見出し画像

節約でFIREした私が、500万円の車を買った理由──お金と時間、どちらも有限だと気づいた話

私は、車は「高価な嗜好品」だと書いてきました。都市部に住む人にとって車は必需品ではなく、持たないほうが合理的だと。その考えは、今も変わっていません。

その私が、先日、ランドクルーザー250を買いました。本体価格500万円超。もちろん現金一括で。

「車不要と言っていた人間が、何を言っているんだ」と思われるかもしれません。矛盾しているように見えるでしょう。でも、私の中では、これは一本の筋が通った選択でした。

この記事は、商品の宣伝でも、FIRE達成の自慢でもありません。節約で資産を築いてきた人間が、なぜ"浪費"を選んだのか。その意思決定のすべてを、正直に書きます。お金の使い方について、何か一つでも持ち帰ってもらえたら嬉しいです。


まず認めます。これは「浪費」です

最初に、はっきりさせておきます。

私は今回の購入を、合理的な投資だとは思っていません。むしろ、浪費だと割り切っています。

私は都市部に住んでいて、車は日常の必需品ではありません。しかもランクルは車体が大きく、道の狭い街中や立体駐車場では、正直に言って使いにくい。実用性で言えば、決して賢い選択ではないのです。この点は、最初から分かっていました。

だから私は、これを「必要だから買う」とは考えませんでした。”「必要ないけれど、それでも買う」”という、嗜好品としての購入です。ここを自分に対してごまかさないことが、私にとっては大事でした。「これは実用的だから」と言い訳を作った瞬間、お金の判断は狂い始めるからです。

浪費は、浪費だと認めたうえでする。そのかわり、「浪費してもいい状態」を、時間をかけて作ってきた。それが私の考え方です。


「貯めるフェーズ」を終えた、という前提

では、なぜ今なら浪費してもいいと判断できたのか。

答えはシンプルで、資産形成の土台が、すでに完成していたからです。

私はこれまで、徹底した節約とインデックス投資で、資産を築いてきました。固定費を絞り、無駄な保険を削り、車も持たず、入金力を最大化する。その「貯めるフェーズ」を、やり切った。

だからこそ、今回の500万円は、私の家計を揺るがしません。この支出をしても、老後の計画も、子どもの教育資金も、何一つ崩れない。土台が固まっているから、その上で"遊ぶ"余裕が生まれた。

順番が逆だったら、絶対にやりませんでした。土台がないうちに嗜好品に500万円を使うのは、ただの破滅です。先に貯めて、後で使う。 この順番を守れるかどうかが、すべてでした。

そして、それが本当に大丈夫かを、私は感覚では判断しませんでした。


決め手①:ライフプランシートで「問題ない」と確認した

私は購入を決める前に、自作のライフプランシートを開き直しました。

これは、今後数十年の収入・支出・資産の推移を、インフレや年金、教育費まで織り込んでシミュレーションしたものです。ここに500万円の支出を入れて、家計が破綻しないか、老後資金が不足しないかを確認しました。

結果は、問題なし。この確認ができて初めて、私は購入に踏み切りました。

「なんとなく大丈夫そう」では、大きな買い物はしない。
数字で「大丈夫だ」と確認する。嗜好品の購入であっても、いや、嗜好品だからこそ、ここは徹底しました。感情で500万円を動かすのではなく、感情で欲しいものを、理性で「買っていい」と裏付ける。この二段構えが、私のやり方です。


決め手②:リセールバリューという「出口」

もう一つ、私が慎重に検討したのが、”リセールバリュー(再販価値)”です。

高額な買い物は、必ず「出口」まで考える必要があります。これは投資と同じです。買うときのことだけでなく、手放すときにいくらで売れるかまで見る。

例えば、200万円で買って100万円で売れる車と、500万円で買って400万円で売れる車。実質的な負担は、どちらも同じ100万円です。値札の大きさではなく、「買値と売値の差」でコストを見る。これが、出口から考えるということです。

ランドクルーザーは、中古市場でのリセールバリューが非常に高い車種です。だから私は、仮に3年後に売却したとしても、負担を小さく抑えられると見込んで購入しました。

そしてこれは、金額の話だけではありません。リセールが高いということは、「売る」という選択肢を、いつでも自分の手元に持てるということです。乗り続けてもいい。飽きたら、あるいは事情が変われば、売ってもいい。選択肢が自分にある状態を作ることを、私はお金の面でも人生の面でも、とても大事にしています。


決め手③:借金は、選択肢になかった

念のため書いておくと、現金一括です。ローンは、最初から検討すらしていません。

理由は明快です。浪費のために借金をするのは、論外だからです。車は、収入を生む資産ではありません。むしろ持っているだけでコストがかかる。そんなものを、金利まで払って借金で買う意味が、私には見出せない。

投資のための借金(レバレッジ)にも慎重であるべきですが、嗜好品のための借金は、それ以前の問題です。買えるお金がある範囲で、買う。 それだけのことです。


そして、本当の決め手──息子の一言

ここまで、数字の話をしてきました。リセール、ライフプラン、現金一括。私が理性で組み立てた、購入の合理的な根拠です。

でも、正直に告白します。これらの数字は、後付けだったかもしれません。

本当の決め手は、まったく別のところにありました。息子が、「あの車、かっこいい」と言ったことです。

うちの子は、小さい頃から車が好きで、ずっとミニカーで遊んでいました。その子が、大きくなって、ある車を見て「かっこいい」と言った。それが、ランドクルーザーでした。

もし息子がそう言わなかったら、私はこの車を買っていません。断言できます。数字がいくら揃っていても、それだけなら「まあ、いらないか」で終わっていた。息子の一言が、私の背中を押した。それが真実です。


なぜ「今」だったのか──取り返せない時間に気づいた

そして、もう一つ。「なぜ今なのか」という問いに、私なりの答えがあります。

うちの長男は、今年、中学生になりました。

ある日、ふと気づいたのです。子どもが親と一緒にどこかへ出かけてくれるのは、もう、そう長くないのだと。 あと数年もすれば、友達との時間が優先になり、親との外出を喜んでくれる時期は終わる。今年が、その最後の時間かもしれない。

その車で、まだ一緒に来てくれるうちに、子どもとどこかへ行きたい。そう思ったとき、私は「今、買わなければ意味がない」と悟りました。むしろ、買うのが数年遅かったとすら思っています。

もし私が「もう少し資産が増えてから」「もっと完璧なタイミングで」と先延ばしにしていたら、その"最後の時間"は、二度と戻ってきませんでした。お金は、努力すれば取り戻せます。でも、子どもと過ごせる時間は、どれだけお金を積んでも買い戻せない。


お金も時間も、どちらも有限だ

ここに、私がこの記事で一番伝えたいことがあります。

私はずっと、「お金は有限だから、大切に使え」と言ってきました。節約し、無駄を削り、資産を築く。それは正しい。今も、その考えは変わりません。

でも、この一件で、私は改めて突きつけられました。有限なのは、お金だけではない。時間も、同じように有限なのだと。

お金を貯めることばかりに意識が向くと、私たちは「使うべき時」を見失います。「もっと貯めてから」「まだ早い」と先延ばしにしているうちに、使うべきだった時間は、静かに過ぎ去っていく。子どもの成長も、家族と過ごせる時間も、待ってはくれません。

お金は、貯めるフェーズと、使うフェーズのバランスでできている。 貯めるだけでは、取り返せないものがある。私が節約とFIREを通じて土台を作ってきたのは、まさにこういう時に、迷わずお金を使うためだったのだと、今回はっきりと分かりました。


最後に

節約でFIREした人間が、500万円の車を買った。矛盾に見えるこの選択は、私の中では完全に一貫していました。

  • 先に「貯めるフェーズ」をやり切ったから、使う余裕ができた

  • ライフプランシートで、家計に問題ないと数字で確認した

  • リセールを検討し、「出口」と「選択肢」を確保した

  • 借金はせず、買える範囲で買った

  • そして、取り返せない時間に、間に合わせた

もしあなたが今、必死に資産を築いている最中なら、その努力は必ず報われます。でも、どうか一つだけ覚えておいてください。貯めることは、使うための準備です。 いつか来る「使うべき時」を、お金を理由に見逃さないでください。

その時のために、今、土台を作る。それが、私がFIREを目指した、本当の理由なのだと思います。


あわせて読みたい

▼この記事で「別の話」と書いた、その元の記事です

▼FIREを達成しても、私が働き続ける理由

▼「使うフェーズ」に入るための、土台の作り方


この記事が役に立ったら

元メガバンカーの視点で、「貯める」と「使う」のバランスについて発信しています。数字の話も、こういう話も書いていきます。フォローしていただけると嬉しいです。

そして、私がどうやって「使うフェーズ」に入れるだけの土台を築いたのか。その具体的な道のりは、こちらにまとめています。(2,480円)

#FIRE #サイドFIRE #資産形成 #お金の使い方 #ランドクルーザー #家族 #子育て #人生論 #節約

いいなと思ったら応援しよう!