、残る3つの仕事それぞれの置き場所の決め方を書きます。私が3週間あまり、任せた仕事を毎日書き残してきた中の数字を、具体例として少しだけ使います。
はじめましての方向けに一行だけ。私はエンジニアではない会社員で、そのかたわら一人でデジタルマーケティングの事業を運営しています。AIで実務を仕組み化する中で分かったことを書いています。
消える仕事の条件は、毎回同じ形であること
先に、消える側から書きます。私の場合、消えたのは前提が変わらず、途中に判断が要らない仕事でした。見分け方は、毎回同じ形かどうかです。
数字を集める、並べ替える、決まった場所に貼る。この形の仕事は、任せると本当に消えました。3社分の月次レポートで、この部分は頼めば返ってくるようになりました。URLを100個以上QRコードにして文書に貼る仕事は、1回の会話で作った道具に置き換えて、手で貼った回数はゼロです。毎朝の数字集めに至っては、AIにさえ頼まず、表計算ソフトに付いている自動化の仕組みに渡しています。
期待していたのも、この部分でした。業務用AIを使う理由に「業務効率化や人員不足の解消につながる」を挙げた日本企業は49.7%です(出典:総務省 令和7年版 情報通信白書「企業におけるAI利用の現状」図表Ⅰ-1-2-12・2024年度調査)。私も、この半分の側にいました。
消えた分だけ楽になるかというと、そうはなりません。残る仕事が3つあるからです。
残る仕事の1つ目は、出てきたものの確認
AIが出したものを、そのまま使うことはできません。数字が合っているか、書いてあることが今の実態と合っているか、誰かが見ます。
私の例を一つ。仕組み化したあとの月次レポート3社分に、9日間で約16時間かかっていました。中身を開けると、集める・並べる・貼るは減っていて、残っていたのは確認と判断でした。記事の下書きでも同じで、3週間でAIの下書きに入れた直しは62件。いちばん多かった型は、以前のメモにあった習慣をAIがそのまま現在形で書いてしまうもので、最初の直しは「ここの内容あまりやっていない」でした。
確認が消えないのは、たぶん当たり前のことです。提供元の公式ガイドには、AIの誤りを減らす手法として、主張ごとに根拠の引用を探させ、見つからなければ取り下げさせる方法が載っています。そのうえで、これらの手法で誤りは大きく減るが完全にはなくならない、とも書いてあります(出典:Anthropic 公式ドキュメント「Reduce hallucinations」)。
置き場所の決め方は、量を減らすのではなく、順番を決めることです。私は事実・守秘・表現の順に見て、最初の2つで止まったら表現は見ません。事実の確認は3つだけです。いまやっていないことをやっていると書いていないか。解決していないことを解決したと書いていないか。数字は自分で出したものか。
確認は消えない。消えないものは、順番を決めて人の側に置く。
2つ目は、止まったときの原因探し
AIに任せた仕事は、止まると人が呼ばれます。外注先なら止まった理由は先方が調べますが、AIに任せた仕事は、原因を探すのも自分です。
私の例では、止まった4回のうち、AIの答えが間違っていたことは一度もありませんでした。仕事用のアカウントでしか開けないシートに入れなかった。ブラウザの連携が安定しなかった。取り込み先のフォルダを読む権限がなかった。AIとブラウザをつなぐ拡張機能が動かなかった。壊れていたのは全部、AIが仕事に入るための道と鍵のほうでした。道は接続、鍵はログインと権限です。
置き場所の決め方は2つあります。一つは、止まった日に見る順番を先に決めておくこと。指示、接続、鍵の順に見ると、直す場所の候補がすぐ絞れます。鍵が原因なら、指示をいくら直しても動きません。
もう一つは、止まりうる場所そのものを減らすこと。決まった場所から決まった形で取るだけの数字は、AIに取らせなくても済みます。私は数字を取る工程を自動化の仕組みに渡し、AIは取れた数字を読んで書く側に寄せました。止まりうる場所が減れば、呼ばれる回数も減ります。
止まったときに呼ばれるのは自分。だから、止まりうる場所は先に減らしておく。
3つ目は、先に渡す前提
3つ目は、任せる前の仕事です。AIは、あなたの手元にある実物や基準を知りません。渡していなければ、それらしく埋めて進みます。
私の例では、あるクライアントの画像案でAIに差し戻しを11通打ち、あとで数えたら8通は見え方への注文でした。文言は先に渡していたのに、どう見えてほしいかは案を見てから後出しで返していました。色に至っては、AIが実物を測らずに目視で値を書いていて、私も気づいていませんでした。
これは画像に限りません。資料や文章の依頼でも同じです。体裁の見本、以前の完成品、使ってよい数字の出どころは、渡さなければAIが推測で補うことがあります。置き場所の決め方は、頼む前に渡すものを決めておくことです。私は3つに決めました。決まった文言、見え方の実物を1枚、実物から測った色とサイズです。渡してから頼むと、往復の中身が「前提の後出し」から「案の選択」に変わります。
先に渡す3つの決め方は、前の記事に詳しく書いています。
先に渡す前提は、自分の中にしかない。ここは、任せる前の仕事として残る。
分けると、「まだ足りない」が消えます
正直に書きます。仕組みを作り始めたころの私は、この3つも消えると思っていました。確認は精度が上がれば減る、止まるのは設定が固まれば起きなくなる、前提は一度伝えれば覚える。
分けて分かったのは、3つとも、減らす工夫をしても人の側に残る仕事だということでした。残ると分かれば、置き場所を決められます。確認は順番を決めて残す。止まる場所は先に減らす。前提は任せる前に渡す。合計の時間だけを見ていると減っていないことばかりが目に入りますが、分けてからは、残った時間を「まだ足りない」と思わなくなりました。
今日からできること
AIに何かを任せる前に、この文を先に打ってみてください。
この仕事を任せたとき、私の側に残る作業を先に3つの型で挙げてください。①出てきたものの確認(何を、どの順で見るか)②止まりうる場所(接続・ログイン・権限のどれか)③私が先に渡すべき実物や基準(あなたが持っていないもの)。それぞれ、私が何をすれば減らせるかも一行で添えてください。
返ってきた3つを、任せる前に置いておきます。①は順番だけ決める。②は止まりうる場所を1つ減らす。③は渡してから頼む。
もうひとつ。直近1か月でAIに任せた仕事を、「消えた」「残った」の2つに分けてみてください。消えたものは毎回同じ形だったはずです。残ったものが3つの型のどれに当たるかを見ると、次に何を決めればよいかが分かります。
まとめ
消える仕事の条件は「毎回同じ形」。前提が変わらず判断が要らない仕事は、任せると本当に消える
残る仕事は3つの型。出てきたものの確認、止まったときの原因探し、先に渡す前提
置き場所の決め方はそれぞれ、順番を決める、止まりうる場所を減らす、頼む前に渡す
AIに任せて消えた仕事と残った仕事の違いは、私の場合、毎回同じ形かどうかでした。
明日は、外注に出すかAIで内製するか、どちらにするかを決めた基準の話を書きます。
このnoteでは、エンジニアではない私が、一人のマーケ事業をAIで仕組み化する中で分かったことを書いています。確認と判断に16時間が残った内訳は、こちらの記事で開けています。

