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仕事ができる人の秘密 ー 仕事ができる人は、周りの仕事を増やさない

仕事ができるようになりたい人向けの本は、世の中にたくさんあります。ロジカルシンキング、言語化、マーケット感覚、プレゼンテーション。最近ならAI活用術も人気です。

でも、いろいろな人と仕事をしていると、その前にもっと気になることがあります。

納期を守る。聞かれたことに答える。問い合わせを放置しない。決められたフォーマットを守る。まずいことが起きたら早めに知らせる。

身も蓋もありませんが、当たり前のことを、当たり前にやる。

なぜこれがそんなに大事なのか。

仕事では、「すごいアイデアを出せる人」以上に、「この人に頼んでおけば、ちゃんと返ってくる人」が必要だからです。

そして、こういう人は自分の仕事を終わらせるだけではありません。周りの仕事を増やしたりしません。

当たり前にやるべき当たり前のこと

1.約束したことを、約束した期限までに返す
2.聞かれたことに、ちゃんと答える
3.「すぐ答える」より、「止めない」
4.マニュアル、フォーマット、基本手順を勝手に省略しない
5.悪いニュースほど、早く知らせる

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1.約束したことを、約束した期限までに返す

たとえば上司から「この資料、金曜日までにお願いします」と頼まれたとします。

本人にとっては「資料を作る」というひとつの仕事です。でも金曜日になっても何も出てこないと、頼んだ側には別の仕事が発生します。
「あの資料、どうなってる?」と確認する。返事がなければ催促する。遅れているなら、その後の予定も組み直す。

本人はひとつ納期を落としただけなのに、周囲には「確認」「催促」「調整」という仕事が増えていく。なかなかの生産性破壊です。

反対に、仕事ができる人は普通に金曜日までに返してくる。間に合わなさそうなら、その前に「このままだと金曜日は厳しそうです」と知らせます。
だから頼んだ側は、その仕事をいったん頭から消せる。

仕事上の信頼とは、人格者であるとか、人当たりがいいとかいう話だけではありません。

この人に渡した仕事は、見張っていなくても進む。

2.聞かれたことに、ちゃんと答える

これも笑ってしまうくらい基本的ですが、意外とできません。
「A案とB案なら、どちらがいいですか?」と聞いたのに、「今回の企画の背景から説明すると……」と長い話が始まり、最後まで読んでもAなのかBなのかわからない。

「金曜日までにできますか?」に対して、「今週はいろいろ予定が立て込んでいまして……」と返ってくる。

いや、聞いているのは人生相談ではありません。
こうなると質問した側は、「で、できますか?」ともう一度聞くことになります。

仕事ができる人は、まず答えます。

「Aです。理由はこうです」
「金曜日は難しいです。月曜日ならできます」

それで十分です。

ロジカルシンキングのフレームワークを覚える前に、質問されたら質問に答える。これだけでも、職場のコミュニケーションはかなり改善します。

3.「すぐ答える」より、「止めない」

「仕事ができる人はレスが速い」とよく言われます。

たしかに速いほうがいい。でも24時間Slackに張りついて0.3秒で反応する必要はありません。そこまでいくと、仕事ができるというより通知に飼われています。

大事なのは、相手の仕事を止めたまま放置しないことです。
すぐ答えられないなら、「確認して今日中に返します」「担当者に確認して、明日の午前中までに回答します」と返せばいい。相手はそれで次の予定を立てられます。

困るのは、読んだのか、調べているのか、忘れているのか、今日返ってくるのか来週なのか、何もわからない状態です。

仕事は誰かの仕事とつながっています。自分がボールを持ったまま黙っていると、その後ろも止まります。

即レス選手権で優勝する必要はありません。ボールを持ったまま行方不明にならない。それで十分です。

4.マニュアル、フォーマット、基本手順を勝手に省略しない

仕事に少し慣れてくると、「この手順、いらなくない?」と思うことがあります。

本当にいらない手順もあります。会社には「なぜやっているのか誰も知らないけど、前任者もやっていたから」という立派な伝統文化があります。
だからマニュアルを絶対視する必要はありません。

でも、意味を理解する前から勝手に省略するのは別の話です。

指定フォーマットを自己流に変える。確認工程を飛ばす。「こっちのほうが効率的だと思ったので」と手順を変える。

本人には改善に見えていても、後工程ではその項目が必要だったり、比較のために形式が統一されていたりする。その結果、誰かが直します。
また他人の仕事が増えました。

もっといい方法があるなら提案すればいい。「この工程、省略しても問題なさそうですが、次回から変えませんか?」と相談すれば済みます。

問題は改善することではなく、合意されているやり方を勝手に書き換えることです。

5.悪いニュースほど、早く知らせる

納期に間に合わない。顧客が怒っている。数字がおかしい。システムに問題がある。

仕事をしていれば、こういうことは普通に起こります。

問題が起きたとき、人はつい「もう少し自分でなんとかしてから報告しよう」と考えます。できれば自分できれいに片づけて、「実はこんな問題があったんですが、もう解決しました」と格好よく報告したい。

でも、その間に問題が育つことがあります。

月曜日に「金曜日の納期は厳しそうです」とわかれば、担当を増やす、範囲を減らす、納期を交渉するなど、まだ手があります。

金曜日の17時に「実は間に合いません」と言われても、できることはかなり限られます。

仕事ができる人は、問題を起こさない人ではありません。そんな人がいたらぜひ紹介してほしい。

違いは、問題がまだ小さいうちに外へ出せるかどうかです。

悪いニュースほど早く知らせる。これだけで、周囲が打てる手はずいぶん増えます。

高度なスキルは、この土台を代替できない

ロジカルシンキングがすごくても、締切を守らない。AIを使いこなせても、質問に答えない。プレゼンがうまくても、頼んだ資料が返ってこない。戦略を語れても、問題を最後まで抱え込む。

こういう人は、部分的にはものすごく優秀かもしれません。

でも、一緒に仕事をする側からすると困ります。任せたあとも、「ちゃんと進んでるかな」「一度確認したほうがいいかな」「締切、覚えてるかな」と考え続けなければならないからです。

本人はひとつ仕事をしている。でもその裏で、周囲には確認、催促、手戻り、調整という仕事が増えている。

反対に、約束したものは期限までに返す。質問には答える。返事待ちのまま放置しない。合意した手順を勝手に変えない。まずいことは早めに知らせる。

こういう人に仕事を渡すと、周囲は安心して別の仕事に進めます。

すると、もっと大きな仕事が回ってくる。大きな仕事を経験するから、判断力も調整力も上がる。さらに大きな仕事を任される。

当たり前を守れるから信用されるだけではなく、当たり前を守れる人ほど、高度な能力を身につける機会まで増えていきます。

だから、ロジカルシンキングも、言語化も、マーケット感覚も、AIも勉強すればいい。視座を上げてもいいし、リーダーシップについて語ってもいい。
でも、その前にやることがあります。

締切を守る。聞かれたことに答える。ボールを止めない。決めた手順を守る。まずいことは早く言う。

いろいろ意識の高いことを言う前に、まず当たり前のことを当たり前にやる。

自分がひとつ仕事をするたびに、周囲に二つも三つも仕事を増やしていたら、どれだけ高度なスキルを身につけても仕方ありません。

仕事ができる人になりたいなら、まず周りの仕事を増やさないことです。


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