授業準備03|小4理科|約10mL減った水から,「蒸発」の次の問いへ
4年 理科「自然のなかの水のすがた」|実験結果から考察する時間
一週間後,理科室に置いていたビーカーを見に行きました。
水は,約10mL減っていました。
そして,ラップには水滴がついていました。
天気が悪く,外で十分に観察できそうになかったので,実験はずっと理科室に置いてありました。それでも,一週間待つと,目で見て比べられる変化が出ていました。
今回は,この結果をどう扱うか。そして,ここで「蒸発」という言葉を知ったあと,次の問いへどうつなぐかを考えます。
前回までの授業については,こちらの記事にまとめています。
前回は,「なくなった」の中身を考えた
授業の始まりは,粘土とぬれた雑巾をのせた天秤でした。
時間がたつと,天秤は粘土の方へ傾きました。子どもたちは,「雑巾が軽くなったから」と考えます。
では,どうして軽くなったのか。
問い返すと,「雑巾の水がなくなった」という言葉がたくさん出てきました。
ただ,同じ「なくなった」でも,頭の中のイメージは同じではありませんでした。
水は,雑巾から空気中へ出ていった。
水そのものが消えて,どこにもなくなった。
小さく分かれていた水が,一つにまとまった。
そこで,Canva上に雑巾と水滴のイラストを置き,水滴を動かしたり,数を変えたりして,自分の考えを表してもらいました。

授業の記録をもとに,記事用に描き直した予想の例です。児童の作品そのものではありません。
その後,ビーカーとラップを使い,水の行方を確かめる実験を考えました。どの班からもラップをかける案は出ましたが,比較するための「ラップをかけないビーカー」は出ませんでした。そこは,最後に私が補いました。

比較する方法を説明するために,記事用に独自作成した模式図です。
天気が悪かったので,理科室で一週間待った
実験は,本来なら数日後に確認する予定でした。
ただ,天気がよくありませんでした。急いで結論を出すために教科書の写真で済ませるのではなく,そのまま理科室に置いて待つことにしました。
そして,一週間後。
水は,初めと比べて約10mL減っていた。
ラップには,水滴がついていた。
ただし,今回の授業記録には,約10mL減ったのがどちらのビーカーか,ラップのどちら側に水滴がついたかまでは残せていません。この二つの結果だけで,水の移動先までを証明したとは言えません。子どもと確かめるなら,容器ごとの水の量と,水滴がついた面を分けて記録する必要があります。

見えたこと・量って分かったことを,結果として整理した図です。約10mL減った容器や水滴がついた面は断定していません。
変化は,かなりはっきり見えました。
ここで私自身が立ち止まったのが,「結果」と「考察」の違いです。
「水は空気中へ出ていった」と確認してから考察する,と考えていたのですが,よく考えると,この言葉は結果そのものではありません。
見えたことが「結果」,そこから考えたことが「考察」
今回,実際に見たり,量を確かめたりしたことは,次の二つです。
結果
一週間前と比べて,水が約10mL減っていた。
ラップに水滴がついていた。
一方で,その結果を根拠に水の行方を説明したものが考察です。
考察
水は,存在そのものが消えたのではなく,目に見えない姿になって空気中へ出ていった可能性がある。
「水が空気中へ出ていった」は,目で直接見たことではありません。水が減ったことや,ラップに水滴がついたことを組み合わせて考えた,水の行方についての説明です。今回の記録だけで移動先を直接証明したわけではない,という限界も同時に押さえておきます。
授業では,子どもにもこの順番を大切にしたいと思います。
「見えたこと,量って分かったことは何?」
「その結果から,水はどうなったと考える?」
「どの結果を根拠に,そう考えたの?」
結果と考察を二つの別々の作業にするというより,「この結果から,こう考えた」とつなげて話せることが大切なのだと思います。

「結果→考察→用語→次の問い」のつながりを表した,記事用の独自図解です。
現象を考えたあとで,「蒸発」という言葉を知る
子どもたちが結果を基に水の行方を説明したところで,初めて言葉を渡します。
水が,水面から目に見えない水蒸気になって空気中に出ていくことを,蒸発といいます。
先に「蒸発」という答えを教えてから実験結果を当てはめるのではなく,自分たちが見た変化を説明したあとで,その現象には名前があることを知る。
「ああ,これを蒸発というのか」と,実物と言葉が結びつく時間にしたいです。
もちろん,水蒸気そのものが見えたわけではありません。見えたのは,水の量の変化と,ラップについた水滴です。目に見えない水の存在を,見える結果から考えたことになります。
ラップの水滴を,次の問いへ残す
蒸発が分かったところで,ラップの水滴を教師がすぐに説明してしまうと,次の学習まで終わってしまいます。
だから,ここでは水滴にもう一度目を向けます。
「このラップについた水滴は,どこから来たんだろう?」
ビーカーの水が上へ行ったのではないか。空気中にあった水がついたのではないか。もともとラップについていたのではないか。
ここで出た考えを,次の問いへつなげます。
蒸発した水は,ふたたび目に見える水にもどるのだろうか。
ラップに水滴がついたことで,「戻ったのかもしれない」という予想はできます。でも,水滴がどこから来たのかは,まだ確かめていません。
次は,よく冷やしたコップの外側に水滴がつくかを調べます。中の水が染み出したという考えも残りそうなので,コップの外側を初めに乾かしておく,水に色をつけて比べるなど,どんな方法なら水滴の出所を確かめられるかを考えたいです。
これは,これから行う授業の構想です。この次時での子どもの反応や,冷やしたコップの実験結果は,まだ分かりません。
実験結果は,授業の終わりではなかった
約10mL減った。
ラップに水滴がついた。
この二つが見えたことで,「水はなくなったのか」という最初の問いには,一つの説明ができそうです。そして,「蒸発」という言葉も知ることができます。
でも,ラップの水滴を見れば,今度は別の疑問が残ります。
見えなくなった水は,再び見える水に戻るのか。
一つの実験で答えを出して終わるのではなく,その結果の中から次の問いが生まれる。今回は,そのつながりを大事にしてみたいと思います。
一週間待ったビーカーは,答えだけでなく,次の授業の入口も置いていってくれました。
※2026年9月の小学4年理科の授業記録と,次時の構想です。約10mLという値とラップの水滴は,教師が実物で確認した結果です。結果確認時の児童の発言はまだ記録していないため,記事中に創作していません。掲載した図は記事用に独自作成したもので,教科書・指導書の紙面や図版,児童の作品,Canva素材そのものは転載していません。
