AIで作った仕組みを棚卸ししたら、直さず使えていたのは1つだけでした
AIに仕事の手順書(いつも頼む作業のやり方をまとめた指示文)を書かせて、作業を仕組み化する。この連載でずっと書いてきた話です。
はじめましての方向けに一行だけ。
私は薬剤師の免許を持つ会社員で、そのかたわら一人でデジタルマーケティングの事業を運営しています。AIで実務を仕組み化していく過程を、毎日実録で書いています。
仕組みを「作る」ところまでは、AIに頼めば思ったより早く形になります。私もこの1年ほどで、仕事用から生活用まで、いくつも作ってきました。
問題は、そのあとでした。
あるとき、増えてきた手順書をまとめてAIに点検させたことがあります。「直さずにこのまま使える」という評価がついたのは、1つだけでした。
しかもそれは、仕事のために作った仕組みではありませんでした。
生き残っていたのは、毎月の家計処理でした
点検で唯一「修正不要」と評価されたのは、毎月のカード明細を処理する、家計の手順書です。
明細を読み取って、店名から費目を仕分けて、家計簿に追記して、最後に検算する。もともとは仕事用に作った「読み取って、仕分けて、追記して、検算する」という型を、そのまま家計に流用したものでした。
AIの評価コメントには、こうありました。
既知の癖まで含めて実運用の学習が反映されており、このままで良い
「既知の癖」というのは、うちの明細に毎月出てくる例外的な処理のことです。最初から手順書に書いてあったものは一つもありません。毎月使うたびにズレを見つけて、一つずつ書き足していきました。
正直、少し複雑な気分でした。仕事のために気合いを入れて作った仕組みたちより、家計処理がいちばん完成度が高い。
でも、理由を考えると納得でした。この手順書だけは、毎月かならず本物のデータで動かして、ズレるたびに直していたからです。
一言で呼び出す仕組みを作って、その一言を忘れました
反対の失敗もあります。
毎月のレポート業務のために、数字の転記が合言葉ひとつで終わるミニ手順書を作ったことがあります。作った日は「これで毎月の転記は一瞬だ」と満足していました。
結果は、ほぼ使いませんでした。
理由が情けないんですが、その合言葉を、作った本人の私が覚えられなかったんです。月に1回しか使わないものの、凝った呼び出し方なんて覚えていられませんでした。
呼び出せない仕組みは、ないのと同じでした。この失敗は月次レポートの記事でくわしく書いてあるので、気になる方はぜひ。
育った仕組みには、壁打ちの跡がありました
一方で、死なずに育った仕事の仕組みもあります。クライアントの月報づくりです。
いまは「◯◯の月報書いて」と一言頼むと、データを読み取って分析文まで返ってくるところまで来ました。一部の定型処理は、決まった曜日に自動で走るようにもなっています。
ただ、これは一発でできあがったものではありません。最初はエラーが出るたびに直し、動くようになってからも「まだここが面倒」とAIに壁打ちして、引っかかりを一つずつ潰していった結果です。
家計の手順書と、月報の仕組み。生き残った2つに共通していたのは、作りの良さではありませんでした。実際の仕事や生活の流れの中に置かれていて、使うたびに直されていたこと。それだけでした。
作りが良かったから残ったのではなく、直され続けたから残った。私の中では、順番が逆だったんです。
作った仕組みに聞く、3つの質問
この経験から、自分の仕組みを見るときの質問が3つに固まりました。そのまま使える形で置いておきます。
この1ヶ月で、実際に何回使った? 0回なら、その仕組みは止まっています。作ったときの満足感だけが残っている状態です。
最後に手を入れたのは、いつ? 本物のデータで使っていれば、必ずどこかがズレて、直したくなります。直した記憶がないのは、使えているサインではなく、使っていないサインでした。
呼び出し方を、何も見ずに言える? 私はこれで1つ仕組みを失いました。いまは凝った合言葉をやめて、「◯◯の月報書いて」のような、頼み方そのままの言葉にしています。
3つとも答えに詰まった仕組みは、直して使い直すか、思い切って畳みます。畳むのも、点検した人にしかできない前進だと思っています。
まとめ
手順書の点検で「直さずこのまま使える」と言えたのは、毎月本物のデータで回していた家計の仕組み1つだけでした
生き残る条件は「使うたびに直され続けていること」。作りの良さは二の次でした
月に1回、仕組みに3つの質問を。使った回数、最後に直した日、呼び出し方
明日は、この点検でいちばん大きく「止まって」いたものの話です。4月に作った10人ぶんのAI分業チームが、9日間だけ完璧に回って止まった話を書く予定です。
このnoteでは、薬剤師×マーケターの私が、AIで実務を仕組み化していく過程を毎日実録で書いています。そもそも私が自分のAIの使い方をAIに点検させるようになったいきさつは、この記事に書いてあるので、気になった方は読んでもらえたら嬉しいです。
9月3日に、このnoteを毎日回している仕組みの中身を、そのまま使える形で出す準備をしています。記事の下書きを作る手順書から、スキ数を毎朝自動で記録する仕組みまでです。気になる方はフォローしてお待ちください。
同じところで止まっている仕組みがある方は、この記事のいちばん下に「クリエイターへのお問い合わせ」があります。公開されない形で届くので、そこから書いてもらえれば読ませていただきます。
