なぜマッチングアプリはここまで普及したのか。人口統計から考えてみた
結婚した夫婦の3組に1組近くが、マッチングアプリがきっかけだった——。
明治安田生命が2025年11月19日に発表した調査によると、1年以内に結婚した夫婦の出会いのきっかけは「マッチングアプリ」が30.4%で3年連続の1位(前年比+0.6pt、過去最高)でした。
もはやマッチングアプリは「一部の人が使う特別な出会い方」ではなく、結婚に至る出会いの中心的な経路のひとつになっています。
なぜ、これほど多くの人がマッチングアプリを使うようになったのでしょうか。
この記事は、「結婚できない理由」を断定したり、不安を煽ったりするための記事ではありません。
国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)をはじめとする公的統計をもとに、日本社会全体の未婚化・晩婚化という長期トレンドと、マッチングアプリが広がってきた時期との関係を、客観的に整理する記事です。
未婚であることや、特定の生き方・価値観を問題視するものでもありません。
あくまで「社会全体で何が起きているのか」を、出典データで確かめることが目的です。
なぜこの記事を書いたか
以前、マッチングアプリ各社を比較する記事を書きました。
会員数・料金・年齢層といった、個々のアプリを選ぶための情報を出典付きで整理したものです。
その記事を書き終えたあとに気づいたことがあります。
「そもそも、なぜこれだけ多くの人がアプリを使うという選択肢を取るようになったのか」という、もう一段階手前にある背景には触れていなかったのです。
個々のアプリの比較の前に、日本社会全体で結婚・交際をめぐる数字がどう変化してきたのかを知っておくと、アプリを使うかどうかを考えるときの見え方が変わるのではないか——そう思い、この記事を書くことにしました。
この記事で使っている情報源
この記事の中心的な出典は、国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)が公表している「人口統計資料集2025」と「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」です。
いずれも国が実施・公表している公的な一次統計であり、婚活サービスや特定企業が独自に集めたアンケートではありません。
これに加えて、マッチングアプリ経由の結婚の実態を確認するために明治安田生命の調査、市場規模の確認にマッチングアプリ白書のデータを補足的に使っています。
いずれも、以前書いたアプリ比較記事で使用したものと同じ出典・同じ数値です。
出典が確認できない数字、この記事のために独自に計算し直した割合は使っていません。
一次資料で数値を確認できなかった箇所は、「未確認」であることを明記した上で扱っています。
こんな方に向けた記事です
「自分だけが婚活・出会いに焦っているのではないか」という漠然とした不安を、社会全体の傾向と照らして客観的に把握したい方
これからマッチングアプリを始めるかどうか迷っており、まず大局を知ってから判断したい方
婚活・マッチングアプリの利用有無を問わず、少子化・未婚化という社会動向そのものに関心がある方
以前書いたアプリ比較記事や、交際相手がいる率の推移を扱った記事を読んだ方にとっても、「そもそもなぜこの市場がここまで拡大したのか」という背景を補う記事として読める内容にしています
逆に、「結婚できない理由」「恋愛弱者論」のように、特定の立場や生き方を断定・評価する読み物を求めている方には、この記事は向いていません。
この記事は、社会全体の傾向を出典データで確かめるための記事であり、未婚であることや特定の生き方を問題視・否定するものではありません。
では実際、生涯未婚率はどのように変わってきたのか——ここから見ていきます。
1. 生涯未婚率は、この数十年でどう変わったか
「生涯未婚率」とは、50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合を指す指標です。
50歳時点を基準にするのは、それ以降に初めて結婚する人が統計上ごく少数にとどまるため、「その世代がほぼ結婚するかどうか」を代表する数字として扱われているためです。
国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)の「人口統計資料集2025」によると、2020年国勢調査時点の生涯未婚率は、男性28.3%・女性17.8%でした。
男性は約3.5人に1人、女性は約5.6人に1人が、50歳時点で結婚経験がないという計算になります。
この指標は、数十年にわたって上昇を続けてきた指標でもあります。

出典:国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)「人口統計資料集2025」(2020年国勢調査に基づく確定値)
2. 「交際相手がいる」割合も、長期的に低下している
生涯未婚率とは別に、もう一つ確認しておきたい指標があります。
「今、交際相手がいるかどうか」を尋ねた調査データです。
生涯未婚率が「50歳時点で結婚したことがあるか」という一つの区切りを見る指標であるのに対し、こちらは年齢層を絞らず、今まさに交際相手がいる人の割合を継続的に追いかけている指標で、対象になっている調査・年齢層も異なります。
IPSSの「第16回出生動向基本調査」(2021年6月実施、対象は18歳以上55歳未満の独身者)によると、異性の交際相手がいる、または婚約している人の割合は、2021年時点で男性21.1%・女性27.8%でした。
この割合を過去の調査まで遡ると、男性は2005年の27.1%、女性は2002年の37.1%をピークに、その後低下してきていることが分かります。
生涯未婚率(50歳時点、国勢調査ベース)と、交際相手がいる割合(18〜55歳未満、出生動向基本調査ベース)は、調査の主体・対象年齢・調査年がそれぞれ異なる別系統の統計です。
この記事では、両者を同一の集団のデータであるかのように扱ったり、掛け合わせて新しい割合を算出したりはせず、それぞれ別の出典・別の指標として紹介しています。
「交際相手と知り合ったきっかけ」の内訳(学校・友人・職場・ネットの推移など)については、以前、この調査データをより詳しく扱った記事を書きました。
気になる方はこちらもあわせてご覧ください。
→ 「友人と疎遠になった気がする」その感覚、データにも表れていた

女性2002年37.1%→2021年27.8%
出典:国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)「第16回出生動向基本調査 結果の概要」(2021年6月実施、対象18歳以上55歳未満の独身者)
3. なぜこの数字が動いているのか——複数の要因
生涯未婚率の上昇、交際相手がいる割合の低下——この2つの長期トレンドの背景には、何があるのでしょうか。
複数の公的な研究・分析では、経済的な要因(雇用形態や収入の変化など)、結婚に対する価値観の多様化(結婚を人生の必須項目と捉えない考え方の広がりなど)、出会いの機会そのものの変化(職場や地域での人間関係の変化など)といった、複数の要因が並行して指摘されています。
単一の原因にすべてを帰結させることは難しく、いずれか一つの要因だけで説明しきれるものではない、というのが、こうした分析に共通する立場です。
この記事でも、単一の原因・単一の解決策に決めつけることはしません。
生涯未婚率の上昇や交際相手がいる割合の低下を「問題」「危機」と一方的に断定するのではなく、価値観の多様化を含む複数の要因が絡み合って生じている社会的な傾向として、中立的に紹介するにとどめます。
4. マッチングアプリの普及との時期的な関係
ここで、冒頭で紹介したマッチングアプリのデータと接続します。
「マッチングアプリ白書2026」によると、国内マッチングアプリ市場は2026年で約1,094億円(前年比7%増)、2030年には1,380億円に達すると見込まれています。
この20年ほどの間に、交際相手がいる割合が長期的に低下してきた一方で、結婚のきっかけとしてマッチングアプリが占める割合は、明治安田生命の調査で3年連続1位(30.4%、過去最高)まで上昇してきました。
これは、あくまで「時期的な符合」として紹介しているものであり、「未婚化・晩婚化が進んだからアプリが普及した」あるいは「アプリが普及したから未婚化・晩婚化が進んだ/緩和された」という因果関係を、この記事では断定しません。
出会いの形が社会全体で変化していく中で、マッチングアプリが選択肢の一つとして定着してきた、という事実の提示にとどめます。
5. これから数字はどう更新されていくのか
生涯未婚率をはじめとするこれらの数字は、今後も更新されていくものです。
総務省統計局によると、2025年国勢調査(令和7年国勢調査)は、「全国結果」が2026年5月29日、「全国の概要」が2026年8月24日に公表予定とされています。
ただし、生涯未婚率の算出に使う年齢別婚姻状態の詳細な集計が、このどちらに含まれる形で公表されるかについては、この記事の執筆時点(2026年9月1日)では確認できていません。
今後、新しい国勢調査の結果が反映されれば、対象となる世代が入れ替わることで、今回紹介した2020年時点の数値も更新されていく可能性があります。
統計は一度確定したら終わりではなく、今後も継続して確認していく必要がある種類の情報だと捉えておくとよいと思います。
社会全体の大きな流れを踏まえた上で、実際に自分に合うアプリを比較検討したい方は、以前書いた比較記事もあわせてご覧ください。
会員数だけでなく、料金・年齢層・専門家の指摘まで公式発表ベースで比較しています。→ マッチングアプリ、結局どれが自分に合う? 公的統計と運営公式データで比較する2026年版
6. まとめ:出典一覧と読者への問いかけ
最後に、この記事で紹介した内容を振り返ります。
生涯未婚率(50歳時点)は、2020年国勢調査時点で男性28.3%・女性17.8%(出典:人口統計資料集2025、IPSS)
「交際相手がいる」割合は、2021年時点で男性21.1%・女性27.8%。男性は2005年の27.1%、女性は2002年の37.1%をピークに、いずれも長期的に低下している(出典:IPSS第16回出生動向基本調査)
この背景には、経済的要因・価値観の多様化・出会いの機会の変化など複数の要因が指摘されており、単一の原因には決めつけられない
同じ期間、マッチングアプリ経由の結婚は3年連続1位(30.4%、過去最高)まで上昇しており、市場規模も拡大を続けている(出典:明治安田生命、マッチングアプリ白書2026)。ただし、これらの数字の間に因果関係があるとは断定しない
2025年国勢調査の結果が今後公表されていく中で、これらの数字自体も更新されていく可能性がある
この記事は、「もう結婚できない」「アプリを使わないと不利」といった結論を主張するものではありません。
日本社会全体の長期的な傾向を、出典データを通じて確認することを目的にしています。
未婚であることや、結婚を選ばない・急がないという生き方も含め、この記事はどの生き方が正しいかを判断するものではありません。
社会全体の傾向を知った上で、自分なりのペースや選択について考えるための材料の一つとして、この記事を役立てていただければと思います。
この記事で紹介したデータと出典を、一覧にまとめます。
| データ | 出典 | 備考 |
|---|---|---|
| 生涯未婚率(男性28.3%・女性17.8%、2020年国勢調査時点) | 国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)「人口統計資料集2025」 | 一次資料 |
| 「交際相手がいる」割合(男性21.1%・女性27.8%、2021年時点。ピークは男性2005年27.1%・女性2002年37.1%) | IPSS「第16回出生動向基本調査」(2021年6月実施) | 一次資料 |
| 未婚化・晩婚化の背景要因(経済的要因・価値観の変化・出会いの機会の変化等) | 複数の公的な研究・分析 | 単一の原因には決めつけず、複数要因の並記として紹介 |
| マッチングアプリ経由の結婚30.4%(3年連続1位、過去最高) | 明治安田生命「いい夫婦の日に関するアンケート調査」(2025年11月19日発表) | 以前のアプリ比較記事と同一の出典・数値 |
| 国内マッチングアプリ市場規模(2026年約1,094億円、2030年1,380億円見込み) | 「マッチングアプリ白書2026」(株式会社トゥエンティトゥ) | 以前のアプリ比較記事と同一の出典・数値 |
| 2025年国勢調査の公表スケジュール | 総務省統計局 | 生涯未婚率の詳細集計の公表時期は本記事執筆時点で未確認 |
すべて公的機関の一次資料、または以前の記事で使用済みの出典に基づく情報です。
この記事では、複数の異なる調査・指標を掛け合わせて新しい割合を独自に計算したり、因果関係を断定したりすることはしていません。
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