クライアントの月次レポート、毎月何時間かけて作っていますか?
数字を集めて、貼り付けて、コメントを書いて、体裁を整えて。
クライアントに毎月出す、月次レポートの話です。 月末から月初にかけて、この作業で1日が溶ける。
マーケティングやSNS運用をクライアントワークでやっている方なら、多かれ少なかれ心当たりがあると思います。
はじめましての方もいると思うので、先に自己紹介をしておきます。
私は薬剤師の免許を持つ会社員で、そのかたわら一人でデジタルマーケティングの事業を運営しています。複数のクライアントと契約していて、毎月それぞれに月次レポートと数値分析を出しています。
つまり冒頭の作業が、毎月クライアントの数だけ発生する働き方です。
以前は私も、この作業に毎月同じ時間を溶かしていました。
いまは、レポートの数字まわりを「URLを渡して一言」で終わらせています。
といっても、高いツールを入れたわけでも、プログラミングをゼロから覚えたわけでもありません。やったのは、毎月同じ作業の進め方を、AIに渡せる「手順書」に書き出したこと。それだけです。
今日はその実録です。
時間を食っていたのは、数字ではなく「コメント」でした
毎月のレポートづくりで最後まで残るのは、数字の集計ではありませんでした。
数字の横に添える、分析のコメントです。 「今月はこうだった。要因はこれ。来月はこうする」を、クライアントごとに書いていく。ここに毎回いちばん時間がかかっていました。
あるとき気づいたのですが、私はこれを毎月ほとんど同じ型で書いています。
どの指標をどの順番で見るか。前月と何を比べるか。率と件数が逆方向に動いたときは、どう解釈するか。
だったら、その型を全部書き出してAIに渡せばいい。そう考えて、コメントの書き方をまるごと手順書にしました。ファネルのどこから見るか、数値がいくつを下回ったら要注意か、というレベルまで書いてあります。
参考に、私の月報手順書の骨格を、クライアント情報を伏せてそのまま置いておきます。
■ 見る順番:流入 → 表示率 → クリック率 → 登録率 → 成約率 → 件数(ファネルの上から下へ)
■ 比較:すべて前月比。率は%ポイントの差、件数は増減率で評価を分ける
■ 要注意ライン:指標ごとに過去データから「標準帯」を決めておき、外れたら課題として名指しする
■ 解釈:率と件数が逆に動いたら、どちら起因かを必ず説明する(例:流入が増えて率が薄まった)
■ 施策:数値の変動が施策起因かどうかと、来月の一手を最後に必ず書く
■ 文体:断定調で、「大幅に」ではなく数字で言う
この骨格が決まっているだけで、分析文は半分機械的に書けます。だからAIに渡せるんです。
いまは数字を渡すと、レポートにそのまま貼れる粒度の分析文が返ってきます。
私の仕事は「書く」から「確認して、直す」に変わりました。ゼロから書くのと、たたき台を直すのとでは、かかる時間がまるで違います。
「覚えられない運用」を経て、「URLを渡すだけ」へ
数字を渡す側も、段階的に楽になっていきました。
最初の壁は転記でした。複数クライアントの最新の数字を、毎月ひとつの管理シートに集める作業。各シートを開いて、最新の数字を探して、コピペする。地味に時間を食い、地味にミスが出ます。
そこでまず、転記専用のミニ手順書を作りました。AIに合言葉をひとつ打てば、どのシートのどの行から数字を取ってどう並べるかは手順書側が知っていて、貼り付け用に整った数行が返ってくる。一手間だけかける運用です。
ただ、白状すると、これはほとんど使いませんでした。
理由は単純で、呼び出すための合言葉を、作った本人の私が覚えられなかったからです。一手間で済む仕組みでも、その一手間を思い出せなければ、結局手でやってしまう。仕組みの生き死にを分けるのは「作れるか」ではなく「覚えていられるか」なのだと、この失敗で学びました。
だからいまは、覚えることをなくしました。月報の手順書側に「どの数字を見て、何と比べるか」まで書き込んであるので、私がやるのはスプレッドシートのURLを渡して「月報つくって」と頼むことだけです。AIがシートを直接読みに行き、数字の取得から分析文の下書きまでを一息にやってくれます。URLを渡せないときは、数字をコピペで貼れば同じように動きます。
一部の定型処理は、決まった曜日に自動で走るところまで進めました。

一発でここまで来たわけではありません。エラーが出るたびに手順書を直し、「ここ、まだ面倒だな」と感じるたびに「こうしたい」とAIに壁打ちして、一つずつ潰していった結果です。
種明かしをすると、地道です
手順書を書き出すのには、時間がかかります。「自分は毎月、何を見て、何と比べて、何を書いているのか」を全部言葉にする作業だからです。作りながら「手でやったほうが早いのでは」と何度も思いました。
一気に全部を仕組み化したわけでもありません。
あるとき自分の毎月の作業を棚卸しして、効率化できそうな候補を書き出しました。その約3ヶ月後にあらためて確認したら、月次レポートや週次の数値予測など、主要な候補が「実装済み」に変わっていました。
一つずつ、毎月の実作業で使いながら直していった結果です。
先に時間がかかって、後から返ってくる。振り返って言えるのは、3ヶ月あれば1周は回る、ということです。
正直な数字も置いておきます。
今月、月次レポートと施策検討にかかった時間を実測したら、月初の9日間で合計「約16時間(955分)」でした。複数社分が重なった日は、1日で5時間。ゼロには、なっていません。
ただ、この16時間の中身が変わりました。数字を集めて貼る作業ではなく、AIのたたき台を確認して直す時間と、次の施策を考える時間です。同じ月報の16時間でも、座っている場所が「作業」から「判断」に移った。これが、仕組み化の正直な現在地です。
浮いた時間は、「考える仕事」に寄せています
手順書は、作った月がいちばん高くつきます。そして翌月から、使うたびに時間を返してきます。毎月発生する作業だから、回収は事業を続ける限り積み上がります。
外注と比べても、筋がいいと思っています。レポート作成を外注すれば毎月費用が出ていき、自分の型を先方に伝えて品質を管理する手間も残ります。手順書なら、自分の型を一度書き切る初期投資だけで、あとは月々のAI利用料で回り続ける。しかも型は自分の手元に残ります。
では、浮いた時間で何をしているか。
私はいま、施策を考える側に時間を寄せています。ファネルのどこに打ち手を入れるべきかは、整理用のマトリクスを組んで、AIとベースを洗い出すところまで仕組みに任せる。そのうえで「どの施策でいくか」「クリエイティブをどう具体化するか」という最後の判断に、自分の頭と時間を使う。
数字をまとめる時間より、そちらのほうが確実に単価の高い仕事のはずです。
「で、手順書には具体的に何を書けばいいの?」という方へ。昨日の記事で、6つの要素に分けてコピペできる型を置いてあります。あわせてどうぞ。
まとめ
毎月のクライアントレポートは、進め方を書き出せばAIに渡せる
分析文は「確認して直す」だけに。数字はURLを渡せばAIが直接読みに行く
最初の月は遅い。でも3ヶ月で1周回って、浮いた時間を「施策を考える側」に移せる
このnoteでは、薬剤師×マーケターの私が、AIで実務を仕組み化していく過程を毎日実録で書いています。
この連載がどこから始まったのかは、初回の自己紹介をどうぞ。
近いうちに、AIの出力を安心して仕事に使うための検証チェックリストを出す準備をしています。「AIの答えをどこまで信じていいのか」が気になる方は、フォローしてお待ちください。
明日は、AIに「任せる仕事」と「任せない仕事」を私がどこで線引きしているか、105ドルの失敗談込みで書きます。
