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#011 なぜ、知っているのに行動できないのか

やった方がいいと分かっているのに、なかなか行動に移せないことがあります。

今回は、人の「行動」を変えるものについて考えます。

休日の午後。

一冊の本を読み終えたあなたは、ゆっくりと最後のページを閉じる。

「これは、本当に良い本だった。」

そんな余韻が、しばらく頭の中に残っている。

知らなかった考え方に出会い、点だった知識が線につながっていく感覚。

読んでいる間は、何度も心が動いた。

「なるほど。」

「そういうことだったのか。」

ページをめくるたびに、自分の世界が少しだけ広がっていく。

そんな時間だった。

だから、本を閉じたあと、ごく自然に思う。

「今日から毎日、少しだけ読もう。」
「AIも毎日使ってみよう。」
「思いついたことは、その日のうちに整理してみよう。」

どれも難しいことではない。

一日三十分。

それくらいなら続けられる。

そう思っていた。


最初の数日は、ちゃんと続いた。

仕事から帰って、本を開く。
気になったことをAIに聞いてみる。
新しく知ったことをメモに残す。

ほんの少しだけれど、自分が昨日より前に進んでいる気がした。

このまま続けられたら、一年後にはきっと違う自分になっている。

そんな期待さえあった。


でも、一週間ほど経った頃。

少し帰りが遅くなった日があった。

「今日は疲れたから、明日でいいか。」
その日は、本を開かなかった。

次の日は、急な予定が入った。

その次の日は、気づけばスマートフォンを眺めたまま寝る時間になっていた。

一度途切れた習慣は、驚くほど静かに消えていく。

机の上には、読みかけの本。
「あとで見よう」と思っていたAIの画面。

どちらも、そこにある。

それなのに、手は伸びない。

そして、ふと心の中でつぶやく。

「また続かなかった。」


こんな経験はありませんか。

読書。
運動。
資格の勉強。

英語。
日記。
AIの活用。

始めようと思ったことは、たくさんある。

そのたびに、「今度こそ続けよう」と思ってきた。

でも、気づけば元の生活に戻っている。

すると私たちは、決まって同じ結論にたどり着きます。

「自分は意志が弱い。」
「もっと頑張れる人なら続けられる。」
「結局、自分には向いていない。」

頭ではわかっているのに、行動できない。
その理由を、自分自身の中に探してしまうのです。

でも、本当にそうなのでしょうか。

少しだけ、自分の一日を思い返してみてください。

朝起きる。
顔を洗う。
歯を磨く。

家を出るときには鍵を閉める。
会社に着けば、自然とパソコンを開く。

どれも、「今日は頑張ろう」と決意して始めているわけではありません。

眠い日もあります。
疲れている日もあります。
気分が乗らない日もあります。

それでも、ほとんど迷うことなく体が動きます。

考える前に、いつもの行動が始まっている。


では、なぜ。

読書は続かないのに、歯磨きは続くのでしょう。

AIは開けない日があるのに、スマートフォンは無意識に開いてしまうのでしょう。

その違いは、どこにあるのでしょうか。

続く行動と続かない行動


私たちは、続けられる人と続けられない人の違いを、「意志の強さ」だと思っています。

でも、その前提を、一度だけ疑ってみませんか。



では、その違いは、どこにあるのでしょうか。

私たちは、何かを続けられる人を見ると、

「意志が強い人なんだ。」

そう考えがちです。

でも、もし本当にそうなら。

歯磨きも、その日の気分でやったり、やらなかったりするはずです。

鍵を閉め忘れる日が、もっとあってもいい。

会社へ行くのも、毎朝「今日は行こうかどうしようか」と悩んでいるはずです。

でも、実際は違います。

私たちは、そんなことをほとんど考えません。

考える前に、体が動いています。


少しだけ、歯磨きを思い浮かべてみてください。

歯ブラシは、いつもの場所に置いてあります。
朝起きれば、自然と洗面所へ向かいます。
一度手に取れば、数分で終わります。

つまり、歯を磨くために毎朝「頑張る」必要がないのです。


一方で、読書はどうでしょう。

本はバッグの中に入ったまま。
読む時間も決めていない。

疲れて帰れば、そのままソファに座る。
スマートフォンを開けば、そのまま一時間が過ぎる。

「読もう。」

そう思っていたことだけが、頭の片隅に残っています。

ここには、一つだけ大きな違いがあります。


歯磨きは、自然と始められる。

読書は、自分で始めなければならない。


私たちは、この違いを「意志」だと思っていました。

でも、本当は違います。

違うのは、

始まり方です。


自然と始まる行動には、
自然と始まる理由があります。

いつやるかが決まっている。
どこでやるかが決まっている。

最初の一歩が小さい。

やらないほうが、むしろ違和感がある。

そうした小さな工夫が積み重なると、人は「頑張る」前に動き始めます。

私は、この状態をつくるものを仕組みと呼んでいます。


だから、行動が続く人は、意志が強い人ではありません。

続けやすい仕組みを持っている人です。

本を机の上に置く。
AIを最初に開くタブにする。

毎日30分ではなく、「3分だけ」と決める。

どれも小さなことです。

でも、その小さな仕組みが、次の行動を生み出します。


AI時代になるほど、この差は大きくなります。

学ぶことは増えます。
便利な道具も増えます。

だから、「頑張ろう」と意志に頼る場面も増えていきます。

でも、意志は、その日の体調や気分に左右されます。

一方で、仕組みは、昨日と同じように今日もあなたを支えてくれます。

だから必要なのは、

強い意志ではなく、良い仕組みです。


もし今日、何かが続かなかったとしても。

自分を責める必要はありません。

問いを、一つだけ変えてみてください。

「どうして続けられなかったんだろう。」

ではなく、

「自然と始められる仕組みを、一つ作れないだろうか。」

その問いが、行動を少しずつ変えていきます。

行動は、「人」ではなく「仕組み」で変える。


Layer Zero Lens


私たちは、
世界の構造を理解することで、物事の見え方を変えられます。

そして、

行動の仕組みを設計することで、未来の自分を変えられます。

世界は、構造で理解する。

行動は、仕組みで変えていく。



次に読むなら

行動を変えるには、意志よりも「仕組み」を変える。その視点を持つと、次に問いたくなるのは、限られた時間や条件の中でどう前に進むかです。

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