【ガチ名作】『ミカクテイ事件の観測者』紹介・感想/うみねこ解体ゲートへようこそ!
紹介
超能力推理もの、最近多い?
と最初だけ思ったんですけど、全然違いました。
とてつもなく面白かったです。
正直自分と好みの方向性が一致している人はまずプレイしていいと思っています。
↑大体の方向性がパッと見でわかりやすい
『ギルド探求団へようこそ!』が今年遊んだ新作ADVの中だと特に素晴らしく良い作品で、これを完全新作で越えてくることは少なくとも今年中には中々無いだろうな~と思っていたんですが。
正直今作は普通に並んできました。
というか、自分はこっちの方が好きですね。
勿論ギルド探求団も相当好みにハマっていて面白いゲームで特に不満が無いという上で、です。どっちも超面白かったです。
とりあえず一旦100点あげて、そこからの程度の差みたいな感じです。
実のところゲーム性としてはアレと結構近いんですけども。
謎解きパズルものって言うんですかね?それとも論理パズル?
『未解決事件は終わらせないといけないから』とかも同じようなジャンルでしょうか。
SNSのタイムラインを捜査して、投稿内容を突き合わせて、本人と表アカウントと裏アカウントを合致させていくゲームです。さ…最悪だ!
難易度はかなり丁度良いと思います。
正確に言うと、純粋に論理パズルのみで辿り着こうとすれば多分少し難しい部分もあると思うんですが、別にミスを咎められたりしないし、何なら総当りも許容されているので、本気で詰まるということはあんまり無いと思います。
途中からですが、ヒント機能もありますしね。
特に使わずとも一部の謎解き要素を除いてそこまで詰まらずクリアできたため、パズルとしての難易度はかなり低めだと思います。
難易度は低めですが、楽しいです。
ちゃんと頭を使えば解けるしそんなに使わなくてもそのうち解けるので、いい具合じゃないでしょうか。
そしてストーリーの方向性は、ゲーム性が近しいギルド探求団と比べてもだいぶ別物です。SNSだの、猫箱だの言うとりますからね。
SNSのアカウントを猫箱に例えるのはちょっと面白いですね。
というかギルド探求団のストーリーはあくまでもバックストーリーを楽しむという感じでしたが、こちらはかなりガッツリとストーリーがメインです。
そしてそのストーリーがかなり自分にハマってきました。
ゲーム性に関しては、まあ好みの差はあれど普通に面白いという感想でして、基本ずっとそれで進むのでずっと普通に面白いんですけど、それに加えてのストーリーが終盤滅茶苦茶面白かったので超高評価です。
じゃあゲーム性はオマケかと言われたら絶対にそんなことは無くて、このゲーム性だからこそ内容的にも構成的にも面白さが成り立っている作品だとも思いました。
マジで完成度高くない?インディーズ凄くない?
正直今年遊んだ(遊ぶ)ADVの中でも、インディーズや新作の括りを外してもちゃんと最上位に食い込んでくる事になりそうだと感じています。
いやほんと面白かったな…
軽く内容に触れる紹介(ネタバレ配慮)
もうちょい具体的に話します。
配慮はしますけど内容には触れるので、どういう作品なのか?感想の中身の方向性はどんな感じか?という部分を一切知りたくない人は読まないでください。
「事件の真相を〈確定〉させよ」
部屋から一歩も出ずに、SNSのタイムラインだけで超能力殺人事件の犯人を特定できるか?
超常的な能力を持つ人間、〈アクマ〉。
彼らが引き起こす怪事件、〈パラドクス〉。
『ミカクテイ事件の観測者』は、
ネット探偵「エル」の視点で〈パラドクス〉の真相を解明するSNSパズル推理アドベンチャーゲームです。
〈アクマ〉であり、捜査の相棒である「箱内にゃすてりあ」は、特殊能力を使って推理をサポートします。
現実世界の捜査は一切行わず、ネット上の情報だけを頼りに複雑怪奇な〈パラドクス〉の真相解明を目指します。
って感じです。
まあつまり、超能力を用いたと思われる殺人事件を調査するぞ!ってお話ですね。
ずっと話自体はPCのデスクトップ上で進みます。
その中でSNSのタイムラインから情報をかき集めてまとめていくのを続けていくゲームなので、本当に印象はギルド探求団と似た感じです。

しかしタイミング的にたまたまだろうに、似たような感じで中身の方向性は全然違う名作が2つほぼ同じようなタイミングで出てくるの凄いな…
女の子がずっと映っていることに関しては収斂進化じみたものを感じます。
可愛い女の子ずっと映ってる方がプレイのモチベ上がるもんな。
もう1つ印象、例えとしてかなり近いものがあるのが『SNS捜査』です。

『都市伝説解体センター』のこれ。
と言っても、印象の話です。ゲーム性じゃないです。
都市解のこれはぶっちゃけゲーム性はあって無いようなもんというかほぼ無いので、ただのテキストを読む際の演出のようなものです。
ただ、やけにリアルなSNSを読まされながら情報集めしていく感覚はかなり近しいと思います。
一応、人によっては拒否反応が出る可能性もあると思う部分ですね。
ただ、都市解のそれは本当に人間の負の感情を集めていた感じが強いんですけども、こっちは正も負も両方割と描かれていたかな~と思います。
いや、断然負の方が多くはありましたけども。
ただ、アレよりはエグみは薄めじゃないかなと思いますね。
個人的には全然どちらも問題無いラインでしたが。
このSNS捜査を1つのゲームとして発展させて更に色んな要素を加えて完璧に仕上げた…という印象を勝手に受けました。
別にアレたった1年前のゲームなのであんま関係ないと思いますけど。
たった1年でしかもインディーズでこんな凄い作品作れないだろうと思いますし。
#スーパーゲ制デー #ミカクテイ事件の観測者
— アントラー/antler (@antoraion) May 8, 2026
1年間、苦しみながら作った自信作を公開中です!
なんと、高評価率100%!
SNSを使うすべてのユーザーに届けたい、そんなゲームです。 pic.twitter.com/sJ1DzGxGIT
マジで?
凄いね人間。
いや本当に凄いな…インディーズだろこれ…?
じゃあ都市解関係あるのかと言われたら流石にどちらにせよ近すぎて関係ないと思いますけども。
なんか思ったより凄くて不用意な言いがかり付けちゃった感じになってるな…そもそも意識してようがしてなかろうが特に問題は無いんだけど…
ともかくストーリーの方向性的にも、SNSがしっかり絡んで来て面白いです。
で、そこと絡んでくる読後感ですが…(ネタバレになり得るので注意)
とりあえず一旦ここまで読んで面白そうだと思った人は即遊んだ方が良いでしょう。
SNSモノですが、読後感はめっちゃ良いです。
以下、具体的な感想になっていくので本当のネタバレ注意です。
具体的な感想(超ネタバレ注意)
読後感、好きですね~。
別に露悪も楽しめますけどね。
ただ悪いだけで終わらせないのはもっと好きですよ。
人の持つ本質は───

と断定するわけでもないんですが。
光と闇が両方そなわり最強に見える。
闇を抱いて、光となる。
…まあ、人間言うほど綺麗じゃないし言うほど汚くないってことです。
本質は中途半端なものだと思いますね。
なので、終盤の展開はそういう意味でも良かったです。
そういう意味だけではなく良かったのも凄いところですが。
個人的にストーリー部分に(勝手に)感じたエッセンスは、シュタインズゲートとうみねこでした。
しかしどちらとも全く別の作品として完成しています。
最初はあんたまた猫箱かい!と思ったもんですが。作中での言及すらありましたが。

単純に自分があの手のSF、もといメタフィクション的要素が好きなのもあるでしょうけども。
ただ、内容ではなく構成という点で見ると、もっとオーソドックスに逆転裁判とかが近いのかなと思います。
しかもこの構成が凄い上手だったな、と感じました。
伏線の撒き方と撒き具合が滅茶苦茶良いんですよ。
逆転裁判とかが近い、と言ったのは、伏線の配置と回収についてです。
謎解き要素とは別にストーリー的な面白さとしてあるのが伏線回収だと思うんですが。
伏線って、撒きすぎて回収できないのは良くないけど足りないと物足りないし、しかも露骨すぎて正体がバレバレだと良くないし、かと言って何もわからなさすぎて記憶にすら残ってないと驚けないのでバランスが難しいと思うんですよね。
逆転裁判…シリーズの中で言うと個人的には検事2がそういうのは一番上手くやったかもと思うのですが。
1つの事件に対して大量に伏線となるわけわからん変な証拠が出てきて、最終的にそれが1つの解答に繋がるのが気持ちいいわけじゃないですか。
で、その1つ1つの事件だけじゃなくて本筋たる一連の流れも個別に存在していて、しれっと1つ1つの事件の中にそっち側の伏線を織り交ぜていくことで、読者の目を誤魔化しつつ、しかし認知もさせつつ、最後にそれをまとめてどかーんとネタバラシすることで「うひょー!」ってなるのが面白くて楽しいと思うんです。
ただ読むだけのビジュアルノベルだと、どうしてもその伏線を誤魔化しにくい部分もあると思うんです。普通に読むことに集中しているので。
そこに謎解き要素が加わると、謎解きにある程度意識が行くので、違和感が残ってもそこまで意識に残らないんですよね。記憶はしてるんですけど。
ちゃんとそれなりのゲーム性を持つことで、伏線をさりげなく配置しやすいんじゃないかなと思っています。このゲームはまさにそうでした。
で、このゲームの場合は追っかけてるのはたった1つの事件なんですよ。
テンポ良くどんどん先に進んでくので、細かい要素に目が行きづらいのも良かったな~と終盤に差し掛かって伏線回収し始めた辺りで思っていました。
ただ過去の事件はとっくに解明済みで、「昔の事件もちゃんと解いてきた上で最後の伏線回収パートが今来ている形ならもっと面白くなったかもなぁ」とか考えてたんですけど、そんな妄想すら余裕で越えてきまして。
追っかけてきた事件は1つなのに回答を複数用意することによってチェーホフの銃ばら撒き祭りが開催されていたことに、1度目のロールバックを迎えて初めて気付きました。

いや、ほんとびっくりしましたね。
だってにゃすてりあの正体探しまで行った時点で既にめっちゃ盛り上がってたんですよ。
小玉竜治登場までの時点で、なッ なるほどォ~~~~~~ッッと楽しんでいました。
この時点でもう「いや小玉そんな最初から出てたのかよ!」となっていました。

更にそこから現在の表アカウントに辿り着くところもなるほどォ~~~ッでした。
EPORO、単なる世界観補強設定をちょこちょこと引用してるだけかなーとか思ってたんですけども、だからこそさりげなく何度も劇中にそれを登場させられて、それを伏線として利用してきたのは、上手いなって。
小玉を突き止めた時点でもう、シナリオ的な伏線回収は結構満足の行く規模で為されていたんですよね。
狐のアクマが割とがっつり本筋の話だったので。
でもそこからにゃすてりあ側の解明に入って、更に加速しました。

この辺りから、単なるSNS現代社会風刺だけでなくSF的要素も話に絡んできて、本当に面白かったです。
にゃすてりあは直接目を合わせないと能力の発動ができない、と言われた時点で、「黒かぁ~~~~~~!!!!」と1人で盛り上がっていました。
「外国人の瞳孔が暗くなったってそれかぁ~~~~~!!!」と。

「あの力士シールみたいなやつにも意味あったんかい!!!!」とも。

この辺り伏線回収怒涛すぎてずっとウキウキでした。
こいつらいくら裏垢でも機密情報あまりにガバガバ過ぎだろゲームだからいいけど…とか思ってたところに、多少インチキでもちゃんと説明を付けてくれるの本当に嬉しいです。

ヨウコさんの違和感とか、違和感があった描写は覚えてても絶対気付くわけなさすぎてズルいし上手いですよね。

で、この辺で「Lは誰だろ…」とか思ってた気もします。
小玉出てくる前まではにゃすてりあが妹でLが兄だったりすんのかなとも思ってましたが、よく考えたら年齢全然違いましたし普通に兄の方は出てきました。
で、小玉パートがそのまま割とぬるっと終わって少しこの時点で驚いたんですよね。あ、ここでこいつは退場なの?って。
そんでまあ一番気になるにゃすてりあの正体明かしになりましたが、ここですよね。
全然断定できる根拠が無い…!
いや本当に、断定できる要素なんて全く無かったですよね。
なんかそれっぽいやつは(この時点で思ってたよりも)沢山居たんですけども。
ただまあ、こういうのは得てして…というか、主人公の情報が少ないからどうせにゃすてりあの正体とリンクしてるんでしょーと思って、選びました。

最初に母親エンドをたまたま選んだのは正解でした。
流れが予想外すぎてクソ笑ったうえで普通に騙されたからです。
なんかシリアスな流れで解決すると思ってたのに凄まじいギャグオチで、ウソぉ…と思いつつも「まあ別に問題はあんま無いからいいのか…?」とも思い。だってただLが死ぬほど恥ずかしい思いをしただけだし。
ただそこからのロールバック演出で、一旦「なるほど!!!!」となったんですね。

めっちゃバカみたいなオチだけど、これでついに全てのアクマを解き明かしてロールバック値が限界に達し、ロールバックが発動することで世界が巻き戻って、実験の結果起きた色んな問題が解決して皆いい感じになる!つまり今までの旅は無駄ではなかった!いや結構無駄なことしたな展開で終わるんだと思ったんですね。エンディングも流れたし。
でもなんか普通に戻ってきたじゃないですか。

一瞬めっちゃ混乱して、すぐ気付きました。
これ回答複数あって全部正解なのかよ!!!と。
なッ なるほどォ~~~~~~ッッ
ここで本当に全部繋がりまして、敬服しました。
あまりにも怪しい要素がばら撒かれすぎているのは別に答えが大量にあるので設定に一貫性が無くていい伏線だからだったんですね。
1つの解答に対する伏線って、一貫してないとダメじゃないですか。
じゃないと「あの描写矛盾してない?」ってなってしまいますし。
でも答えが複数あったらいくらでもチェーホフの銃ばら撒きまくって、しかも発砲せずに放置しても成立するんですよね。
伏線回収のワクワク感を大量に盛りつつ、それ自体が伏線にもなっていたという構成に感動しました。超楽しかった。
ちなみに順番は
母親→幽霊→殺人犯→スピネ王妃→クラスメイト→桑田教授
でした。かなり良い順番だったんじゃないでしょうか。
桑田教授が一番正体としてそれっぽさあるかなとは思いつつ、流石に突拍子が無くて信じなかった気もします。
母親はなんかギリギリガチで有り得そうなんだよな…ギャグだし…
ただこうなると結局にゃすてりあはどうなるんだ?また猫箱開けちゃダメ展開行くのか?それだと多分あんまりスッキリしないオチになるよな?とか思ってたんですが。
小玉が戻ってきてからの最終解決パートでそこも綺麗に終わらせてくれました。

アクマの正体、にゃすてりあの正体についての設定的なネタバラシのパートは割とシュタゲを思い出したりしましたね。

この辺りのSF的な話も、別に自分は詳しくはないものの、楽しめました。
で、オチはどうすんだこれ?ともなっていたんですが。

普通に最初のロールバックでいい感じに解決して母親と一緒に仲良く暮らして終わりかな~とか思ってたらこんな感じの話になってきたので、じゃあどうやっていい感じにするんだろうな~とか思ってたら、「にゃすてりあの正体を都合の良いものに確定させる」という展開になって、なるほどなるほど…などと勝手に頷いてましたね。
ただ、誰にすれば良いのかはパッと浮かばず。
要はロールバック値が増えた原因を無くせばいいんでしょ?
アクマを確定させてロールバック値増やしちゃったLに原因があるんだから、最初からLとにゃすてりあのPC上での一人芝居でしか無かったみたいな感じにするのか?と思ったんですが、Lを指すようなハッシュタグ自体が見つからず。
少し悩んで、ハッシュタグを順に眺めていて気付き、納得を得ました。

なるほど確かに、一番最初の事件から無かったことにするのが一番綺麗ですよね。
ここであくまでも死亡ではなく「神隠し」だったわけですから、実は存在していてもおかしくない。
自分はアクマの解明自体を無かったことにしてロールバック値を全キャンセルするのかと思っていましたが、解答は1個消して1個増えるからセーフという結構ギリギリの計算でしたね。
でも結局この形だとアクマの解明は全部無かったことになったのでは?とも思ったんですが、どうなんでしょう?違うのかな?なったとしても別にそこはロールバック値のキャンセルには至らない?
まあともかく、オチの付け方としてはかなり綺麗なところに行ったと思います。世界を騙せ!…の、逆パターン?
なんだかんだ、ヒロインの命を助ける話という王道なところに落ち着いたのが凄いと思いますね。
いや、なんか内容はとても変則的なんですけど。
ヒロインというか…ヒロインの姿をしている別人…いや別人というわけではなくて…でもヒロイン本人かと言われると違って…

そして何よりエンディングロールが良かったと思います。
いや「えっ歌付き!?」ってのもありますけども。
散々光と闇のSNSを見せられたので、捨てたもんじゃないけどだからこそ嫌な所も多々あるよなぁ…という感情だったり、個々人の背景が見えて悲しくなったりする部分があったと思うのですが、最後はLの観測の結果、調べていた事件周りの人達は皆幸せになったようです。
救ったのはかさね周りの人々だけではなかったということですね。

ご都合と言えばご都合かもしれませんが、しかしご都合過ぎないと思います。
元々、事件周りの人物を調べていて、それに巻き込まれて不幸になっていた人も多かったわけですし。アクマ周りは特にそうですよね。
幸せなエンドは良いことですし、ある程度理屈が付くとなお良いです。
この内容と流れから、ここまで全部救えるオチに持っていけてしかもそれなりに納得できるのは中々凄いなぁと思います。
ということで、本当に名作でした。
よく出来すぎていてびっくりするって、それなりに体験を重ねてきた上では中々できない体験なのですが、普通に味わえました。
中盤までに伏線撒いて終盤で盛り上げるというの自体はADVのテンプレ構成とも言えますけど、面白さをゲーム性に一旦依拠しておくことで伏線ばら撒きを超大量に行って、その回収の面白さを全て終盤に詰め込んでいくというのはあんまり見ないタイプの面白さだった気がしますね。
いやマジで良かったな…
語彙力ないなった。元から無いけど。


