人に任せるのとは別の話だと思っていました。同じつまずき方を、僕は先に人でやっていました
AIに仕事を渡すのは、人に任せるのとは別の話だと思っていました。相手は機械なので、うまくいかないなら指示を書き直せばいい。人を採用して育てるのとは、比べる場所が違うのだろう、と。
▶ 毎朝1時間かけていた作業を、AIに渡しました(¥500)
https://note.com/shun8989/n/n0c7435d7dbb2
しばらくやってみて分かったのは、逆でした。僕がつまずいた場所は、前に人へ仕事を渡したときにつまずいた場所と、同じ形をしていました。
渡しては、直していました
やり方はいつも同じでした。頼む文を書いて、投げて、返ってきたものを開いて、そのまま自分で直す。
直すのは一分か二分です。書き直したほうが、説明するより早い。そう思って手が動きます。次の日も同じ作業が来るので、また頼んで、また直します。
しばらくして気づいたのは、直す時間が最初の週から一度も減っていないことでした。慣れたぶん、直すのは速くなっています。ただ、直さずに済んだ日は一日もありませんでした。
自分では、うまく回っているつもりでした。頼めば何かは返ってくるし、そこから完成までは十分もかかりません。前より早いのは本当です。それでも、その作業の予定は毎日こちらの手帳に残ったままでした。
その作業は、渡したことになっていませんでした。 頼んではいるけれど、最後の仕上げは毎回こちらに戻ってきている。動いたのは手間の半分だけで、責任のほうは一度も動いていませんでした。

同じことを、僕は先に人でやっていました
ここで思い当たったことがあります。
これは、人に仕事を任せたときに、僕が先にやったことと同じ形でした。
うちは人材の会社をやっています。人を採って、仕事を渡して、動いてもらうのが本業のはずの会社です。それでも、自分の手元にある仕事を人へ渡すときには、同じところで同じことをしていました。
相手が人か機械かは、ここでは関係がありませんでした。 関係があったのは、出てきたものを見たあとに、僕が何をしたかのほうです。
取り返した仕事は、それきり戻ってきませんでした
初めて自分の仕事を人に渡したときのことです。
出してもらったものを見て、直したいところが三つありました。中身が間違っていたわけではありません。並び順と、言い方と、最後の一行の扱いです。伝えれば直ります。ただ、伝えるには、なぜそうするのかを説明しないといけない。説明には十分かかる。自分で直せば五分でした。
説明するくらいなら、自分でやったほうが早い。 そう思って、僕はその仕事を取り返しました。
一度だけのつもりでした。次は落ち着いたときに時間を取って説明しよう、と。
でも、次の週も同じところが直っていませんでした。説明していないので、当たり前です。だからまた取り返しました。三度目からは、相手に出してもらうこと自体をやめて、最初から自分でやるようになりました。
このとき僕は、相手のことを「まだ任せられない」と思っていました。いま振り返ると、任せられなかったのではありません。任せた結果を見せてもらう機会を、こちらが二度目で止めていただけでした。
取り返した仕事は、それきり僕のところから離れませんでした。 半年経っても、一年経っても、まだ僕がやっています。あのとき浮かせたのは十分で、そのあと払い続けたのは、毎週の同じ十分でした。
この失敗のあとに決めたことは、有料noteに全部書きました。
あなたのせいではありません
あなたのせいではありません。 せっかちなのが悪いのではなく、その場に比べる材料が無いからです。
天秤に乗るのは、いつも「いま説明する十分」と「いま自分でやる五分」です。この二つなら、後のほうが勝ちます。誰が乗せても勝ちます。
半年後にその仕事が誰の手にあるかは、その場には出てきません。 出てくるのは今日の時間だけです。だから、正しく比べたつもりで、毎回同じほうを選びます。
しかも、取り返した回数は数字になりません。渡した数は覚えていても、取り返した数は誰も数えていない。気づくのは何年か経って、手元の仕事が減っていないと分かったときです。
やっかいなのは、取り返した日がいちばん気分がいいことです。その日は仕事が早く終わって、出来もいい。うまくいった日の形をしているので、あとから見返す理由がありません。

AIでも、同じところで同じことをしていました
AIの話に戻ります。
一回目に返ってきたものを見て、自分で書き直す。これは、人から出てきたものを見て取り返したのと、同じ動作でした。相手が機械なので、気がとがめないぶん、もっと軽くやっていました。
一回目の出力を自分で書き直している限り、渡す形は永久にできません。 直したという事実が、こちらの頭の中にしか残らないからです。次の日も、同じ一回目が返ってきます。
僕がやり方を変えたのは、直したくなったときに、直す代わりに「どこが違ったか」を頼む文のほうへ書き足すようにしてからです。一日目は、直すより時間がかかりました。二日目も、まだ直しています。三日目くらいから、直す回数が減りました。減った理由は、相手が賢くなったからではなく、こちらの頭の中にあった条件が外に出たからです。
いま、決まった時刻に動く仕事は五十七本あります。担当は十四人分に分けていて、このnoteも毎日七本、この形で出しています。どれも、最初は一回目が使えませんでした。使えるようになったのは、直すのをやめて、書き足すほうに手を移したからです。
ここまで書いて、まだ自分でも答えを持っていない問いが三つあります。
一つ、いま自分が取り返したまま抱えている仕事は、何本あるか。
二つ、取り返したとき、「今回だけ」と思ったかどうか。
三つ、一度取り返した仕事を、もう一度渡し直せたものが、一つでもあるか。
僕は三つめが、いまのところ一つもありません。
僕はAIに会社の実務を渡す話を、毎日1本書いています。
探しに来なくても、フォローしておけば毎朝1本届きます。
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絶対に渡さない4つと、実際に起きた事故と、渡すときに使っている指示文の実物を書いています。
